
当店は例年どおりゴールデンウィーク期間も通常営業しております。どうぞよろしくお願い致します。
今週は、珍しくレッスン室でお客様のチェロを選定していただく機会がありました。

楽器選びについては、基本的に今までと同様に店舗だけで間に合わせていますが、やや高額のものを試奏する時などに、レッスン室を使ってじっくりと吟味していただく事があります。天井が店より30センチ高く響きに余裕が出てくるため、こちらで弾く方が楽器の違いがよく分かるという方もおられます。さらに3つのレッスン室はそれぞれに響きの趣きが異なり、計4部屋のどの音を基準に置いたらいいのか、正直なところ私自身も明確な答えが出せない状況にあります。
理屈の上ではその人の居住する空間ごとに違う音が出来上がるはずで、壁やカーペットの質、家具の配置などすべてが微妙に音響を変質させる要因になるでしょう。しかしそれを言い出すと際限の無い話になるので、少なくともお客様の楽器選定に際しては、部屋の条件のことはあまり深追いしないようにしています。
しかし私の過去の経験上、買った後に自宅で鳴らす音があまりに店の音とかけ離れていて失望したとか、返品したいと言われたことは一度もありません。不思議と言えば不思議なことですが、人間の耳はコンサート会場のような音響効果を考え抜いた空間でなくとも、楽器の本質的な性格をかぎ分ける能力を持っているようです。狭い洋室で弾いても、音の反射が少ない和室で弾いても、表面上の違いはあれ楽器の地の性格だけは残るという事なのでしょう。
そう考えると、楽器選びでは純粋にヴァイオリンやチェロそのものの品質を問うことが肝要になってきます。音色や性能が各人の感性に合うかどうかを、正直な気持ちで見極めれば間違った選択はしない。これは、一般消費者に楽器を提供する我々業者が仕入れをする際にも、先ず大切にしなければならない感覚です。



4日前の日曜日、「宮城県芸術協会音楽コンクール」のヴァイオリン部門本選が行われました。私は2月11日の予選に続き、楽器の調絃・調整係として一日舞台裏で待機しました。場所は日立システムズ・ホール(仙台市青年文化センター)大ホール。
調絃室↓


コンクールに出る以上は入賞するに越したことはありませんが、元々人間の審査には公平を期していても必然的に主観が混じるものだし、芸術性の繊細な部分は点数化できるものではないから、選ばれなかった人たちも過度に自信喪失する必要はないと私は思います。
それよりも、これはコンクールに限らず、公衆の面前で何物にも頼らず芸を披露すること自体が、人間的な自信が身に付く元になり、また自分のヴァイオリン演奏の本当の実力を自覚するためにも益あることではないだろうかと思います。
私自身かつて味わい得なかった、悩ましいまでの幸福感に包まれる一時でした。古木から湧き出てくる艶のある音の粒が、耳や外皮に止まらず、全身の血の内にまで滲み渡ってゆくかのような不思議な感覚に囚われました。大自然の神秘を前にしても色褪せないほどの素朴な声音の美しさは、レコードに聴く歴史的名演奏の体験のごとく、いやそれ以上に一生涯の間、潜在的な記憶として自身の中に留まり続けるであろうと思います。高価で権威あるストラディヴァリの作品だからといった、世俗的な関心から来る満足とは別種の感動であることは言うまでもありません。弾いてみれば大傑作かそこまでではない楽器かの違いくらいは、特段プロ奏者でなくとも判別はつきます。
ここにユーディ・メニューインの弾く1950年代の録音を貼り付けているのには理由があって、実は今回お借りしたストラディヴァリウス「Kneisel,Grun」は、氏が全盛期にあたる1950年より87年まで愛用した極上の銘器「Soil」と製作年、寸法が同じで、同一の木型を使ったと思われる姉妹のような楽器です。目立った作為の見当たらない極めて端正な外観も、図鑑で目にしていたメニューインの「Soil」かと思うくらい酷似しています。
楽器店主と言えども、こうした桁違いのヴァイオリンの銘器(18億円)を何日も借り受けられる機会は滅多に訪れるものではありません。仮にこれが一奏者の所有であれば、楽器は命の次に大事な存在となるので、自分の目の届かないところに貸し出すという事はまずあり得ないでしょう。だから今回、20名のお客様方と同じ清新な感激を私自身も味わったと言って過言ではありません。
一生に幾度とは巡って来ないであろう、この度の思いがけない出会いに心より感謝しています。


