鳥わたるこきこきこきと罐切れば 秋元不死男
一月の川一月の谷の中 飯田龍太
初恋のあとの永生き春満月 池田澄子
食道癌で入院中の最晩年の作。
虫のこゑいまなに欲しと言はるれば 石川桂郎
木の芽あへ女たしなむこと多き 及川 貞
ねむりても旅の花火の胸にひらく 大野林火
泥に降る雪うつくしや泥になる 小川軽舟
雪まみれにもなる笑ってくれるなら 櫂 未知子
生まれざりし身を砂に刺し蜃気楼 鍵和田秞子
向日葵や信長の首斬り落とす 角川春樹
天瓜粉(てんかふん)しんじつ吾子は無一文 鷹羽狩行