芭蕉全句91~95 | SAD VACATION

SAD VACATION

映画と音楽の覚書
趣味の詩など…

大裏雛(だいりびな)人形天皇の御宇(御代)とかや
季語「内裏雛」春 内裏雛を拝見して、人形天皇の御宇(御代)のめでたさもかくやと偲び奉った。謡曲「杜若」を踏む。「大裏」か「内裏」の誤記か。


初花に命七十五年ほど
季語「初花」春 初物で七十五日は命が伸びるという。初花を持ち帰った喜びは七十五年にも匹敵するだろう。「七十五」誇張・強調した点がみそ。


水むけて跡とひたまへ道明寺
季語「道明寺」夏 母御の霊前に水を手向け、道明寺(大赤府藤井寺市)糒(乾飯)も供えて弔うがよろしかろう。「跡とひたまえ」は、謡曲頻出。


あやめ生(おひけ)り軒の鰯(いわし)のされこうべ
季語「あやめ」夏 節分の鰯の頭が残ったまま、菖蒲の端午を迎えた。小野小町の髑髏から薄(すすき)、鰯から薄が生える形だ。謡曲「通小町」などを読む。


水学も乗物かさんあまの川
季語「あまの川」秋 七夕に小袖を星に「貸す」(晒す)。天の川が増水すれば、名工・水学宗輔も自作の船で両星を助けよう。実在の人物を配した奇抜さ。