弦楽器工房Watanabe・店主のブログ

弦楽器工房Watanabe・店主のブログ

弦楽器工房での日々の仕事の話について気儘に書いています。

音楽と趣味のブログはこちら⬇️
https://ameblo.jp/aoba-strings

弦楽器工房Watanabe HP

ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスの修理・調整・販売


仙台市青葉区本町2-6-30吉田本町ビル1F


tel:022-797-0745


〇当店はお盆期間も平常通り営業しております。
〇営業時間帯は普段と同じです(10:00~19:00)。

ただいまヴァイオリン、チェロ、弓と珍しい貴重な品が沢山入荷しております。殊に年代物の魅力的なチェロを5本取り揃えていますので、ご興味ありましたら是非。

⬇️1900年前後のストラド・ラベルのチェロ(独製)。
当店にて長期間かけて修理復元しました。

⬇️1750年作、ヨハン・カルロ・クロッツ(独・ミッテンヴァルト)。
以上、ほんの一例です。

⬇️今は花が長く持たないのでドウダンツツジを外と内に飾っています🌿。
仙台はこの時季とは思えないほど涼しく、また気候のすぐれない日が続いておりますが、お時間がございましたらお立ち寄りください。

弦楽器工房Watanabe・店主
022-797-0745

このたび、仙台市民の文化情報誌としておなじみの『季刊・まちりょく』のvol.42(4~6月号)で当店を紹介して頂きました。
『季刊・まちりょく』2021年4~6月号 

仙台市民文化事業団が制作する「まちりょく」は市内の図書館、音楽ホールなどの主要な文化施設に配布される無料の小冊子で、毎度芸術に関わるイベントやスポットを広い分野にわたって取り上げています。楽器愛好者のみならず多くの市民の方々が読まれる冊子ですが、記事のほかに、表紙の背景にまで使用していただき大変感激しました。
好奇心をもって丹念に取材され、とりとめのない私の雑談から、首尾よく要点を拾い上げて下さったご担当者様各位に、心より御礼申し上げます。

ヴァイオリン弓・Roger-Francois LOTTE。
OLD仏
(RAFFINほか二氏の鑑定書付)

昔のフレンチ・ボウは現在主流となっている化学繊維製の強い絃を弾くことを想定していないため、腰が弱くてダイナミックな表現ができないと感じる人もいます。もし現代製の硬質な弓に手が慣れている場合は、多少力を抜いた奏法を身に付ける必要があるでしょう。右手の圧力が弓の特性に敵ったものになってくると、大抵のオールド弓は美しく滑らかな音をヴァイオリンから引き出してくれます。
しかし、同じ古いフレンチ弓でも、密な木材を使用した弓は弾力性にも富み、テクニックを駆使しなければならない曲を難なく弾きこなすことができます。このLOTTEが製作したものも吸い付きがよく、安定感のある素晴らしい弓の一つです。
・・・・・・・・・・・・・
OLDフレンチは弓の相場としては最高ランクに位置し、高額な作家だと数千万円の値が付くものもあります。使用状態が良好であるかぎり、古い楽器、弓の価格は今後も低下するということは先ず無いでしょう(もちろん、LOTTEはそこまで破格な品ではないです)。

住宅とか高級外車ならともかく、たかが楽器をこする道具に過ぎないものが何百何千万とは、と呆れ返ってしまうのは尋常な感覚だろうと思います。純粋に弓に求められる実用性だけを問題にすれば、その価格はたしかに「高すぎる」と言わざるを得ません。
そして、素人考えでは音の良い楽器、音量や音色が出る弓ほど高価だと思いがちですが、事実を言うと、値段は音や性能を保証しているわけではありません。作者、国、年代、現存する本数。これらを需要と照らし合わせることで市場価格が定まって行きます(もっとも、元を正せば質の良い芸術品を沢山供給した職人や賞を取った作家が好評価を得ているわけで、値段のつく作家には少なくともいい加減な品物はありません)。そうではなく、仮に先に書いたような音色の美しさとか弾力性という、個人の主観を通じてのみ感じられる要素を基準にしてしまうと、各業者の考え次第で物の相場に幅が出来たり、破格になったりする恐れが出てきます。目で確認できない長所に値を付けると不味いことになるのです。

