第2回 日韓美容外科学会 

2009年4月19日 韓国・ソウル

(第96回 日本美容外科学会と併催)


~The 2nd Korea-Japan Aesthetic Surgery Conference 96th JSAS


今回は韓国ソウルで開催された第2回日韓美容外科学会に行ってきました。


春先にJSAS学会長を務められた福田先生(ヴェリテクリニック)からお誘いを受け、急遽参加することに。(もちろん発表もしてきました)


ところが、折からの韓国ブームでなんと飛行機のチケットがなかなか取れず、かなり焦りました。


MENTOR社(世界で2社のFDA認可breast implantを製造するシリコンインプラントのトップブランド:もちろん当院でも使用しています)代理店のアスク佐藤さんのおかげで、同行の院長とは別便ながらも、なんとか直前にフライトを確保することができました。


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初ソウルにわくわくしながらKorean Airで韓国へ。


離陸したのも束の間、1時間ちょっとで、あっというまに仁川国際空港へ到着。

快適なリムジンバスでストレスフリーにソウル市内へ、シックな造りのSeoul Plaza Hotelにチェックイン。


早速ホテル近辺をぶらぶらし、スターバックスでコーヒーを買った後は、いつも直前まで発表の準備…。


そして翌日、ソウルCOEXコンベンションセンターへ。



会場は朝から熱気にあふれており、我々も“How to make feminine looking”というタイトルで、男性的な顔貌を女性的にするための手術のポイントについて発表してきました。

(下記に詳しく解説します)



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今回、特に韓国のドクターの発表は全体的にレベルが高く、また質疑応答でも白熱した議論が交わされることも多く、美容先進国にふさわしいものでした。


そして学会のあとは焼肉とShopping!


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活気溢れる町でショッピング、夜は焼肉で満腹、人々もフレンドリー、その上ほとんど国内旅行なみのアクセスとなると、韓国旅行がブームなのも納得させられた2日間でした。


さて、当院にも男性的な顔つきのご相談に来院される患者様が多くいらっしゃいますが、実際には個々のケースにおいて問題となる点は異なり、それぞれに適した解決方法を考える必要があります。


その鍵となるのは次の3要素


①顔の中心となる目・鼻・口(いわゆる目鼻立ち)

②それをおさめる顔のアウトライン(輪郭)

③3つのバランス(軟組織と硬組織・目鼻立ちと輪郭・下顔面と中顔面)


すなわち、目・鼻・口といったパーツをそれぞれ評価するとともに、さらに輪郭や軟組織のvolume等を含めた顔全体のバランスを考えて手術を計画していくことが重要となります。


例えば、海外(西洋人)の女優さんはオリエンタル(東洋人)の基準からすると、かなりしっかりとした(骨格の発達した)輪郭をもっていますが、

 

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↑彼女のようにはっきりちた目鼻立ちには良くあっています。


逆に東洋人では、西洋人ほど目鼻立ちの造りが大きくないことが多いので、いわゆる“小顔”と呼ばれるような、コンパクトな輪郭の方がマッチします。


このように、顔貌を構成する様々なパーツや要素といったディテールを、全体のバランスを考えながら調和させていくことが、その方に応じた真の美に到る道なのかなと感じています。



医療法人恵聖会 恵聖美容外科クリニック 


西村 雄







51回 日本形成外科学会総会

(200849日~11日 名古屋)



20084月、名古屋で開催された第51回日本形成外科学会総会にて『当科における顔面異物注入後後遺症の検討』とタイトルした演題を発表しました。



まず、この発表をしようとした経緯からお話します。


以前より大学では、美容外科後遺症の外来を行っていました。


当然、美容外科手術後の患者さんが来院されることが多かったのですが、近年、注入療法後に来院される方の数が多くなってきた印象を受けました。


その中には、何を注入したのか把握されていなかったり、注入したものについてインターネット等で調べ不安を感じ来院される方が多くおられました。


そこで、今までに来院された方の診療録をもとにその傾向を検討してみることにしました。





 ダウン発表内容の要旨は、以下のようになります。






『当科における顔面異物注入後後遺症の検討』



1989年から2007年までの19年間に、顔面に何らかの注入による治療を受けた97症例を対象として以下の項目について検討しました。


①注入を受けた年代


年々増加傾向にありましたが、2000年代に注入された症例が約半数を占めていました。


②施行を受けた国


国内が73例でした。海外での症例では、アジア諸国での施行がほとんどでした。


③注入者


驚くべきことに施行者が医師でないと思われる症例が5例もありました。


④受診動機


紅斑、硬結、腫脹、何らかの不安、疼痛が主な症状でした。


⑤注入物質(本人の回答による)


