三月にふらりと神奈川へ行った。
兄が亡くなって随分と疲れていたからひとりで旅行がしたかった。

夕方東京行きの新幹線に乗った。
すぐに陽が落ちて車窓は真っ暗、ひたすらニュースを見ていた。
政治経済のニュースばかりだったけど、新横浜を通過する頃何故か「山口蓬春記念館」の案内があった。

品川で降り東海道線に乗り換え横浜で降りた。
駅前には手頃なビジネスホテルがあるだろうと思って歩いていたら聞き覚えのあるホテルがあったのでとりあえずそこにチェックインした。

明くる日、スマホのマップと乗り換えのアプリを使えば横須賀線と京急バスで簡単に葉山の「山口蓬春記念館」に行けた。
ここの二階から見える温暖な海に魅せられた。
記念館の下に10室だけの白いリゾートホテルがあって、飛び入りで予約したら明後日なら空いているとのことで予約する。

その他はこよなくサザンオールスターズを愛する私は茅ヶ崎に行ったりした。
もちろん湘南好きはサザンに始まったのではなくてワイルドワンズ、加山雄三とランチャーズの頃からのものだ。

そんなことで毎日ホテルに帰ったらスマホで不動産の検索を始めた。
葉山、逗子、茅ヶ崎辺りのマンションを探してみた。
京都の家を売れば充分買い替えられる。
五日くらいして横浜の息子宅に二日程お邪魔して帰宅。
夫に幾つか物件を見せるも全く無反応。
京都生まれの京都育ちは京都を動く気はないらしい。
女は結婚すれば見ず知らずの土地に行くことも多いが、男は生まれ育った場所を離れられない生きものなのだろうか。