少し早いが08-09年POGの話を。


 この世代注目の新種牡馬はなんといってもキングカメハメハ。セレクトセールでトゥザヴィクトリーの2006が6億円で落札されたように、産駒の評価は極めて高い。来年のPOGはキングカメハメハ産駒が中心になるだろう。


 配合として手堅いのはトゥザヴィクトリーなども含む母の父サンデーサイレンスとなるが、キングカメハメハの父KingmamboがSadler's Wellsとの配合で成功していることから、このパターンの馬に注目してみたい。


 Sadler's Wells系も浸透し、代も経てきているので母の父Sadler's Wellsにこだわる必要はない。母系にサンデーサイレンスとSadler's Wellsを併せ持つ馬がベストかと思うが、そういう馬はいなかった。


 その中で気になったのがバブルウイングスの2006 。半姉にショウナンパントル(阪神ジュベナイルフィリーズ-GI)がいる血統馬で、母の父In the Wings。Specialは5×5と薄めで、Mill Reef5×5のクロスもある。全体的に重めなイメージだが、Mr.Prospector3×4が強く出ればスピードタイプに出る可能性も十分だ。かなりの多重クロス馬だが、Sadler's Wells系でも好みのIn the Wingsを経ているところが良い。

 その他のSadler's Wells内包馬はアタラマの2006オタティの2006ジゼルIIの2006ミュージーの2006ウィッティシズムの2006ベーゼドフラームの2006イアラスーベニアの2006 などがいるが、魅力を感じる馬はいなかった。


 話題のトゥザヴィクトリーの2006 は、母の父サンデーサイレンス、祖母の父Nureyevで、Specialクロスではなくてその産駒Nureyev4×3のクロスになっている。NureyevクロスはVallee Enchantee(香港ヴァーズ-香G1、2×3)、Silvester Lady(独オークス-独G1、3×3)などで既に成功しており、日本でも今後一般的になっていくクロスだろう。配合的にも興味深いものを持っている。


 母の父サンデーサイレンスでもう1頭気になったのは、祖母の父El Gran Senorで、トライマイベスト=El Gran Senor4×3のクロスを持つアドマイヤサンデーの2006 。フサイチホウオー、トールポピーの下で、兄姉が走っているのも心強い。


 Nureyevクロス馬では、ヒシバラードの2006 も面白い。祖母が女傑ヒシアマゾンで、祖母の父にTheatricalを持ち、Nureyevは4×4。母の父がDevil's Bagの全弟Saint Balladoで、これも悪くない。コマチエクスプレスの2006 は祖母の父にNureyevが入り、Nureyev4×3。母の父がフジキセキなので、トゥザヴィクトリーの2006とは似た血統構成になる。伯父がジャングルポケットという牝系も良い。これと似た配合のグランパドドゥの2006 (社台レースホース、栗東・矢作芳人)も要チェック。


 驚きのクロス馬としてはレディオブチャドの2006 。母の父ラストタイクーンで、ラストタイクーンは3×2の濃いクロスになっている。ローズボーの2006 は母の父がNureyev産駒のスピニングワールドで、Nureyev4×3。スピニングワールドはラストタイクーンの父トライマイベストと同牝系なので、Best in Show6×6の薄い牝馬クロスができている。祖母の父ダイワメジャー、牝系はDevil's Bagと同じBallade系と、侮れない血統馬だ。


 個人的に好みな配合、牝系馬としてはラグジャリーの2006 (ユニオン、美浦・田中清隆) 。母の父Storm Catはどうでも良いのだが、祖母の父Alleged、3代母の父Affirmedは母系の血としてかなり重視している血脈。さらに牝系は名牝・Balanchineと同じということで、これは応援したい馬。インフォーマルの2006 (セレクトセールで野田みづき氏が2800万円で落札)は、母の父Unbridled's Song、伯父にリドパレスという牝系でちょっとだけ気になった。


 その他注目馬では、ビーチフラッグの2006 (セレクトセールで金子真人ホールディングスが7000万円で落札) 、クロカミの2006 (ラフィアン、美浦・畠山吉宏)ヴィヴァットレジーナの2006アンノウンウォーターズの2006 (セレクトセール、藤田孟司氏、2000万円)ロゼカラーの2006 (サンデーレーシング、栗東・橋口弘次郎、1億2000万円) 、ピノシェットの2006 (キャロット、美浦・上原) 、タイキダイヤの2006 (セレクトセール、金子真人ホールディングス、3500万円) 、ピースオブワールドの2006エリモシックの2006 (セレクトセール、ダノックス、8600万円) 、タバサトウショウの2006アイアンビューティの2006 (ブルーインベスターズ、栗東・山内) 、シルクプリマドンナの2006 (セレクトセール、青山洋一、8600万円)など。良血馬ばかりで大変だ。