『~最高のラストパス、 その1冊が人生を変える~』
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ギャラクシーブックスの栢木ですサッカー

ブログを見て頂きありがとうございます照れ

このブログではギャラクシーブックスの取り組みや

私個人の取り組みをちょこちょこアップしていきたいと思いますチョキ

少しでも多くの方にギャラクシーブックスを

知っていただければと思いますので宜しくお願いします!!

 

galaxy株式会社 

代表取締役社長加戸昌哉の書籍『音色』を紹介!!

 

『音色』にはギャラクシーブックスが

これまで歩んできた全てが書かれております照れ

 

良いとき、悪いとき、きつかったこと、楽しかったこと

包み隠さず全てを書いてますので

ギャラクシーブックスを知りたい方は是非見てください目目

 

毎週月曜日、水曜日、金曜日に

アップさせて頂きますので、宜しくお願いします!!

 

 

-音色- 目次
  0.「まえがき」  

第1章 始まりの音    第2章 揺れ動く音    第3章 崩れる音 
1.「原点」          5.「巣立」          9.「MBO」
 2.「拡大」           6.「始動」          10.「崩壊」
 3.「売却」          7.「難局」          11.「絶望」
 4.「M&A」          8.「宣告」          12.「希望」

第4章 願いの音     第5章 軌跡の音 
13.「再起」          17.「応援」
14.「不覚」          18.「創案」
15.「前進」          19.「結実」
16.「夢中」          20.「出発」

 

第2章 揺れ動く音

「巣立」

―2017年4月―

 M&A面談期間は終了し、最終的に相手先企業は3社浮かび上がった。3社ともgalaxyよりも遥かに大きな企業で、正直どことジョインしてもどんなかたちになるのかは想像できない。ここまで来たらあとは流れに身を任せるしかない。

 さらに細かい内容の追求、そして核心に迫る最終面談へと進んでいく。企業によってはかたい面談もあれば、ラフな会食形式での面談もあった。

 M&Aは企業版のお見合いみたいなものだと外部パートナーはよく言っていた。実際にお見合いをしたことがない自分にはなんとなくしかわからなかったが、ジョインした後には良いことも悪いことも待っているという意味だと捉えていた。

 これはどこの企業でも一緒である。最後はくじ引きでもいいのではないのか、そんな感覚だった。

 管理部長からの電話が鳴る。

 普段あまり電話をかけてこない彼からの電話に急に鼓動が早くなった。なにか動きがあったに違いない。

 予想は的中した。この一連の動きが着地するときが来た。3社のうち1社が手を挙げ、こちらがYESと言えば一気に進み、正式にサインをすればM&Aは成立する。

 この話が浮上して、一番にオファーを出してくれていた企業が最終的にgalaxyとジョインしたいと言ってくれていた。株式会社ショーケース・ティービー(現在の株式会社ショーケース)、東証一部上場企業である。
 
 よくよく聞いてみると最終面談が終わった後、即日決裁をされていたようだった。調印式の日程を決め、その先に進む。
 
 旧親会社と新親会社との株式取引契約が行われるが、これがMAチームの最後の仕事でもある。ここをスムーズに終えることにより、新たな道が切り開かれる。6月末に旧親会社を離れ、7月からは新親会社へ移行となる。

 安堵感と虚無感が入り混じっていたが、一息入れる間もなく重要なタスクが待っている。
 
 確定した事実を発表しないといけない。

 みんなはどんな心境になるのか。きっとakippaに残りたいという社員もいると思う。これを機に退職するという声も上がるかもしれない。考えれば考えるだけ悪いイメージばかり浮かび上がっていた。
 
 発表までの時間はない、最短で準備をしないといけない。もちろんこの情報はまだ漏らしてはいけない。相手先は上場企業であることもあり発表準備は水面下で進みだした。

 

