レッドシューター、サイレントフォースに続く美浦・藤沢和雄厩舎期待の1頭・カジノドライヴ が、23日(土)の京都・ダート1800mでついにデビューを果たした。


 まずまずのスタートを決め、2番手でいくかと思いきや、スピードの違いで馬なりのまま逃げる形に。道中は終始楽な手応えで、4角に入る頃にはすでに後続との差を広げ、ゴール前では2着に2.3秒の大差を付ける大楽勝でデビューを飾った。勝ちタイムは1分54秒4(良)。相手が弱かったのもあるだろうし、時計も7Rの500万下より遅く、飛び抜けて速いものではない。競走馬の資質は1戦だけで見極められるものではないので、現時点ではまだ評価はできない。スシトレインに終わるか、名馬になるかはまだなんとも言えないが、とにかく将来が楽しみな馬と言えるだろう。京都のダートを2秒以上離して圧勝と言えば、レギュラーメンバーシルクプリマドンナ を思い出すが、この2頭はいずれもGI馬となっている。


 血統を見てみよう。父Mineshaft、母がデムワーゼルS(米G2)勝ち馬Better Than Honour(その父Deputy Minister)、祖母がケンタッキーオークス馬Blush with Prideで、姉に昨年のベルモントSなど米G1・4勝のラグストゥリッチズ Rags to Riches(父A.P.Indy)、兄に06年ベルモントSを勝ったジャジル Jazil(父Seeking the Gold)がいる。さらに、従姉には昨年のヨークシャーオークス(英G1)などG1・4勝のピーピングフォーン Peeping Fawn、同牝系にはEl Gran Senor、ザール、スピニングワールド、フサイチパンドラなどがいる、世界的な名牝系の出身だ。


 Rags to Richesの父A.P.IndyはMineshaftの父なので、同馬とは3/4同血という配合になる。姉にMr.Prospectorを入れたことで、兄Jazil(父の父Mr.Prospector)とも近い血統構成になっており、兄姉の良いところ取りというといった印象。5代内アウトクロスだが、米国の主流血脈を存分に集めた素晴らしい配合だ。


 カジノドライヴの父Mineshaftは、03年のジョッキークラブゴールドC(米G1)などG1・4勝。同年の米年度代表馬に輝いている。自身は古馬になってから活躍したが、早い時期から動ける血統構成で、このダート血統ながら英国デビューしたため出世が遅れた感があり、当初からアメリカのクラシック戦線を目指していたらクラシックホースになっていたかもしれない。ちなみに同世代のケンタッキーダービー馬はウォーエンブレムだった。現3歳が初年度産駒で、まだこれといった活躍馬は出ていないが、セールでは産駒の多くが高額で取引されている。Mineshaft自身の血統も、母Prospectors DeliteがエイコーンS(米G1)などの勝ち馬で、全姉Tomisue's DelightもパーソナルエンスンHなど米G1・2勝という良血だ。今後の米国生産界で、大きな注目を集めることだろう。


 この父系×母系に加え、持っている血統もSeattle Slew~Bold Ruler、Mr.Prospector、Deputy Minister、Blushing Groomと一流のものばかり。“走って当然”というほどの血統馬だ。これまで、世界的な良血馬が何頭も日本で競走馬となったが、ようやくその血統的期待に応える可能性を持った馬が現れたと言えるだろう。今後はアメリカ遠征が予定されているが、そこそこの競馬はするのではないだろうか。