★ 戦艦
戦艦は、1998年をもって世界中に無くなってしまった。だからここで取り上げる資格はないと言ってもよい。だが、戦艦はかつて軍艦の中の主力艦であり、著名な戦艦も数多かったので取り上げたいと思う。
戦艦は、ワシントン海軍軍縮条約で、基準排水量1万t以上で口径8㏌(203㎜)以上の大砲を搭載する軍艦と定義されていた(23)。つまり、自らは装甲で防御力を高めておいて、大砲を撃ち合って相手の軍艦を破壊する軍艦なのである。だから第2次大戦においても、戦艦大和を始め多くの戦艦が建造され戦いに使われた。しかし、実際には第2次大戦中からだが、戦いの中心は戦艦よりも戦闘機に代わっていた。そうすると、戦艦よりは航空母艦を保有することが必須となったのである。
戦艦の防御力を高めていたのが装甲板である。艦の内側に艦上から艦底まで、非常に厚い装甲板が張られていた。30~40㎝の厚さの防弾鋼板である。実際の数字では、例えばイギリス海軍のプリンス・オブ・ウエールズは381㎜だった。また船体内部にも10~20㎝の鋼板を張り廻らせていた(23)。
前述のように現在現役の戦艦はないので、イラストには戦艦三笠を示した。これは筆者が画集『ぐるっと一周東京湾』のために描いたものを、再利用した。残念ながら船首方向からの構図ではない。
戦艦三笠は、現在横須賀で、記念艦として展示されている(26)。三笠は1902年、イギリスヴィッカース造船所で建造され、翌年連合艦隊の旗艦になった。そうして直ぐに始まったロシアとの日露戦争において、ロシアのバルチック艦隊を対馬沖で迎撃・撃破した。1926年から記念艦として保存されており、1956年に往時の姿に復元されている。
三笠は、排水量1万5140t・全長132mであり、主砲30㎝砲4門、副砲15㎝砲14門、補助砲8㎝砲20門を有し、魚雷発射管四門を装備している。装甲板には*クルップ鋼が用いられていた(27)。
最後に戦艦大和に触れておきたい。1941年に竣工した世界最大の戦艦だった。全長263mだから戦艦三笠の2倍である。排水量6万4000tである。主砲は46㎝3連装砲3基9門、副砲は15・5㎝3連装砲4基12門、補助砲は12・7㎝連装高角砲6基12門である。装甲は舷側が最大厚さ410㎜で、かつ傾斜している。中甲板の水平装甲は、最大厚さ230㎜の新しく造られた*MNC鋼板である。上甲板は、厚さ35~50㎜鋼板である(28)。
(23) 江畑謙介『兵器の常識・非常識 陸軍・海軍兵器篇』並木書房、1998年。
(26) 世界三大祈念館三笠 <https://www.kinenkan-mikasa.or.jp/>
(27) 大日本帝国軍主要兵器 <http://japanese-warship.com/battleship/yamato-construction/>
(28) 佐々川清「装甲鈑製造についての回顧録」鉄と鋼。第53年、第9号。41ページ、1967年。
<https://www.jstage.jst.go.jp/article/tetsutohagane1955/53/9/53_9_1119/_pdf>
