図書館の本の購入 | 学校図書館司書な日々

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学校図書館の事や思った事、児童書の紹介など個人的見解を書いてます。
初心者さん向けです。

今日は、図書館の本の購入について書こうと思います。


まず、財源ですが、図書館の本の購入には、大まかに市費とPTA費があります。

これは、市からいただくお金と、PTAからいただく寄贈です。

これ以外にも、それぞれの学校でいろいろな寄贈があったり、逆にPTA費がつかなかったりします。


市費は事務の先生、PTA費は教頭が管理しています。


金額はそれぞれ学校の規模で違ので何とも言えません。

また、蔵書達成率という、学校の規模での「○○冊くらい図書館に本があるのが望ましい」という図書館の蔵書冊数の基準があるので、それによっても変わってきます。


このそれぞれの図書費は、大体新学期始まって少ししてから(4月の半ばから終わり頃に)わかります。

それから、選書を始めます。購入する本を選ぶ事を選書(せんしょ)といいます


毎年必ず買うのは、読書感想文コンクールの課題図書・県指定図書です。

他は、教科書に載っている本が足りなければその本を、調べ学習に強化したいものがあればその本を買い、残りは、壊れた本や古い本を廃棄(この廃棄にも、もちろん基準があります)して買い直す本と、新しい本を選びます。


先ほど書いた蔵書基準には、先日の記事「図書館内の本の置き方(分類)について の中で書きました日本十進分類法に基づいて、どの分類がどのくらいの割合あるのが望ましいという基準もあるので、それも考慮して選びます


本を選ぶのは、各出版社が出しているカタログ、インターネット、書店が何十冊か本の見本を持ってくる巡回図書、書店等へ実物を見に行くという方法等があります。

私の場合は、カタログと書店等で直接実物を見る方法が多いです。インターネットはたまに使います。

他には、司書同士で情報交換したり、各学校図書館が発行している「図書館だより」をチェックしたり、書店さんに他の学校がどんなものを買っているか情報を聞いたりします。


本を選ぶのは司書や先生方です

え? 子どもは選ばないのか?

子どもの意見は、司書によと言えます。


私は、リクエストカードを置いて、読みたい本がある人はそれに書いてもらうようにしてます。

ですので、人気のシリーズ本などは、発売直後から購入してなくてもリクエストカードが殺到します。「買え!!」と子どもから無言の圧力がかけられるわけです。

また、カタログを見る場合は、私は子どものいる休み時間や放課後を利用しているので、子どもたちがカウンターへ集り、「あれが欲しい」だの「これはダメ」だの、予算も考えず言いやがってくれますし、

書店に行く日が決まったら、「○○日に本買いに行くから、それまでに欲しい本があったら言えよ~」って授業内で告知すると、やっぱり口々に「野球の本」だの「手芸や料理の本」だの予算も考えずに言いやがってくれますので、

それを参考にします。

当然、その本が入っていなかったりすると「なぜ入らない」と口々に文句を言いやがります。「予算に合わせて電卓叩くこっちの身にもなりやがれよ、こんにゃろ~」っと思いますが、それだけ図書に関心を寄せてくれているということで嬉しくも思う。で、そんな時は、公共図書館で借りてきたり、代品を差しだしたりします。


と、私の場合はこうして子どもの意見もいくらか聞いていますが、全く子どもの意見を聞かない学校もあるようです


また、私の場合は、本を選んで注文書を書いて、市費なら事務の先生、PTA費なら教頭に注文書を見せてから、書店に送るという、とっても楽なところが多かったのですが、学校によっては、司書教諭→事務→教務→教頭→校長とチェックが入るところもあるそうです。

チェック機関はある程度必要かとは思うのですが、本のプロのチェックでなければ、あまり意味がない気がします。

先生の意見があまりに入り過ぎると、教育関連ばかりの面白みに欠ける図書館になるのではという気もします。私が知っている悲惨な例を挙げると、理科や社会の本が基準より大幅にあり、文学は「ぞくぞく村シリーズ」が6セット、「幼年向け西遊記全10巻」「幼年向けファーブル昆虫記シリーズ」「幼年向けシートン動物記シリーズ」が5セット、「ハリーポッター」が3セット、と「何故、もっと別の本も買ってやらないんだ!?」ってところがありました。先生だけが本の選書をして、こうなったそうです。

ちなみに、PTAがチェックする学校もあるそうです。


で、先生にも、もちろん本を選んでもらうのですが、こう言っては何ですが……先生は、なぜかトンチンカンな本を選ぶ方が多い。

「なぜ、この本を選んだのですか?」

と聞くと、

「子どもが読みそうだから」

と言う答えが返ってくるのは、大体ダメです。

先生の選ぶ「子どもが読みそう」と子どもが読みたい本は、大体ずれています

って言うか、そんな本選んでくれと言ってない!!

そんな、子どもに媚びるのは司書だけで良くて、むしろ先生には、

「これを読め!! っていうか、俺が読むから聞け!!」

ぐらいの先生が子どもに読ませたい本を選んで欲しいのです。

学校図書館には、先生が読ませたい本と子どもの読みたい本のバランスが、とても大切だと思うのです

なのに、「私は、本、あまり詳しくないから~」と及び腰になってしまいがちです。

担任の先生や好きな先生が子どもの頃に好きだった本とか、最近読んで、もしくは今読んで面白かった本、感動した本など選んでくださると、子どもたちはそれに興味を持ってくれるので、ぜひ、そういう本を選んで、子どもたちに薦めて欲しいなぁと思います。


この図書費のうち市費の分は、大体12月までに消化します。PTA費は、遅くても2月上旬くらいまでに消化します。

少し早いのではと思われるかもしれませんが、その年度に読んで貰う為の図書費なので、6年生が卒業してしまわないうちに全部の本の購入を終わり読める状態にしておかなければならないのと、事務手続きの関係の為です。


選書にあたって、先輩の司書からは、「『こういう理由で購入する』という理由づけが必要よ」と言われました。

ま、当然ですよね、理由も言えないような本を血税で買ったとなるとよろしくないです。教育委員会に聞かれても、PTAに聞かれてもバッチリの理由くらい用意できなければ。

その言葉に、なるほどなるほどと思い、「これを買うのは、これこれこういう理由だ!!」と自分の中で言えるように用意しています。


と、ここまで、ざっくりですが、図書の購入について書いてみました。

選書については、またの機会にもうちょっと詳しくかければと思います。