僕は月を見ない
僕は月を見ない
見れない。とも違う
見たくない。わけじゃない
僕は今、月を見ないで生活している
不都合は?
あるような、
もう今となっては、無いような
個人的な感覚で言うとするなら、
月を見ない生活は、なんとなく、ほの暗い
月の灯りを見ないで生きるのは、ほの暗い闇の中を、たった一人で彷徨うのに似ている
かつて、僕は、月を見るのが好きだった
月の灯りを見つめて、よく物思いに耽った
月の光線に眩しく照らされながら、月が僕に語りかけ、僕も月に語りかけた
だから、現在の月を見ない人生は、さしづめ、何も見ない、何も聞かない、何も語らないといったところか。
それは、かなり寂しい
月はどこへ行ってしまったのだろう
そろそろ具体的なことを語ろうか
僕が今の生活を選んだのは、あくまで結果論だ
この選択しかなかった
僕はサラリーマンをドロップアウトし、妻子を失った
仕事と家族を失ったら、後に何が残るというのだろう
よくよく凝視しても、何にもない
人生の登場人物は、自分一人で、あとには誰もいない
それを自由で羨ましいという輩がいる
だったらそうすればいい
簡単なことだ
一切のしがらみをちょんぎって、一人になればいい
人という字は、ひととひとが支えあってできていると、武田鉄矢が言ってた
支えたいが、いかんせん支える対象の姿形がどこにも見当たらない
誰もいない、ほの暗い闇の中でも、たった一人、武田鉄矢は、僕は死にましぇんなどと言えるだろうか?
一日は24時間ある
24時間もある?
24時間しかない?
いろんな人がいるからね
僕に24時間は長い
辛く悲しい一瞬一瞬を24時間繰り返すことは、趣味の悪い拷問だ
だから
眠ることにした
目標24時間
眠りというのは、ほの暗い闇より、深く、スイッチオフの漆黒の時間だ
君は、暗闇の中を彷徨うのと、スイッチオフの止まった時間のどらを選ぶ?
選択の余地などないだろう
今は20時間眠っている
夕方から、翌日の昼まで
案外、眠れるものだ
感じも悪くない
だが、月を見れない
そうか、見ないのではなく、見れないのか
いや、僕は月を見ない
月を見ない
月を…
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