歳をとる前に、人生の苦痛を処理しておかないと、苦しい老後になってしまうと、前回のブログに書いた。
その後、本日のブログまでにだいぶ、時間が経ってしまった。


私は、読売新聞を購読せず、朝食時のファミレスの無料新聞サービスを利用して、人生相談を読んでいる。 それで、無料の新聞を毎日は読めないが、ここしばらく、これという人生相談QAが無かった。
そんな中、本日の読売新聞の人生案内に、30年前の夫の浮気が許せないという50代の女性の人生相談が載ったので、コメントをしてみる気になった。


まさに、この女性は、今のうちに、処理しておいた方が良い課題をかかえて苦しんでいる。
回答者は、作家の最相葉月だ。過去にこのブログでも、彼女の著書“セラピスト”を紹介コメントしている。
最相は、浮気をされた妻に徹底して寄り添い、未来のあなたが自己憐憫の涙にくれて人生を終わらないために、離婚を考えよ!とアドバイスをしている。

こうしたアドバイスを、女性は望んでいるのか?この女性がほしいアドバイスは、我慢しているあなたはえらいです!かもしれない。


確かに、離婚は良い解決法かもしれない。
しかし、離婚を望まないのなら、くやしくてたまらないのは、なぜ、今なのか?を、この女性に考えて欲しい。
子育て中の女性は、いろいろ考えなければならないことが多く、気が紛れている。
しかし、子育てが一段落してしまうと、他に心を砕くことを失ってしまう。他人の喜びをもって自らの生きがいとする人生は、報われないと感じる経験がしばしば、起きてくる。


そして、若くエネルギーがあったはずの自分自身がいなくなる。鏡にうつる自分自身が若くない!。
老後もせまってきて、社会へのかかわり合いも減ってくる。
私の人生なんだったのかしら?で悩みだすことが多くなるのではないだろうか?
つまり、苦しいのは、長い間、がまんしてきたからというより、彼女自身の心と体の変化が影響している。

忘れるためには、新しい人生イベントに期待することが大事だが、この女性には、それができなくなってきているのではないか?女性は、漠然と忘れようとしているが、現在の幸せを感じることができなくなっている。


家庭にいると、安定した生活が当たり前となり、夫への評価も薄くなり、結婚生活のメリットが感じられなくなる。
女性が陥りやすい落とし穴だ。



今が最も苦しいのは、自分勝手なご都合主義もあるためではないのだろうか?
今になって、夫の浮気だけがこんなに苦しいと感じるのはなぜか?と、思いをめぐらすだけでも、苦しさの方向転換のきっかけになるではないかと思う。
そして、どんなに心をつくしても、他人は、思い通りにはならないことを肝に銘じるチャンスでもある。


30年前の浮気の後に、夫は浮気をしなかった! そこを、評価してみるのも良いだろう。
夫も相当に懲りたはずである。つまり、妻を愛していたと評価できるのではないのか?夫の改心に答えて、愛される妻である努力は、したくないのか?


普通、人は、いやなことは、時間がたてば忘れられることが多い。人の脳は、苦痛を忘れるようにしくまれている。そうした生体反応に逆らって、くやしい思いを募らせるのは、自らで努力して、脳をくやしくてたまらない方向へ方向づけているのである。マウスの実験では、学習効果と呼ばれる現象である。


男女に限らず、人は、自らの判断で、自ら決める人生を生きたい。妻も夫もしかりである。


人は自らの判断を大事にして、判断した自分を評価することは、メンタルヘルスに大事なことだ。この女性も、若い時の自らの判断を評価した方が得策だと思う。せっかくの長い間の我慢が無駄にならない生き方をしてほしい。


この女性が夫の浮気に行動を起こさなかった理由は、新聞には書かれていないが、女性が経済的に自立できない、1人で子育ての自信がない、離婚がみっともない、夫が好きだった、等々、複数で複雑ではあったであろう。


大事なのは、妻は我慢するという判断をしたことである。
夫の浮気を、妻が気がつかないふりをするということは、夫婦が長い将来を過ごすことを考えると、有利な面がある。
女性自らで、我慢すると言う判断をした事は、賢明な選択だったかもしれない。そこは、女性は大事にすべきだし、それが実を結ぶ生き方をしてほしい。


女性が、自らした判断には、愛着を感じるべきである。しかし、女性が今、我慢するということを止めるという判断をするなら、それも大事な判断である。


若い時は、我慢した。しかし、今は我慢できないのは何故か?何か違うのか?そこを考えることが、大事と思う。この女性は、夫との間には子供がいて、子どもに迷惑がかかるので、実家に帰る勇気が無いとも言っている。
つまり、くやしくてしかたないけど、他人のために我慢している人生と感じているのだ。
こうした生き方は、とても女性のメンタルを悪化させる。私さえ我慢すれば!の生き方である。


こうした思いで人生を過ごせば、いわゆる更年期障害と呼ばれる体の不定愁訴で悩まされ、さらに歳をとって判断力が低下すると、くやしい人生で終わるのではないか?・・・・。


しかし、それでも、夫がかなりの遺産を残してくれれば、妻は報われるかもしれないし、苦しい思いから解放されるかもしれない。その時には、我慢して良かったと思えるのかもしれない。
しかし、今、それほどを残せる人は少なくなっている。


あるいは、妻の座を守り、長い時間、夫をささえた代償として、離婚手続きが有利に運べたらそれも悪くない選択肢だ。慰謝料は、若い時からの苦労の代償とも考えられる。

楽になれるための解決法を、老境になって判断力が衰えない前に、相談者の女性は考えて欲しい。その判断に、他人のためという感情を入れ込まないことも大事だ。あなたは、あなたのために判断しているのである。


歳をとると、理性が弱くなって、自らを省みることができず、容易に他人のせいにしやすくなるのである。
自らの判断で前に進んでいると考えることのできる理性ある年齢の時に、納得の人生の基礎を作っておくことが大事だと思う。


画家の松園も、苦しい思いを絵にした。そして、彼女の手記によると、この絵を書いてから、気持ちが吹っ切れたという。芸術家は、こんな風に昇華できるのはうらやましい。


ほのう