『~最高のラストパス、 その1冊が人生を変える~』
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ギャラクシーブックスの栢木ですサッカー

ブログを見ていただきありがとうございます照れ

このブログではギャラクシーブックスの取り組みや

私個人の取り組みをちょこちょこアップしていきたいと思いますチョキ

少しでも多くの方にギャラクシーブックスを

知っていただければと思いますので宜しくお願いします!!

 

galaxy株式会社 

代表取締役社長加戸昌哉の書籍『音色』を紹介!!

 

『音色』にはギャラクシーブックスが

これまで歩んできた全てが書かれております照れ

 

良いとき、悪いとき、きつかったこと、楽しかったこと

包み隠さず全てを書いてますので

ギャラクシーブックスを知りたい方は是非見てください目目

 

毎週月曜日、水曜日、金曜日に

アップさせて頂きますので、宜しくお願いします!!

 

 

-音色- 目次
  0.「まえがき」  

第1章 始まりの音    第2章 揺れ動く音    第3章 崩れる音 
1.「原点」          5.「巣立」          9.「MBO」
 2.「拡大」           6.「始動」          10.「崩壊」
 3.「売却」          7.「難局」          11.「絶望」
 4.「M&A」          8.「宣告」          12.「希望」

第4章 願いの音     第5章 軌跡の音 
13.「再起」          17.「応援」
14.「不覚」          18.「創案」
15.「前進」          19.「結実」
16.「夢中」          20.「出発」

 

第3章 崩れる音 

「MBO」

―2018年7月―

 親会社代表からの一言。

 「独立、してくれないか?」

 唖然とさせられるその言葉には重みがあった。一瞬すぎて理解ができていない。そして返す言葉が見当たらない。

 まだジョインしてたった1年。この1年で結果が出なかったからなのか、話を聞くとそれだけが理由ではなかった。

 親会社にもそれなりの事情があることを理解した。隠すことなくすべてを話してもらったことには感謝をしないといけないが、結果が出なかった悔しさよりも親会社としての考えに怒りの感情が大きく膨れ上がった。

 マネジメント・バイアウト(MBO・経営陣買収)という結論を出すまでに与えられた期間は1週間。進めるのであれば次の2週間で動くことになる。
 
 提示されたのはあり得ないほどのタイトなスケジュールだった。

 結論を出すと言っても株主比率からしてこちらに一切の主導権はないことはお互いが理解していた。

 大人の事情に完全に巻き込まれた。

 自分のことは別として、社員にはどう伝えようか。頭は真っ白、なにもかもがよくわからなくなった数分間だった。

 今年に入り業績が上がらないgalaxyを援護してくれていた親会社役員もいる。進めていたプロジェクトもまだまだ途中である。それも終わってしまう。

 MBOをするにあたって株式を取得することになるが、その資金は一切ない。実際のところ今の株価を算定しないと資金がいくら必要になるのかは出せないが、唯一わかっていることは今からまた未体験が始まるということ。

 心は乱れ、怒りがあふれる感覚が続いた。

 面談が終わり、今からどうするのかだけを考えた。とにかく独立に向けて進むことは確定している。チャンスと思って受け止める気持ちにすぐに切り替わり覚悟はできていた。なにをしないといけないのかを整理をする作業に取りかかる。

 M&Aのときと同様で、こんなことはドラマでしか見たことがない。営業職を希望して田舎から出てきたごく一般的なサラリーマン志望だった自分が、なぜこんなことに何度も巻き込まれてしまうのか。このときこそは本当によくわからなくなっていた。

 

 少し時間を置いた後、管理部長と緊急会議が始まった。独立する、このことだけは決まっている。うまく進めばなんのしがらみもなく自分たちの事業ができる。前向きな意見をくれていたことに感謝をしないといけない。

