「いばら姫」や「白雪姫」の物語は、眠っている女性に突然キスをしている。これは準強姦罪だ。こういった物語を幼いころから聞かされ続けた結果、性犯罪に走る男性が出るのだ。と、ある女性がこう発言して物議を醸しだしているそうです。
この方にぜひお勧めしたいのが、河合隼雄先生の著作、「昔話の深層」という本です。河合先生はこれらの昔話を「思春期の少女の精神的成熟への試練を表現している」と述べています。
確かに白雪姫などは継母に美しさを妬まれ、さんざんにいじめられ、殺されそうになり、王宮を追い出され、その上毒リンゴまで食べさせられる―これが思春期の試練というのならば、壮絶ですよね。(河合先生いわく、思春期少女の内面には、それほどまでの事が起こっているとのことです。)
では、いばら姫は?と思う方もいるかもしれません。なにせいばら姫、寝ていただけですから(笑)しかし魔女の呪いにより100年眠るという事もまた、試練であり1つの心理的な「仕事」である、とのこと。
大昔に少女だった身としましては、この文章に非常に納得しました。ガラスの棺から目覚める瞬間・いばらの城の中でふと目覚めた瞬間、というものが私にも「あった気がする」のですね。それがいつか、具体的にどんなだったかと問われるとうまく答えられないのですが。でも、そんな瞬間を幾つも積み重ねて、私は女の子から女の人へと脱皮してきたように思えます。
そして、「そんな経験があったような気がするけれどうまく言葉にできない」事であるからこそ、物語にそれらを投影する必要もあるのでしょう。
物語の解釈は人それぞれでしょう。そして、名作であればこそ、多様な解釈が出来るのでしょう。でもこの美しい昔話を、犯罪増長にしかとらえられないのは、何だか気の毒な気もしています。
最後に。この件に関して、YES!高須クリニックの高須先生の秀逸なつぶやきも。
「バカバカしい。蘇生させるためなら、何だってやる」
お医者さま視点だなぁって思いました。物語の解釈はいろいろで面白いですね。