今回は、母の父サンデーサイレンスの産駒に焦点を当ててみたい。


 これまでに、母の父にサンデーサイレンスを持つJRA重賞勝ち馬は以下の26頭。内訳を見てみるとジャングルポケットの3頭が最も多く、系統で見るとMr.Prospector系が9頭で最多。質では、GI馬4頭を出しているMr.Prospector系が抜けている印象だ。


◆母の父SSのJRA重賞勝ち馬(08/1/13現在)
馬名(父、父系)
ドリームシグナル(アグネスデジタル、Mr.Prospector)
サカラート(アフリート、Mr.Prospector)
ポップロック(エリシオ、Northern Dancer)
ヴァーミリアン(エルコンドルパサー、Mr.Prospector)
ソングオブウインド(エルコンドルパサー、Mr.Prospector)
アドマイヤムーン(エンドスウィープ、Mr.Prospector)
ラインクラフト(エンドスウィープ、Mr.Prospector)
サクラメガワンダー(グラスワンダー、Roberto)
フサイチリシャール(クロフネ、Northern Dancer)
アイポッパー(サッカーボーイ、Fine Top)
フサイチホウオー(ジャングルポケット、Grey Sovereign)
トールポピー(ジャングルポケット、Grey Sovereign)
トーセンキャプテン(ジャングルポケット、Grey Sovereign)
マイネルシーガル(ゼンノエルシド、Northern Dancer)
ウイングレット(タイキシャトル、Hail to Reason)
マイソールサウンド(タマモクロス、Grey Sovereign)
スズノマーチ(ティンバーカントリー、Mr.Prospector)
フサイチアソート(トワイニング、Mr.Prospector)
プレシャスカフェ(ハートレイク、Northern Dancer)
シャドウスケイプ(フォーティナイナー、Mr.Prospector)
ワイルドワンダー(ブライアンズタイム、Roberto)
ライラプス(フレンチデピュティ、Northern Dancer)
アンブロワーズ(フレンチデピュティ、Northern Dancer)
アサクサキングス(ホワイトマズル、Northern Dancer)
シャドウゲイト(ホワイトマズル、Northern Dancer)
プリサイスマシーン(マヤノトップガン、Roberto)


 ただ、残念なことにエルコンドルパサー、エンドスウィープは死亡しており、2歳馬はいない。となると、Mr.Prospector系では新種牡馬キングカメハメハ、ドリームシグナルを出したアグネスデジタルなどが期待されるところだ。あとはウォーエンブレムや、エンドスウィープの死亡でおこぼれが回ってきそうなフォーティナイナー系のトワイニング、スウェプトオーヴァーボード、コロナドズクエストなどが有力だろう。


 アグネスデジタルではタンザナイトの2006 (サンデーレーシング、1400万円、栗東・音無秀孝)が気になる。母はアロンダイトの半姉で、3勝した活躍馬。新馬勝ち時はクラシックを意識させるような素質馬だった。あとは、マイネルシーガルの半妹エイシンアイノウタの2006キャトルセゾンの2006 (シルク、1200万円、美浦・斎藤誠)は祖母の父Nashwan、3代母がエリザベス女王杯を勝ったエミネントガールとスケールの大きい配合だが、千代田牧場産のシルク馬は走っていないデータがある。


 面白そうなのが本邦供用2年目のコロナドズクエスト。大物は出していないがエイシンパンサー、ペプチドルビー、セレスハント、リュウメイなどといった素質馬を出し、昨年の2歳リーディング10位。勝ち馬率32.4%(37頭中12頭が勝ち上がり)はベストテン種牡馬では3位の数字を出している。社台関連がいないので全体的な質は落ちるが、祖母がヴェルメイユ賞勝ち馬ヤングマザーというマザーラドクリフの2006 、従兄にブライトトゥモローやトップガンジョーがいるポピーフィールドの2006 (セレクションセール2007、1060万円、後藤繁樹氏)、伯父伯母にマチカネアカツキ、ノースサンデーがいるグディニアの2006 (広尾サラブレッド倶楽部、1995万円、栗東・松永幹夫)などに注目だ。


 トワイニングは昨年、フサイチアソートがJRA重賞初勝利。エンドスウィープが死亡したことにより社台グループの期待も高まっていることだろう。ペールギュントの従弟ディアボレッサの2006 (セレクトセール、3300万円、前田幸治氏)、母がスイートピーS(OP)勝ち馬というバイラリーナの2006 (キャロットクラブ、1400万円、美浦・後藤由之)、タヤスツヨシの甥マストシーストップの2006 (セレクトセール、1400万円、増田雄一氏)、ブラックタキシードの姪ラフィカの2006 (セレクトセール、900万円、中村德也氏)などに注目。


 スウェプトオーヴァーボードはこれまで全くの期待はずれといえるが、オレンジピールの姪コンフィチュールの2006 (セレクトセール、2500万円、島川隆哉氏)、ペインテドブラックの姪セイクリッドオースの2006 (セレクトセール、1650万円、清進電設)、母が桜花賞3着馬ホーネットピアスの2006 (サンデーレーシング、1000万円、美浦・伊藤圭三)、ラインクラフトの半弟マストビーラヴドの2006 (セレクトセール、1億4000万円、ダーレー・ジャパン)、タヤスツヨシの姪ミスアルダントの2006 (グリーンファーム、735万円、栗東・加用正)、スクリーンヒーローの半妹ランニングヒロインの2006 (社台RH、1000万円、美浦・武市康男)、オレハマッテルゼの姪ルーセントウイングの2006 など、牝馬の質は上がっており、爆発の可能性十分。甘く見ないほうが良さそうだ。


 あとは、持ち込み・外国産馬で良血馬が揃った。Dubai Destination産駒で、シンコウラブリイらと同牝系のスカルプトレスの2006 (大樹ファーム、美浦。・久保田貴士)、同じくDubai Destination産駒で、オレハマッテルゼの姪チェルビムの2006 (HBAオータムセール、社台コーポレーション)、新種牡馬Smarty Jones産駒で、母がオークス馬というダンスパートナーの2006 (社台RH、栗東・橋口弘次郎)の3頭がそれ。Dubai DestinationはKingmambo産駒でヒシアケボノの甥という日本向きの血統で、Smarty Jonesは圧倒的な強さで米2冠を制した名馬。いずれも良血で、かなり期待できそうだ。


 その他で気になる馬として、エイシンプレストン産駒エイシンワンダフルの2006 、グラスワンダー産駒タニノミリオネーヤの2006 、サクラバクシンオー産駒アグネスアテーナーの2006サクラコンドルの2006 、シルバーチャーム産駒パワーオブラブの2006 、フサイチコンコルド産駒ヤマニンアリーナの2006 などを挙げておこう。


 その他今後期待できそうなパターンとしては、シンボリクリスエスを挙げておきたい。まだ大物が出ていないが、最近は素質馬を多く出しており、サンデーサイレンス牝馬との配合も多い。Roberto系とサンデーサイレンス系の相性も悪くないだけに、今後はこの配合の活躍馬が続出するのは間違いないだろう。取り上げるべき馬が数が多いので、シンボリクリスエスの項で触れようと思う。フレンチデピュティも同様で、ジャングルポケットは既出のページ にて。