NEW ALBUM『祭事』のオフィシャルインタビューをオフィシャルブログにて限定公開!!
それでは引き続き(後編)をお楽しみ下さいYOSHI

 常にオリジナルな存在でありながら、一言で説明するのが難しい「餓鬼レンジャーらしさ」。しかし、ニューアルバムとなる「祭事」を聴けば、その「らしさ」の根本が理解できるだろう。フリーキーでラジカルな言葉遣い、バチバチの韻とタフなメッセージ、幅広くカラフルなトラックと、ポチョムキンとYOSHIとGPが描き出すトライアングルに、20周年という「祭」感をぶちこむ事で、その中心から御柱祭の巨木のごとき、極太で長大な「餓鬼レンジャーらしさ」が飛び出してくるニュー・アルバム「祭事」。スリリングかつアッパー、ファニーでタフ、そしてエロティックな、まさに餓鬼レンジャーそのものとしか言えないアルバムなのだ!

◯少なくとも、アートワークがもう歳相応じゃないですからね。
GP「アホですよ」
ポチョムキン「舞い上がっちゃってる(笑)。綺麗に整ったものよりも、もっとやりたいことを、そのまま出すっていうのは考えましたね」
◯今回は、非常にラップ・アルバムらしい作品になっていますね。韻で話が展開して行ったり、フロウで話がいろんな方向に飛んでいったりするっていう、ラップ表現ならではの面白さを、改めて餓鬼レンジャーとして形にされていると感じました。
YOSHI「構成としては『Upper Jam』に近い部分があって。2MCのラップ・スタイルの違いをしっかり形にしたり、一つのテーマに対して2方向から捉えたりしながら、でも、サビではユニゾンでまとまっていくっていう」
◯2MCの表現の役割分担が明確で、その上での噛み合わせがしっかりハマってますね。
ポチョムキン「でも、そんなに意識的にではないよね」
GP「基本的には自然に決まって行って」
◯そうなんですか。YOSHIさんの韻と声の低音、ポチョさんのフリーキーさと声の高音のように、得意分野で振り切れった部分が非常に強かったので、意識的かとも思ったんですが。
A&R:CO-KEY「でも、レコーディング中の発言として、お互いにお互いのラップをヤバイ、凄いって言うてたなって」
ポチョムキン「うわ~!ここに来てのコンビ愛!(笑)」
◯いいじゃないですか(笑)。
ポチョムキン「日本語ラップを聴くときの気持ちよさの一つに韻があると思うんですけど、YOSHIくんはそういう気持ちよさをちゃんと形にしてくれるし、ちゃんと安定してるMCだなって思いましたね、改めて」
YOSHI「ポチョだったらオノマトペとかフリーキーな部分で間違いない部分を出してくれて。MC陣ではそういう役割分担が分かっていて、かつGPのトラックが、今の僕らが求めている音をしっかりを出してくれたなって。それによっていいトライアングルを描けたと思いますね」
◯トラックも幅広いですね。前回から引き続いてEDM的なサウンドも広げつつ、ディスコティックな“Cheers feat. sequick”や、“MAD BOMBER feat. ANARCHY”のようなブレイクビーツ的な曲もあって。特に“MAD BOMBER”のようなタイプのトラックは、脱退されたHIGH SWITCHさんが得意としていた曲にも通じる雰囲気があったので、その部分でも『餓鬼レンジャーらしさ』を今一度感じて。
GP「無意識っていえば無意識なんだけど、なんでも僕は出来ちゃうんで(ドヤ顔)」
ポチョムキン「スゴいドヤ顔が。しかも『なんでも出来る』ってフザケてるように言ってるけど、ホントに思ってますよ、彼は(笑)。でも、トラックの幅がとにかく広がったと思うし、トラックメイカーとしてのエゴを出しつつ、プロデューサーとして俯瞰的な視点でもMCを見てディレクションしてくれるから、それがスゴいと思いますね」
GP「もともと、今回のアルバムはバンド的な要素を増やそうと思ってて、その流れで最初に出来た曲が“Cheers”だったんですよね。マーク・ロンソンやファレル・ウィリアムズが表現しているような流れを意識しながら、それを嫌味なく、ポップス的な要素を強くして、それをどう餓鬼レンジャーにフィットさせて、音楽的にしっかりしたものを作るかっていうのは、チャレンジでもあって。やっぱり、『こういう曲をやってみたい』『こういうアプローチが面白い』って感じた時に、それをどう餓鬼レンジャーにフィットさせるかっていう作業が面白いんですよね」
◯アルバムとして曲数は今までよりも少ないけれども、濃度と密度は一番強い作品ですね。
ポチョムキン「一曲一曲凝ってますからね」
◯凝ってるし、しっかりしてるんだけど、聴き疲れないスムーズな温度はありますね。
ポチョムキン「そこはキャリアに基づいてる感じもありますね。そういう表現の塩梅は上手くなってると思う」
YOSHI「曲順も肝だと思いますね。前半はハードに勢いがあって、中盤でしっとりさせて、そのまま良い気持ちで終わるかとおもいきや、『なんじゃこりゃ!?』っていう“ADDICTION”で終わるっていう」
◯“2045”“Raindrops (ALBUM ver.) feat. LIBRO”“Cheers”というエモい流れも、“ADDICTION”が断ち切りますね(笑)。では『祭事』の内容を全曲解説的にお伺いできればと思います。


全曲解説に続く。。。餓鬼くん

(取材・文 / 高木”JET”晋一郎)