―2017年5月―

 年末からこの時期までの役員会では毎回のようにこのことが議題として出ていた。会社としての道が描かれ、そして大きなお金が動く。ひとつの分岐点を迎えることになる。
 
 社内への発表はどのようにするのか、発表日はいつにするのか。決めないといけないことはまだまだ多くあった。社内はデリケートになる可能性がある。外部パートナーはこのタイミングはとにかく安全策をとるべきだと主張してくれていたこともあり、全員で慎重な発表について考えた。

 今まで一緒だったakippaとgalaxyは別々の道へ向かうことになる。MAチームはこの短期間で絆が深まり強くなっていた。全員が精神的にも成長できていたに違いない。
 
 しかしその延長線上には別れという現実。それぞれが未来に向かって「なくてはならぬをつくる」に近づいているのであればそれでいいと噛み締める結末となった。

 

―2017年6月―

 社員にはなにも明かさないまま6月を迎えた。全員を大阪に招集し今回のことを発表する。ジョインするのが上場企業とあり、正式なプレスを打つまでは絶対に漏洩はできない。久々の集合ということもあり、いつものようにはしゃいでいる光景が見える。
 
 笑顔で振る舞わないといけない反面、いつになく緊張が走っている。この発表の反応はわからない。そわそわした空気の中、この時が始まる。発表はすべて正直に話す。そして理解してもらいたい。全員がポカンとした表情の中、壇上に立った。

 普段であればある程度行き当たりばったりでも大抵のことは話せるが、今回はそう簡単にはいかないとわかっていた。1から10までをしっかり話さないといけない。
 
 任務は伝えないといけないことを4枚の用紙に書いて準備、そして読み上げる、ただそれだけ。たったそれだけが心底苦しかった。社歴の長い社員は特に良くも悪くも感情が芽生えるはずだと。

 マイクを持ち、周りをゆっくりと見回した。目の前には2015年から採用してきた大勢の社員がいる。売上目標を追いかけ走り続ける社員。堅実に書籍をリリースする社員。
 
 この短期間で組織はこんなにも大きくなっていたのかと改めて感じさせられた。

 深く息を吸い、話を始める。今までのこと、そしてこれからのこと。冒頭から息がつまり、自然と涙がこぼれた。うれし涙ではないことはわかっている。
 
 やはり今までakippaと一緒にやってきた過去が大きすぎた。昔から一緒にやってきた社員にだけはこの涙の理由をわかってもらいたい。そう心で唱えながら話し続けた。
 
 この決断が正解なのか不正解なのか。不格好にも涙が出てしまったせいで、周りに心配させてしまったかもしれない。

 4枚の用紙を読み終え、みんなの顔を見た瞬間にスーッと心が落ち着いた。この騒動が始まって以来、初めてホッとできた瞬間だった。

 続いて管理部長もマイクを手に取る。彼もgalaxyに対して熱い気持ちがある。だからここまで必死になって動いてくれた。感情のコントロールが難しい中、涙ながらに話をしてくれた。

 60分ほどでこの発表は終わり、最後にショーケース・ティービーの紹介をする。まだこの時点では自分も実際どんな会社かはわかっていない。新たな親会社になることだけが共通認識だった。

 発表が終わり会議室を後にするとき、それぞれが話してくれた。

「頑張りましょう」

 そんな声は心なしか多く感じられた。全員が安心できるよう、新しい親会社役員とも近々会える機会を約束する。

 少しずつ慣れてもらわないといけない。不安よりも希望を持ち、次のステージを堪能しよう。

 7月以降を少しでも楽しめるように今から準備をしていく。ここからどんな成長が待っているのか、考えることは時間が足りないくらいたくさんあった。

 反対にこの瞬間、akippaには別れを告げないといけない。このgalaxyが誕生できたのはakippaがあったから。

 過去を振り返るとさまざまな感情があったけど、最後は感謝しか残っていなかった。今までの寂しい気持ちは少しずつ減っていき、自立しないといけないという気持ちが芽生えていた。

 たくさんの成長を与えてもらった。
 たくさんのことを学ばせてもらった。
 たくさんのことに挑戦させてもらった。

 だからこそ最後の最後は感謝で終わりたい。ここから道は違うけど、それぞれがハッピーならそれでいい。

 さようなら。そして、ありがとう。