それよりむしろ、この弓がLOTTEの作であるかが証明されている事の方が価格設定をする上では大事になってきます。鑑定家の権威にすがれと言うつもりはありませんが、たとえ物をよく動かしている楽器店であっても、残念ながら我々日本人には西洋楽器の鑑定をする資格は与えられていません。仮に見る目があるディーラーさんであっても、そこでの判断は、世間的には自称目利き的な範囲を出ないものになります。

弾き味が値段に対して不足しないと言うなら気分的には悪い買い物ではないでしょうが、本物の値段帯で売られていたものが本物でなかったとしたら、それは決して良い買い物とは言えなくなります。安いものを高く掴んでしまって、将来売りに出したい時などに嫌な思いをしないために、できれば素性のはっきりした(鑑定済みの)商品を手にされることをおすすめします。

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

年始日程は、
明日2日と3日が初売り(10:00~18:00)、
4日以降は通常営業となります。
なお初売り時には、通常の修理調整も承っております。

今年はお正月から激しい寒波に見舞われ、仙台市内も雪道となっておりますが、どうか足下にお気を付けの上ご来店くださいますようお願い申し上げます。
皆様のお越しをお待ち致しております。

2021年が皆様方にとって佳き年となりますよう心よりお祈り致します。

弦楽器工房Watanabe

夕方の愛宕神社↓


昨日の19時をもって年内の業務はすべて終了致しました。
音楽を愛する多くの皆様方のおかげで、本年もより一層、充実した月日を送ることができました。長きにわたるご厚情、そして新たな出逢いに心より感謝申し上げます。

年明けは2日、3日が初売り。
併せて通常の修理調整のご依頼も承っております。

正月飾りと一緒に年始用の生け花も用意しました。↓
(気に入ったので年明け前に公開します)

光陰矢のごとし、一年365日は瞬く間に過ぎ去って行きますね。疫病の問題は、じっと待っていても、人形を飾って手を合わせていても簡単に収束するものではないですから、これからは視野を広くして、明るく能動的な気持ちで前進することが、健全な社会を維持発展させる上で大事になってくると思われます。いたずらに長時間にわたり暗いムードを煽り続ける報道番組は、大事な問題とはいえ、もう少し控え目にできないものかと個人的には感じます。
試練はいつの時代にも次々と立ち現れます。地震や津波、放射能、戦争・・これから先も、人間の生活基盤を揺るがしかねない恐ろしいものは他に幾らでも出てきます。安泰や安定を求める気持ちは人間ならば誰にもあるでしょうが、生きるというのは夢でなく現実。現実を受け入れ、乗り越えたところに本当の夢がある。最初に夢ばかり見てふわふわとした土壌を心に作っていると、突如としてやって来る現実の重みにはとても耐えられなくなる。大震災を体験して以降、私自身は次第にそういう順序で物を考えるようになって行きました。

神とか仏という眼に見えないものについて、私は本当に知識が浅い人間ですが、その存在については疑いを持っていないつもりです。仏には場合によりご加護というのがあるかも知れませんが、歴史を見る限り、結局、神は放っておいて人間を幸福にしてくれるものではないと考えるのが正しいように思います。
今回の事も、神が人間に与えたもうた試練だとしたら、神に向かって「早く収束しますように」と何十回祈ってもおそらく意味は無いでしょう。しかし私たちの精神力と体力を試すための自力本願ならば、神も神社もその強い意思表明だけは受け入れてくれる気がします。あとは純粋に我々一人ひとりの課題です。


外は昨日から雪。予報の通りで、大晦日から正月にかけては寒気が強くなりそうです。
皆様ともに佳き新年をお迎えくださいますようお願い致します。
ありがとうございました。