明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年は多くの皆様の長きにわたるお引き立てのおかげで、平生の業務に加え、新規事業における土台づくりを完遂することができました。誠に感謝の気持ちで一杯です。心より御礼申し上げます。
31日の15時に年末の業務を終え、明けて2日からは上記の通り、初売りを兼ねた営業を開始しております。
初売りは本日4日まで。
5日からは通常営業に戻ります。
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大晦日も元日もテレビを見ず、実質、神社への参詣だけが正月休みらしいひと時となりました。よく正月から大変ですねなどと言われるのですが、我々のようなサービス業に従事する者は、何より自分たちの仕事を通じて新春の特別感を味わっているところがあり、飾り付けをしたりレイアウトを変えたりこまごまと動いているうちに自らも楽しく華やいだ気分になってゆくものです。
本当は楽しいことばかりではないのが現実。世の中も地球も生き物で、蓋を開けてみないと何が起きるか分からないという事を思い知らされた初春ではありますが、各々の立ち位置で、いつも通りの責任を果たしながら明るく生きるという事は、どんな時にも求められる姿勢ではないかと私は思っています。
皆様の心身のご健康と幸多き日々を祈念致しつつ、本年も心機新たに始動して参ります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
弦楽器工房Watanabe

この度のレッスン室建築にあたり、設計段階から施工後までに様々な難題がありましたが、一番苦慮させられたのは、やはり出来上がった三部屋の音響を落ち着かせるという事でした。床をカーペットにしたので音が暴れることは無いだろうと楽観していたのですが、少々認識が甘かったようです(笑)。
一般家庭のように雑然と物を並べると、音が程よく屈折して反射は収まるのですが、レッスンに必要のない家具類をむやみに置くわけには行きません。ボックスを広く保ったまま、弦楽器の響きを柔らかくまとまり良くするのが課題でした。
そこで追加工事として、二部屋に厚手のカーテン、もう一部屋に五種類の吸音素材を取り付けました。
この吸音対策は驚くべき効果を発揮し、各部屋ともに響きすぎず、こもりすぎない快い残響音に変わりました。
〈レッスン室1〉

既存の壁二面が硬いコンクリートのため、一番反響が激しかった部屋ですが、カーテンの効果で高域の角が取れ、中低域の存在感が増した感じです。
床面積に対するカーテン面の比率はこの部屋が一番大きく、そのためか今では音の感触が最も柔らかくなりました。
*広さは何とか弦楽四重奏ができるくらいです。
〈レッスン室2〉
(吸音材を五層にしたのは、隣り合った部屋どうしの遮音が第一目的。)
〈レッスン室3〉
丈3メートルのカーテンのおかげで、ヴァイオリンらしい層の厚い響きが出るようになりました。伸びやかなのに適度にエッジが利いたような不思議な音がします。合奏、カルテットの練習で長時間使用しても耳が疲労しないと思います。
いずれも音響的には長所と言える条件と思いますが、カーテン等で反響を抑えた結果、初めて建材の響きの良さが生きてきたように感じます。
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なおご使用の際は、各室の音を比較された上で好みの部屋を選んで頂いて結構です。私自身、その性格の違いを体験するのを楽しんでいるところがあり、結果的には均一な音にならなくて良かったと思っています。
ブログでのご案内が遅くなってしまいました。9月から施工が始まった音楽教室は、無事10月17日にオープンし、追加工事も先月中頃に終了しました。
玄関とロビー⬇️


ロビーから見た各レッスン室⬇️

一番奥の部屋(レッスン室1)⬇️
3つの中で最も広い部屋です。

中央の部屋(レッスン室2)⬇️
現在は右手の壁はボードに変わっています。


一番手前の部屋(レッスン室1)⬇️
二番目に広い部屋です。

○ワンレッスン制、1回1時間
○幼児または1時間レッスンが困難な児童の場合:30分4000円
○入会金:3000円(初回レッスン受講後、継続される場合)
○各部屋とも冷暖房完備
譜面台、椅子はご用意しております。
○初心者から中級、上級者、進学を目指す方までを対象とし、生徒様のレベル、ご希望に応じて講師をご紹介しております。
○初級のうちは等間隔でレッスンを受けることが望ましいですが、それぞれのご家庭の事情があると思いますので、担当の先生と相談の上、ご無理のない範囲で受講していただければ結構です。
〈練習室のご利用について〉
音楽教室の他、個人またはグループでの練習室としてお使いいただくことも可能です。
1時間:1500円(当教室の生徒様は1000円)
ご興味のある方は、お気軽にお電話にてお問い合わせ下さいませ。
⬇️
(022-797-0745 弦楽器工房Watanabe)
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11月にはカーテン設置、5重のボード貼り、二重窓の取り付け、コーキング、という吸音・遮音のための追加工事を行い、3室とも弦楽器が柔らかく響く部屋に生まれ変わりました。厚い遮音ボードのおかげで隣り合わせの部屋の同時使用も可能になりました。
楽器店のレッスンといえば、世間的にはどうも販促のための方便と見られやすいところがあります。私はそれが嫌で長く教室開設は躊躇してきたのですが、レッスン室はあくまでも生徒様方の技術習得の場、音楽的感性を育む場として、本来の目的の下に発展させて行きたいと思っております。
どうぞよろしくお願い致します。















































