NEW ALBUM『祭事』の全曲解説をオフィシャルブログにて限定公開!!
それでは(前編)をお楽しみ下さいポチョムキン


☆INTRO
◯ドラマチックな始まりですね。
GP「『いかに強そうか』っていう、音でどれだけパワーを表現できるかに拘りましたね。『とにかく強そう』、それ以外にコンセプトはありません(笑)。しかも“仏恥義理”に繋がるから、余計にタフな感じにしました」

☆仏恥義理
YOSHI「餓鬼レンジャーが20周年を迎えると言う事で、地方の荒れる成人式のように、お祭り騒ぎで始めようじゃないかと」
ポチョムキン「イメージは沖縄の荒れる成人式で。僕らは完全にヤンキーではないけど、そういう人にもフィールしてもらえる曲でもありたいな、という。いわば氣志團的な感じですね」
YOSHI「『ヤンキー』や『暴走族』って日本にしかない、世界的に珍しい文化だと思うんですよ。暴走族のやる、アクセルでコールを鳴らすっていうのも、音楽的なセンスが有るなって。それ俺のラップに引用してます」
GP「ライヴで出来るのかな?」
YOSHI「噛みそうだね~(笑)」
◯歌詞が『貴様達どこ中じゃ?』で始まる事にも戦慄しました。
ポチョムキン「まずは威嚇しないと(笑)」
GP「それぐらいの気持ちで本気でやってるぞと」
ポチョムキン「熊本弁だけじゃなくて、広島弁や色んな方言を混ぜて、自分の思うヤンキーの話法を入れたんだけど、途中で長州力のコラコラ問答みたいになっちゃって(笑)」
GP「フックの『ぶち』って広島弁だしね」
◯YOSHIさんの歌詞には餓鬼レン・クラシックが織り交ぜられていて。
YOSHI「20年のキャリアを経ても、まだまだ勢い持って行くぞ!っていう意思表示でもあるし、『Upper Jam』を作ってた時のような、成り上がり的なイズムを込めようと。『天下取るんじゃ!』的なね」
ポチョムキン「いま『気合』とか『元気』って部分をあえて表現するのはいいなと思ったんですよね。聴き方によっては勇気をもらえると思うし、それでも『アホだな』って感じでもいいし。個人的に参考にしたのは、Juvenileの“Ha”で」
◯確かにマスターP一派はヤンキー感あるから、USと日本のヒップホップ感が繋がったと(笑)。

☆神の穴feat. ケンドーコバヤシ(Full Version)
GP「この曲はそもそもTENGA愛から始まってるんですよ。渋谷Asiaのライヴでも、代官山UNITの時も、TENGAにはサポートしてもらってて、お客さんにも配るっていう。ホントに僕らはTENGAが好きだし、この愛を、曲にせずにはいられなかったんですよ! TENGAって、これだけ盛り上がってるのに、曲として作ってる人は意外といないし」
◯「意外」では無いと思いますよ(笑)。
GP「でも、隠れてるけど、好きな人も多いと思うんですよ。そういう人に向けて、『ちゃんと恥ずかしがらずに愛を表現してもいいんじゃないか?」っていう呼びかけです」
ポチョムキン「楽屋で、アメ、ガム、TENGAって一緒に置いておいたら、あっという間にTENGAだけ先に無くなったね(笑)」
GP「そういえば、TENGAとレンジャーで踏めるね」
YOSHI「あ、確かに」
GP「だから、こうなるのは運命だったんですよ(笑)。で、曲の形が見えてきた時に、お笑い界でTENGA愛を公表してる、ケンコバさんに参加してもらいたいてって事で、オファーさせて頂いて。
ポチョムキン「ちゃんとケンコバさんを呼べたのがスゴいよね」
GP「『テンガ、テンガ』っていっぱい言わされて(笑)」

☆ON THE BED
◯この曲にはm.c.A・Tさんが参加されていますが。
GP「m.c.A・Tさんと曲を作りたいっていうイメージは、以前からあったんですが、20周年っていうっていうこのタイミングで、一緒に出来たら最高だなって。しかも『<Bomb A Head! >と同じフロウで<ON THE BED>って言ってくれたら最高だね』って勝手に餓鬼レンジャー内で話してて。でも、多分それはダメだろうなと思いながらオファーしたら、本人がノリノリでやってくれたっていう(笑)。しかも、この曲の中の喘ぎ声もA・Tさんなんですよ。それをやらせたポチョムキンはスゴいなって」
ポチョムキン「女声とハモリはA・Tさんがやってくれて」
GP「『ニトニトニッチャン』とか謎の言葉も被せさせてるし」
ポチョムキン「僕は過去に水前寺清子さんもディレクションしてるんで、大物ころがしは任せとけと(笑)。それは冗談ですが、実際、超ノリノリでやってくれたんですよ。最初はNG出されるかなと思ってたんだけど、『昔は自分もファンを意識してこういうのはやらなかったんだけど、この歳になると今は自由にやりたいんだよ』って言ってくれて」
◯ただ、世代的な所では、A・Tさんはやっぱり日本語ラップの仮想敵のような存在ではあったと思うんですが。
YOSHI「だから、この曲で僕が死ぬほど韻を踏んでるのは、それ故なんですよね。勿論A・Tさんをリスペクトしているし、素晴らしいコラボレーションになったと思うんだけど、同時に、自分の中のJ-RAPじゃなくて、日本語ラップの定義を形にしたんですよね。“BOMB A HEAD!”が踏んでないっていうんだったら、“ON THE BED”ではガッチリ踏もうじゃないかっていう」
GP「僕はもっとシンプルに、高校生の時に“BOMB A HEAD!”聴いて踊ってたし、自分のルーツの人と20周年っていうタイミングで一緒に曲作りが出来るのは、それだけでも嬉しいなって。クラブでも通用するようなダンス・サウンドに今のA・Tさんの声が乗ったら、ミラクルが起きると思ったんですよね。しかも、それを嫌味なく出来るのは餓鬼レンジャーしかいないだろうなって」