弦楽器工房Watanabe
楽器には板の表面にツヤのあるものと無いものがあり、それは製作時のニスの塗り具合で決まると思っている方も多いと思います。
しかし、もしもニスの層が木肌が見えそうなくらい薄い状態でなければ、大抵の楽器は磨きをかけることで鏡のような光沢が出てきます。磨きオイルには油分のほかに研磨する成分が含まれており、これがわずかにニスの凹凸を均して面を繋げ、遠目にも分かるくらいのツヤが出てくるわけです。
磨くには繊維の目が立っていない柔らかなネルを使う必要があります。粗い生地ではツヤが出たとしても細かな擦り傷が無数に残ってしまうので、新たな傷を付けるくらいなら磨かず曇らせた状態にしておく方がまだいいでしょう。
これは特別専門的な作業というわけではなく、自分でポリッシュを持っている人もいますが、慣れていないと一生懸命ゴシゴシとやるうちに板を割ってしまったり、かえって面を曇らせてしまったりする事もあるので、できれば専門店に持ち込んで、弦や駒を外して調整するついでに磨いてもらうのが無難でしょう(普段の手入れは乾拭きだけで大丈夫です)。

1800年代のチェロ↓
元は時代感のあるくすんだ色合いの楽器でしたが、オリジナルのニスを磨き、乾拭きするだけでこのような明るい光沢が出てきます。

明日12/2(水)から12/27(日)まで年末セールを開催致します。

国、時代を問わず良質な楽器、弓を多数ご用意しております。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。

◯ご購入の方にささやかなプレゼントがございます。
◯年内は30日(水)まで営業しています。

余談。
⬇️昨日活けてもらったピンポンギク、バラ、ニゲラ、ユーカリ、ロータス。Magentaさんの花です。

2012年より、公私混同的に仕事と趣味の記事を同じIDで投稿し続けてきましたが、本日より直接業務に関わりのない記事は下記のページに書くことに致します。
⬇️⬇️

店のホームページ上にブログとインスタグラムのリンクを貼り付けたのを機に、分けることにしました。単に楽器の情報を得たいだけの方がレコードの感想やクマの動画を見せられても困惑されるでしょうから、このページでは弦楽器や商品の話を中心に紹介してゆく予定です。
ただし、過去のプライベート記事についてはこのページ上にそのまま残しておきます。

IDとブログタイトルは適当に付けただけで、そのうち変更することがあるかも知れませんが、誰が書いているかが分かるように店名の表記だけは残すつもりです。

私は性格的に、自分の素性を隠して意見を発信することにはあまり興味が持てません。自分は匿名のまま、名指しで他者を批評、批判するというのは今やありふれた光景になっていますが、人間として非常に不健全で陰湿な行為ではないかと思っています。見えない安全な場所から石を投げつける人を見て、尊敬の念を抱くことができるだろうか。物を言う時も、芸術的な作品を書く時も、間違っていてもいいから自分自身の言葉には責任を持つようにしてほしい。昨今目立っている政治家の失言などは公人として誉められた事とは決して言えないが、少なくとも顔が割れたところで物を言っている点は陰湿ではない。対してそれをネット上で糾弾する人はほとんどが匿名です。演説や講演と同じように、先ずは名乗ってから私見を述べるという当たり前のことが、もう少し世の中に定着してくれたらと願っています。
(ごく平穏な記事をハンドルネームで書かれている方を悪く言うつもりは全くありません。)

それはともかく、当ページの投稿も続けて参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


円通院(えんつういん)は瑞巌寺に隣接する臨済宗妙心寺派の寺院で、伊達政宗の嫡孫伊達光宗の菩提寺。光宗は幼い頃から才智ある人物として幕府側にも名を知られていましたが、弱冠19才の時に江戸城内で没し、その死因として毒殺、病死の二説が伝えられています。
父である二代藩主伊達忠宗が光宗の死を悼んで建てた霊廟三慧殿は国の重要文化財に指定されており、霊廟内の厨子の中には馬に跨がる光宗像が祀られています。
三慧殿の他に円通院には古い洞窟群、沢山の樹木や石を配した庭園があり、松島観光の名所のひとつとなっています。今の時期は名物の紅葉を見に訪れる人が多く毎年夜のライトアップも行われますが、今秋はコロナ流行のせいか日中の拝観のみ受け付けています。