 まずは両社で株価算定をする、そしてその資金を集めないといけない。すべてを最速で片づけていく。

 この先に待っていることは想像すらできていない、事が終わってから考えるしかない。短期間でいろいろありすぎて社員もよくわからなくなるだろう。不安はそこだけにあった。

―2018年8月―

 期日は目の前まで迫っていた。このときのモヤモヤとした感情はM&Aのときと比べると遥かに少なかった。

 早く完結させて次へ進めたい。もう誰かに振り回されるのは勘弁、そんな思いが頭に浮かぶ。

 しかし独立するなんてそう簡単ではないことはわかっていた。これが成立した瞬間、全責任は自分になる。もちろん今までもそう思っていたけど、今回ばかりはかなり重たく感じていた。少しだけ責任という怖さがあったのかもしれない。

 その後、淡々と両社は作業を進め、予定どおりのスケジュールで完結を迎えた。

 タイトなスケジュールの中、galaxyにとって一番いいかたちでの着地となった。心配していた株価取得のための資金は管理部によってうまく描かれていた。

 実はこの1カ月前に3,000万円の借り入れをしていた。上半期に下降した売上、資金繰りにも少しばかり不安があったからである。

 もうひとつの理由はconettoに資金を投下したいと考えていた。もちろん攻めと守りのバランスは重要とする中、先手として一度目の融資が実行されていた。まさかその直後に株価取得が待っていたなんて予想もしていなかった。
 
 そんな緊急事態に知恵をくれたのも管理部だった。株価取得分の追加融資を受けられるよう別会社を設立することを計画、そして銀行に相談する。

 その結果、短期間で二度目の融資を受けることができ事なきを得ることができた。こうして全株取得をすることができ、独立が成立した。

 しかし感情のコントロールが難しいことには変わりはなかった。素直にうれしいと思える気持ちはほんの少し。なぜなら、この独立は自らが選んで始まったものではない。

 今までよりも自由に運営ができるという期待とは反対に、未熟すぎる経験しかないという怖さに強く胸を押さえつけられていた。

 

 親会社との調印式は実に静かに行われた。調印が終われば別々の道へと進む。お互いが冷めきっていたと思っていた。そんな予想とは別の角度から、このときまで知らなかったことが浮上することになる。

 実は親会社の全員がこの結末を望んでいたわけではなかった。

 大人の事情というものを理解しきれない役員や社員がいたことを知ることになった。

 「まだまだgalaxyと一緒に仕事をしたかった」

 「もっとgalaxyの社員たちと交流したかった」

 そんな声に心が震えた。ありがたい言葉だった。しかし目の前のこの結末をもう誰も変えることはできない。

 どんな結末になったとしても、ここで得られた縁というものは大切にしないといけない。会社という縛られた箱とは別に、その中で出会う人と人。そこに罪は一切ない。

 独立をしてくれないかと告げられた日は大きく荒れていた心。今となっては感謝に変わっていたが、あえて表情には出さないようにしていた。

 

 帰り際のエレベーターの前で最後の挨拶を交わす。そこにいた全員が心を痛めていた。誰もが下を向くお別れ、これが最後となった。

 もうここに来ることはない。明日からgalaxyのためだけにやればいい。

 

 シンプルに考えれば気は楽になるはずだったが任務はまだ続く、早くみんなに伝えないといけない。次にすることはこの一連の報告だ。今回も一息入れる時間は許されなかった。

 名古屋オフィスはすでに閉鎖していたため、大阪と東京の2拠点に独立のことを報告した。もちろんインサイダーの兼ね合いから事前に告知はできない。

 今回ばかりは社員の反応は本当にわからなかった。

 独立できて良かったじゃないですか。そんな意見もあるかもしれない。反対に、また振り回してどうなっているのか。そんなネガティブな意見のほうが多いかもしれない。そう思われるほうが自然なのかもしれない。

 一番振り回されているのは自分だからよくわかっている。

 もう後戻りはできない。この現実を全員に受け止めてもらい、前へ進むという選択肢しか残されていなかった。