ヴェネツィアは腕の良い職人達が作り上げた海上に浮かぶジオラマ細工のような街。


 今はまだ幸いなことに海水に浸されるのは海に近いエリアだけのようだ。早いとこちび丸子、いやサンマルコ広場に行って、レストランが開いているうちにランチをとらなければならない。もうお腹はペコペコだ。

水浸しのエリアにはギャングウェイと呼ばれる腰の高さくらいあるスノコ通路が作られていて、その上を歩く。
 

 
カメラ片手にキョロキョロ&トコトコ歩いていくと、ところどころすれ違うことも出来ない狭い箇所があって、反対からやってくる人と鉢合わせしたりする。そんな時は所々に設けられたすれ違いゾーンまで近い方がバックしてやり過ごすのが暗黙のりょーかい。
女子グループと鉢合わせしたりすると子供の頃に平均台で遊んだ記憶がよみがえって、ぶつかったところで、「どん!ジャンケンポン!」とやりたくなったりして20世紀少年の血が騒ぐ。
ところでジャンケンポンってイタリア語でなんと言えばいいんだ?ジャンケンってイタリアにもあるのか?…結局分からずじまいで、強硬突破して国際問題に発展してもいけないし、下手をすれば捕まっちゃってもいけない。…ということで「世界でいきなり”どん・ジャンケン”」の企画は見送ることとなった。

周りには長靴をはいて縦横無尽にジャブジャブ歩く人、裸足で歩く強者もいて、真似してみようかなと思ったが 女子グループと鉢合わせする機会がなくなる    水質が心配だし風邪でもひいたら旅がだいなしになるので、やめといた。私らしく理性的で賢明な判断だったと思う。
(ロンドンで大風邪を患った記事はコチラ→★)
 
サンマルコ広場も既に水浸し。ここでも今だからこそ経験できるギャングウェイ通路の上をゆっくり進む。
そして時折気まぐれのように海風が止むと、あたり一面の海水が水鏡になって美しい風景を映し出す。そのたび足を止めてはカメラのファインダーを覗き込んで楽しむのである。

暫く歩くと乾いた道になってホッと一息、かと思いきや住民が重たい平均台通路のパーツを運んで並べ出しているので、この辺りもこれから潮位が上がってくるらしい。きっと毎日この重労働を繰り返しているのだろう。
繰り返すようだが島の美しさとか楽しさばかりでなく、そんな一面も見逃さず、旅の奥深さというか人生の機微みたいなものを感じとるあたりが、この島を訪れた目的なのである。例の同僚から言われた「世界一美味しい」とか「魅惑のイカスミパスタ」ごときに心を惑わされて、わざわざやってきたわけでは断じてないのである。断じてないのであるが、「ところでランチは何を食べよう…」となると、まぁ、せっかくだから同僚の顔を立てて、話しの種にもなることだし仕方ないからイカスミパスタでも食べていこうかということになり、なぜかしっかりグーグルマップにマーキングしてあった美味しいお店のポイント目指してナビを頼りに歩きはじめた。
便利な世の中だ。
海外旅行をするとウォシュレットを発明した人を表彰したくなると「北京・天津・花いちもんめ篇」あたりで述べたことがあるが、ナビを発明した人も表彰したい。どちらも誰か分からないけど。

まだまだつづく

赤ワイン  白ワイン  赤ワイン  白ワイン  赤ワイン  白ワイン  赤ワイン  白ワイン  赤ワイン  白ワイン

ではではパー