昼間は日焼けするくらいに青々とした空が広がっていた松島ですが、円通院を出る頃には早くも陽が山の向こうに隠れ始め、17時を待たずして海側から冷たい潮風が吹いてきました。

最後は仙石線の松島海岸駅へ。海は東側なので夕陽は見えませんが、日暮れ近くになると水平線の彼方の空が微かに色づきます。

かりそめの遠出なれども夕されば旅のこころとなりにけるかも
御風

旅先の糸魚川で見つけた相馬御風の自画賛(色紙サイズの肉筆作品を表装したもの)。
※表記と読みは、多分以下のようになると思います。⬇️
「元旦雪布る
今朝布里志雪尓つ計由久安志跡者古と志はし芽能安志跡尓し丁 御風戯」
「元旦雪ふる
今朝ふりし雪につけゆくあし跡はことしはじめのあし跡にして 御風戯」

御風は能書家の文士ではありますが、絵描きという意識はなかったため、自筆の絵に歌の文句を添える場合は「御風書」とせず、これは遊びのようなものだという謙遜の意を込めて「御風戯」と記しました。しかし絵が専門でなくとも、常日ごろ書家以上に墨書に深く親しんでいる人だけあって、この犬の肖像にもセンスの良い手慣れた雰囲気が出ています。
これは戌年の雪の元旦にしたためた書と思われ、表装もお正月らしい華やかなものです。おそらく町の誰かに渡すために半ば即興的に絵と歌を書いたのでしょう。署名の字の特徴から推すと(「風」が右肩上がりになっている)、時期は晩年の1946年ではなく一回り前の戌の1934年かも知れない。その12年前だとしたら1922年。どちらと断定できる理由はないですが、私は文字全体の印象から何となく34年のような気がしています。
雪国の海辺の冬の厳しさ、寂しさを知る人は、新年の朝を迎えた作者の言葉を自らの実感のように辿ることができるでしょう。生活の上に重くのしかかり、何ヵ月も他国との交流を妨げる大雪は、歌人にとってもいたずらに叙情的な気分で扱える対象ではないと思われますが、それでも雪につけたみずからの足跡を見つめる御風の心には自然への嫌悪感は少しも感じられない。新しい一歩を踏み出す決意や覚悟と同等に、ある種の親しみをもって雪を迎える気持ちが込もっている風にも見えます。

今はまだ葉が美しく色づいている11月。冬の厳しさなど想像もつかない陽気に恵まれた幾日間でしたが、こんなに雲一つなく晴れ渡った糸魚川を見るのは初めての経験でした。
〇曹洞宗直指院(じきしいん)。⬇️
御風揮毫の良寛詩を刻んだ石碑が建っています(戦前のもの)。老木や小さな川があり自然の情趣がゆたかなお寺です。大正期の御風の名著『大愚良寛』はここの一室を借りて執筆されました。

〇御風宅。生家にして糸魚川退住後の仕事場、そして終焉の場所でもあります。二度の火事に遭っており、生後から数えると三度建て替えられています(二度目の建て替えは御風が糸魚川へ戻った時。これは老父一人が暮らせるくらいの手狭な造りだったのを広くするために新築しただけで、火災が原因ではない)。保存されているのは昭和3年の建物。

御風の墓。清崎の大町霊園。

〇糸魚川の海。⬇️
青空を映す朝と、親不知海岸の彼方に沈んでゆく夕陽。
名所旧跡めぐりがどんなに心楽しくとも、陽の光の下で最後に見る景色ほど、旅中の情を切々と掻き立てるものはありません。