あれから1週間。
毎日届く病院食の画像
経過は順調のようだった。



入院先の面会時間に合わせて
彼女に会いに行く


面会受付を済ませ病室へ向かう


4人部屋の入口
洗面台の前に立つ後ろ姿


♠やっと逢えた
すぐに駆けつけれなくて ごめん

後ろから抱きしめた



一瞬驚いて、フリーズしてから
彼女は恥ずかしそうに笑った


点滴やら、計器類
いくつもの線に繋がれては いるものの
独歩できている姿を見て安心した。



♦さっき車椅子から、
 歩行を許されたの

ベッドに腰掛けて、彼女が話し出す。


不幸中の幸いで 
軽くで済んだらしい。


言葉も戻っているように見える


本人的には、
単語が思い出せなかったり
頭がまだ痛むらしく
本調子とは言い難いらしいが。


生きのびて、
後遺症で麻痺なども ほぼ無く
これほどまでに回復したのは
奇跡だと思う。


見舞いに行く日を
あらかじめ伝えていたので
化粧をしようと洗面台に居たらしい。


♠病人にフルメイクなど
 期待していないよ(笑)


パジャマ•病衣というより
少しオシャレなシャツを着て。


“少しでもかわいいと思って欲しい“
と言うような、女心なのだろう

動くのさえ大変な時だというのに。

♠かわいいよ
そういう所も、たまらなく愛おしい



彼女のお母さんが病室へ来た。
“はじめまして“ が、病室とは。

“近くに住む高齢の母親が
 世話を焼いてくれている“

日々のメッセージで聞いていたので、
遭遇する事は想定内だった。


持参していた
お母さん用の手土産を渡して
軽く挨拶をする

席を外そうかと打診したが、
“居て下さい“くらいの勢いだったので
そのまま同席した。


シャキッとした真面目そうな印象で、
“娘からLINEの返事が来なくて寂しかった“
などと、かわいいことを言うような方だった。

高齢のご自身の体調と
娘の心配と、色々思うところが
お有りなのだろう。



巡回の看護師さんや
お母さんが去り
カーテンの中で2人

手を繋いで、彼女の話を聞く。

以前よりテンポが少し遅めなのが
俺が眼の前に居るからなのか
(普段ネット音声通話なので)
まだ本調子では無いからなのか
同室者への配慮なのかは
わからない。


ニコニコと
リハビリの話や、あれこれを
楽しそうに話す彼女を
じっと見つめる


本当に、
本当に、
軽くて良かった。


彼女の頬にそっと触れて、
左頭部にキスをした
もう詰まりませんように
願いを込めて