★ 弾道ミサイル
北朝鮮が頻繁に弾道ミサイルを発射するので、弾道ミサイルと言う言葉そのものは聞きなれてしまった。はなはだ恐ろしい兵器なのに、そう感じなくさせられている怖さがある。
弾道ミサイルの最初は、第2次世界大戦でドイツ軍がイギリスに向けて発射したV2ロケットだとされているが、その後米ソによって開発競争が行われ、1958年アメリカが大陸間弾道ミサイルを開発した。
弾道ミサイルは、距離によって分けられている。短距離弾道ミサイル(Short-range Ballistic Missile SRBM)、中距離弾道ミサイル(Medium-range Ballistic Missile MRBM)、準中距離弾道ミサイル(Intermediate-range Ballistic Missile IRBM)、大陸間弾道ミサイル(Intercontinental Ballistic Missile ICBM)である。SRBMは射程1000㎞未満、ICBMは5500㎞以上である(47)。
いずれの弾道ミサイルも、ロケット推進で発射され、数分で加速し、その後は慣性飛行して目標地点上空から高角度・高速で落下する。命中精度は悪く、1万㎞飛んで半径180m以内に50%の確率である。したがって、核弾頭でないと破壊出来ないと言われている(3)。
誘導も速度が速いので通常ミサイルのような誘導は出来ず、センサーで自ら位置・速度を算出する慣性誘導か、天体と水平線との角度から判断する天測航法しか使えないとされている。
弾道ミサイルの発射方法は、発射台を用いるか、ミサイルサイロと呼ばれる地下発射装置からの発射、列車や車両からの発射および潜水艦からの発射がある。
弾道ミサイルは、弾頭・誘導部・燃料タンク・ロケットエンジン・安定翼で構成されている。弾頭は円錐形で、数100㎏から数トンまでの重さである。落下の際に超高温になるので、高張力鋼やチタン合金で造られ表面に断熱層が設けられている。燃料には固体燃料が使われるが、燃料タンクはAISI434・0D6ACなどの*超強力鋼で造られている(48)。
イラストに示したのは、北朝鮮が今年3月に発射したICBM発射光景である。「火星17」で、液体燃料の2段ロケットである。朝日新聞デジタルに掲載されている写真を参考にさせて頂いた(49)。
(3) 東京国立博物館 <https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/E0040571>
(47) 防衛省「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」
<https://www.mod.go.jp/j/approach/surround/pdf/dprk_bm.pdf>
(48) 河部義邦「超強力鋼」軽金属、第36巻、第10号、673ページ、1986年。
<https://www.jstage.jst.go.jp/article/jilm1951/36/10/36_10_673/_pdf>
(49) 朝日新聞DIGITAL「ICBM火星17と発表」 <https://www.asahi.com/articles/DA3S15245581.html>