☆祭事
ポチョムキン「わりと制作後半に出来た曲だよね。アルバム・タイトルが『祭事』に決まったんで、そのメッセージを込めたタイトル曲を作ろうって」
YOSHI「イメージとしては、民族的な、特定のムラだけで行われている奇祭みたいなイメージがあったんですよね。それは、餓鬼レンジャーのワンマンとも通じると思って。最初はルーツ・レゲエみたいなトラックで作ってたんだよね」
◯確かに裏打ちの部分はレゲエっぽいですが、全体としてはEDM寄りのサウンドになってるので、それは意外ですね。
GP「それが噂のGPマジックですよ」
YOSHI「GDM(GAKIRENGER DANCE MUSICの略)だね。……DAIGOみたいになっちゃった(笑)」
GP「サビの『パンパカパンパン』ってフレーズは、稲中でそういうシーンあったなって」
YOSHI「クラッカーみたいに頭が割れて、その擬音がパーンっていう。まさしくあんな感じですよね(笑)」
GP「そういう祭感があるね」
◯活動再開後はライヴへの注力が強いと思うんですが。
ポチョムキン「間違いないですね。曲のアイディアが出てくるのも、ライヴを通してっていう部分が強いし、曲もライヴを想定して作る場合が多くて」
YOSHI「新メンバーとしてタコ神様が入ったのも、ライヴありきですからね。笑えたり、クオリティの高いライヴ・パフォーマンスを考えたら、タコ神様は必要不可欠な要素だから、メンバーとして正式に迎え入れて」

☆MAD BOMBER feat. ANARCHY
◯この曲にはANARCHYが参加していますね。
GP「キッカケとしては、ANARCHYが“Loyalty”で『その時餓鬼レンジャーのYOSHIに会った/15のガキにラップ教えてくれた』っていうフレーズをラップしてて」
ポチョムキン「聴いた瞬間ざわついたよね。『ANARCHYにラップ教えるなんて……あいつスゴい奴だったんだ!』って(笑)」
YOSHI「『日高にSKY-HIってMCネームを付けただけじゃなかったのか!』って(笑)」
ポチョムキン「その2つが、どうもホントらしい事が明らかになったんで」
GP「それを信じてオファーしてみようって恐る恐る連絡したんだよね」
YOSHI「めちゃくちゃ言うな(笑)。説明すると、90年代後半に京都でMAGMA MC'Sと一緒にライヴをやる機会があったんだけど、その時に最前列で盛り上がってたのがANARCHYだったんですよね。それで、京都河原町のマクドナルドで、韻の踏み方を俺が教えたって事を、ANARCHYは覚えてて。そういう風に、餓鬼レンの20年の歴史の中に、ANARCHYもいたから、参加して貰いたいなって。曲としては、もともと『一発で景色がガラッと変わるような、スゴいボム』っていうイメージをポチョムキンが持ってきたんですよね。そこからテーマが決まって、GPのトラックが上がった時に、自然にANARCHYのラップが浮かんだんですよね。単純にいちリスナーとして、餓鬼レンジャーとANARCHYのがタッグを組んだらどんな曲になるのかってワクワクしたし、だからフィーチャリングでオファーして」
GP「アルバムでのこの曲の立ち位置は、『Upper Jam』でのM.O.S.A.D.との“GETTIN' HI 5 MIC feat.M.O.S.A.D.”とも近いかもね。タッグだと、どんな曲になるかも想像がつかないっていう、そういう化学反応を、単純に楽しみたいっていうのがあったよね」

☆俺たちダークホース feat. TAITANG
◯ポチョさんのヴァースには「悔しさ」であったり、ネガティヴな感情も落とし込まれてますね。
GP「この曲のフックにもあるけど、Twitterとかでエゴサーチしちゃうんですよね。そうすると『餓鬼レンジャーまだいたんだw』とか『まだやってるんだ(笑)』とか書かれたりしてる事もあって。そういうのを目にすると、メッチャクチャ腹立つんですよね」
◯何が「w」「(笑)」なのか分からないですね。何も面白く無いし、その冷笑感は確かにむかつきますね。
ポチョムキン「餓鬼レンジャーが活動してなかったとしても、解散はしてないし、メンバーは生きてるし。だからそういう発言を見ると『なんで笑ってんだよ!』と思うし、そういうことを言う奴には、俺は『お前はまだ生きてたのか』って返してやろうと。歌詞にもあるけど、『まだやってたんですかラップ』って言われたら、『お前はまだ生きてたのか』と」
◯ハードだけど正しいと思います。
ポチョムキン「『……なんて曲もありますけど?』っていう(笑)。スキルを見せたい曲でもあったんで、それが映えるようなオケを、DJ WATARAIさんにオーダーして。加えて、日本一の早口Dee JayのTAITANGに参加してもらって」
GP「TAITANGの最後のフレーズが格好いいよね」
ポチョムキン「あれで綺麗に締まったね」
◯全体的に明るいアルバムですが、餓鬼レンジャーのダークな部分が出この曲がある事で、もっと餓鬼レンジャーが立体化する感じを受けました。


後編に続く。。。タコ神様

(取材・文 / 高木”JET”晋一郎)