『~最高のラストパス、 その1冊が人生を変える~』
出版のその先を応援 日本一著者と近い出版社
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助け合い(愛)で未来をつくる 社会貢献を通じて人をつくる
ギャラクシーブックスの栢木です
ブログを見ていただきありがとうございます
このブログではギャラクシーブックスの取り組みや
私個人の取り組みをちょこちょこアップしていきたいと思います
少しでも多くの方にギャラクシーブックスを
知っていただければと思いますので宜しくお願いします
galaxy株式会社
代表取締役社長加戸昌哉の書籍『音色』を紹介
『音色』にはギャラクシーブックスが
これまで歩んできた全てが書かれております
良いとき、悪いとき、きつかったこと、楽しかったこと
包み隠さず全てを書いてますので
ギャラクシーブックスを知りたい方は是非見てください
毎週月曜日、水曜日、金曜日に
アップさせて頂きますので、宜しくお願いします
-音色- 目次
0.「まえがき」
第1章 始まりの音 第2章 揺れ動く音 第3章 崩れる音
1.「原点」 5.「巣立」 9.「MBO」
2.「拡大」 6.「始動」 10.「崩壊」
3.「売却」 7.「難局」 11.「絶望」
4.「M&A」 8.「宣告」 12.「希望」
第4章 願いの音 第5章 軌跡の音
13.「再起」 17.「応援」
14.「不覚」 18.「創案」
15.「前進」 19.「結実」
16.「夢中」 20.「出発」
最終章 軌跡の音
「応援」
―2019年6月―
着々と体制を取り戻し、小規模ならではのスピードで立て直すことができていた。
その中でも一番慎重に考えていたのが著者のことだった。想いが詰まった書籍を世に誕生させるため、より効率よく書籍リリースができるかを再定義し、新たなルールを取り入れ進めることに徹していた。
書籍リリース数は昨年と変わらないくらいの数ができ、著者との密な関係性も構築できるようになってきた。
このとき改めて思えたのが、久々に事業に携われている自分がいるということ。今までのほとんどが会社のことばかりで動いてきたため、事業を考えることができなかった。今になって著者や書籍と触れ合えることに幸せを感じるようになっていた。
出版社を運営する。これは決して1社のみでできることではない。実は今回の再生により多大な迷惑をかけた企業も多くあった。契約を打ち切ることもあったため、謝罪をしてもいい顔をしない企業もあったのは事実。
その中でも書籍の取次を担ってくれている株式会社メディアドゥの担当からは救いの声を貰うことが多かった。出版業界で同じ想いがある企業、付き合いは長いものの初めてつながれたように思えた。
共存意識がないと企業は成立しないことを感じさせられた。
―2019年7月―
社内ルールや体制はさらに大きく変化していた。まだまだ未完成ではあるがスピーディーに進んでいる。体感としては悪くない、そんな半年を過ごした。
この期間にも出会いや別れはあったものの、どんどん新しい風を吹かそうと意識をしていた。
少し前に比べると心は強くなり、負けることがよぎることはほとんどなくなっていた。目指すポジションが明確になり、次が見え始めていたからだ。
現状を回復させるだけでは満足できない、これが世間でいうベンチャースピリットかもしれない。
「だいぶ会社がよくなってきましたね」
プロパー社員が笑顔で話してくれる。この半年はみんながよく頑張った。見えないゴールに向かう不安を抱えた状況からの再生の道、そこには心身の成長がないと不可能。全員の目線を上げないと成立はしなかった。
夢中というスキルを身につけると人は強くなる、そう実感している。
現状課題は多いがスピーディーに解決していく。これはgalaxyの強みだと言える。みんなの声から誕生する施策も出てくるようになってきた。会社経営、これはまずトップがすべての責任を負う。その次は順に、当事者意識が芽生えた者から引き上げる。
この先まだ組織のかたちは変わっていく。他社からも組織の仕組み、事業の仕組みを学ばせてもらい、自社に適しているものだけを導入。大枠を整えることを目標において下半期をスタートさせることになった。
実はこのころ、社員には言えず水面下で動いていたことがある。理由はまたもインサイダーになる可能性があるからだ。
その相手企業はというと、2018年後半から急降下、その後この短期間で再生しつつある自社に興味を持ってくれていた取次を担ってくれているメディアドゥだ。書籍取次の部署だけではなく、別部署の人たちとも話をする機会が増えていた。
インサイダーが絡むということはなんらかのお金が動く可能性があるということ。不確定な要素はかなりあるが、まだオープンにはできない。
メディアドゥとは国内最大手の電子書籍取次として電子書籍コンテンツの流通事業を担い、取次以外にも電子書店や電子書籍ビジネスに関するソリューションを提供、海外電子書店へのコンテンツ輸出事業、電子図書館事業も展開、さらにPODやインプリント出版などで紙書籍の事業も展開しているかなりの大手企業である。
なぜこんな大手企業がこんな弱小企業に声をかけてくれたのか、そこには2つの理由があった。
1つ目はgalaxyの書籍コンテンツ量、幅の広い書籍ジャンル。
2つ目はgalaxy特有のベンチャースピリット。
評価をもらえるだけでもありがたいことだった。正直に現状と課題、資金繰りを含めたスケール展望も相談することにより、親身になって協力してくれる。もしかすると今以上に距離が近くなり、より深く協業できるかもしれないと感じていた。
そうすることにより新たな風が吹く。自社にはない大手の信用、リソース、ノウハウ、一緒に手を組むことによりさらに進化ができる。
担当となる数名とは面談や会議、プレゼンテーションの繰り返しで一気に距離は近づく。回数を重ねるたびに本質的な部分に触れる場面も増えるようになり、協業のかたちを決めていくときが迫っていた。
そのかたちは何パターンもある中からお互いにとってメリットがあるものを議論して決める。メディアドゥは直近で数々の企業買収をしていることもあって、galaxyも買収される可能性はあるとは想定していた。
予定されていた食事会、いつもどおりの雰囲気でたわいもない話からのスタート。いつもの感謝を伝えるのと同時に、今日は協業のかたちについて本音で話そうと決めていた。
自分が描く理想のかたちを伝えることを優先しよう。すると、担当もかなりオープンな姿勢で心の内を明かしてくれた。
「率直に言うと、買収を検討している」
買収は以前に経験しているから自分の知識範囲で判断ができる。答えはNOだ。この1年、独立したからこそ成長することができた。自分がトップに立つことによって得られることは大きく、この環境は絶対に崩したくない。
ただ、どんなかたちでもいいから、特に資金面で協力してもらいたいというのが本音にあった。少しずつ売上や利益は回復してきたものの、まだ余力はない。手元資金はいつ減っていくかはわからない。
企業にとって資金は一番大事、あるに越したことはない。資金アウト寸前を経験して苦しんだからよくわかっている。
もし仮にこの話がきたとして、どのように返答をするかは準備していた。もちろん包み隠さず笑顔で答えた。
「買収は無理です。なぜなら一度経験して、失敗しているので」
この答えが返ってくることを担当はわかっていたのか、同じく笑顔だった。おそらくここまでの苦労を理解してくれていたからだと思う。
出版実績、企業再生、アグレッシブな姿勢を認めてくれていたことはうれしかった。なによりメディアドゥとは親和性のある企業だということもあって、どうにかより深い協業をしたいのはお互いの本心でもあった。
無理は承知のうえでひとつ提案をしてみた。
「100%は難しいですが、一部の株を買い取っていただき、株主になっていただく方向はどうでしょうか」
顔には出さないが、心拍数は最高潮だった。