約半分が非吸収性物質で、初期は非吸収性物質のみでしたが、近年では吸収性物質を混ぜた非吸収性物質が多くなっていました。残りは吸収性物質が約4分の1を占め、その他は注入物質が不明でした。





学会会場からの討議・討論では、同様の外来をされている会場の諸先生方も同じ傾向を感じておられるとともに、治療方法に関して、吸収性物質の場合は吸収されるまで待てるが、非吸収性物質の場合には待っていても改善することは少なく、一筋縄ではいかないという見解で一致しました。




この発表は論文として、日本美容皮膚科学会雑誌に掲載されています。



【日本美容皮膚科学会雑誌 Aesthetic Dermatology Vol.187276 2008】


〈要旨〉


1989年から2007年まで顔面注入療法後に当科を受診された97例を対象に検討を行った。


2000年代に注入された症例が約半数を占めていた。


海外での注入症例は24例で、そのうち明らかに医師と思われない者による症例が5例存在した。


注入物質は、約4分の1が吸収性物質で、約半数が非吸収性物質であった。


また、約4分の1の症例で、自分に注入された物質について全く分からないという状態であった。


さらに、初診時、主訴として不安を呈した11例は、注入された物質について認識していたものの、注入後、様々な情報を得て不安になり来院されていた。


注入物質による加療を考えている場合、注入物質の長所ばかりを述べ、その他のことについては、曖昧な表現をするのでなく、その製品がどういうものであり、吸収されるのかどうか、吸収されないものであれば、摘出可能なのかどうか、また、注入後に起こりうる合併症および生じた場合の対策について正確な情報を提供することが重要と思われた。


〈Abstract〉


A total of 97 patients with foreign body injection of the face diagnosed in our department from January 1989 to December 2007 were reviewed and analyzed.


The injection was performed in the 2000s in 50 cases(51%).


The materials injected were degradable gels in 19 cases(19%), non-degradable gels in 57 cases(59%), and unidentified materials in 25 cases(26%).


11 cases with anxiety as the chief complaint were aware of the materials injected, but they felt uneasy after they obtained information about the materials (most, non-degradable gels), and presented to our hospital.


When planning to inject materials, patients must be given precise information about the materialsnot only advantages and disadvantages but also countermeasures for complications.


       医療法人 恵聖会 恵聖美容外科クリニック 医師 陳 貴史

第31回 日本美容外科学会

(JSAPS、2008年10月11~12日 広島)


2008年10月、広島で開催された日本美容外科学会(JSAPS)にて『新しい下顎輪郭形成術~「小顔になる」ためのアプローチ』とタイトルした演題を発表してきました。


ダウン内容を以下に説明します


近年、食生活・社会環境の変化や美意識の高まりにより、あきらかな下顎角の突出(いわゆるエラ)を伴わないが、より「小顔」になりたいというリクエストが非常に増えてきました。


このような場合、従来の下顎角を主要なターゲットとした手術では、十分な満足が得られない可能性があります。


これに対し、下顎角ではなくオトガイから下顎下縁(mandibular plane)にいたるライン(V-Lineと呼称)をより重視してアプローチすることが重要であると私たちは考えています。


そしてMid face(顔の中心部)と調和した美しい輪郭をデザインするために、S-Lineと呼称する新しい審美基準を提唱しました。


これは簡単に言うと、口角から耳輪起始部(耳の上方の付け根)にいたるラインで、美しいと感じさせられるトップモデルたちのポートレートでは例外なくVとSの2つのラインがきれいな平行線を描いています。(特に微笑した時)


今回はこの新しいコンセプトに基づく輪郭形成術につき症例を交えてプレゼンテーションしてきました。


口演時間が5分と、内容を十分伝えるには若干短かったのですが、現在の美容外科の最前線におられる数人の先生方からは「いい発表だったよ」と、声をかけて頂きました。


この学会では「日本人のAesthetic orthognathic surgery:私の審美基準とその結果」と題するシンポジウムも開かれ、様々な施設・先生方の考え方を知ることができ、大変有意義でした。


輪郭形成は、美容外科手術の中で最も大きなもの(患者さんにとっても、私たちにとっても)のひとつですが、うまく言えば、術後の印象の変化も劇的で、それを患者さんと分かち合えたときには、最高の達成感があります。


これからもよりよいオペを探求していきます。



医療法人恵聖会 恵聖美容外科クリニック 心斎橋院院長 西村雄