ヴェネツィアはわずか一泊二日の滞在だった。事前情報ではアックアアルタの影響で、辺り一帯が水没しホテルが閉鎖の恐れもあったし、なんとか宿泊出来たとしても復興の足手まといになるのではという懸念もあったからだ。更に言うと、子供の頃からお世話になってきた人生ゲームのトラウマでゴンドラが転覆したり、お土産を買いすぎて散財する恐れがあったことも否めないのである。
ゲームはリセットが効くが本当の人生にリセットはない…な~んてガラにもなくカッコいいこと言いたくなるヴェネツィアなのである。



チェックアウトを済ませると、ホテルに横付けされた水上タクシー(大きめの屋根付モーターボート)に乗り込んだ。昨夜、コンシェルジュに空港までの行き方を相談した際に手配を依頼していたのである。

ディズニーシーのような狭い水路を船長の巧みなハンドルさばき、いや舵さばきでスムーズに抜けていく。。
橋の下を通る時は観光客達がこちらにカメラを向ける。こっちもテンション上がってるので思わずブイサインを出したり手をふったりなんぞしてディズニーシーのキャストになった気分である。
島の中を抜けるといきなり大海原が開けギアがスピードモードに変わる。
木製の電柱のようなもので作られたコースに辿ってマリオカートの様に時折跳ねながら猛スピードでマルコ・ポーロ空港に向かう。今度の気分は悪者に追われている007のジェームスボンドだ。



空港には本島から約30分ほどで到着した。
空港に船着き場があるのは、とても便利だ。羽田もそうすれば良いのに。千葉なんだけど東京ディズニーシーから船で羽田に移動したり、羽田から鎌倉に移動したりと観光導線としては渋滞もないし、とてもエキサイティングだと思うわれるので小池都知事、宜しくご検討下さい。

空港のレストランで軽いランチをとってエアフランス機に搭乗。
暫く離陸しないのでボンヤリ外を眺めていた。
羽田では整然と並んでるはずのコンテナや牽引カーのドーリーなど働くクルマがカオスな感じに置かれている。イタリアだなぁと小さく笑った。
荷物が行方不明になるのも分かるような気がする。



暫くして離陸すると高度が上がるに連れて海に散りばめられたヴェネツィアの島々の景色が広がっていった。
そして一時間もしないうちに美しい雪化粧を纏ったアルプスの山々を越えていく。これらの景色を写真に撮って帰りたかったが撮れなかった、無理なんだ。こういった雄大な景色は写真に収まりきれないものだ。だから自分の目で捉えて記憶に残して帰るしかないのである。それがまた旅に出ようというワクワクに繋がっているのだろうと思う。

着陸まではおよそ二時間。
着陸態勢に入りましたの機内アナウンスが流れると上品に輝く街並みが見えてきた。

               「翼よあれがパリの灯だ。」

       最後の目的地も華の都なのである。




つづく

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ではではパー