オススメ度:★★☆☆☆
理系度:★☆☆☆☆
ジャンル:工学
ピンボール。
やったことないけど、これを読んだらすごいやってみたくなった。
ピンボール、ボールを打って跳ね返らせてっていうシンプルなものなのに、本当に微妙な当たりの差とか感覚の差でもってこんなにも人をとりこにするっていうのがすごく面白い。なんかメカ的なものって本当に調子とかご機嫌みたいのがあるような感覚があって、ここでピンボールが擬人化されているのもそういう感覚と通じるものなのかなって思った。
この小説のあらすじというのを書くのは難しい。
「純粋理性批判」をいつも読んでいて、起きたら双子の女の子が隣に寝ていたりする主人公と、ジェイズバーに入り浸っている鼠。
そんな中で、僕は昔やっていたピンボール、それも3フリッパーの「スペースシップ」に執着する。僕を呼ぶ”彼女”を見つけるために、奔走する。
吹き溜まりにはまりこんだような鼠のほうは、街を出る決心をする。でもどうしても、ジェイの存在が気がかりで、、、
やっぱりこの本もこのころの村上作品らしく全体的に退廃的で、登場人物は大多数のようには社会に馴染めなくて、孤独で、でもなんか生活がおしゃれだし、もてる。
村上春樹作品、特にこの三部作って、色々と突っ込みながらも、読んでしまう。
なんだか気づいたらなんども読み返している。Kindle版最近?出たのでまた買ってしまった。
誰でもふとした瞬間にどうしようもない焦燥感(今までに何を成し遂げられたかな、あの頃、嫌だと思った人になってしまっているんじゃないかな、みたいな)を感じてしまうことがあると思う。
他にも、人を傷つけたかもしれない記憶が、いつまでも自分に残っていて、思い出すたびに胸がえぐられるような感覚になることがある。相手は覚えていないかもしれないような小さなことだったりするのに。
この三部作はそういうざわざわとした感覚を呼び起こしてくれる。だから、読んでしまうのかもしれない。
しかしどうしても村上春樹のこの三部作を読んだ後って自分のひとつひとつの行動とか感じたことが村上春樹口調で頭の中でリフレインしちゃう。
少し焼きすぎではあるが、悪くない味だ。 とか、
おそろしく不味いコーヒーだった。
みたいな。
風の歌を聴け→1973年のピンボール→羊をめぐる冒険→(ダンス・ダンス・ダンス)