すっかりご無沙汰してしまいました。今日は新聞やTVでも報道された「江別市立病院における医師流出問題」について考えてみたいと思います。


札幌の中心からわずか20Km、車で20~30分にある隣街、江別市の市立病院から医師がゴッソリと辞めて行き、内科部門の診療が一切行えなくなり、病院機能が半ば停止するという信じられない事態が起きています。江別市は人口12万人を抱える北海道内8番目の札幌のベッドタウンであり、その市立病院において医師がいなくなるという事態は、過去において一度も例のない前代未聞の出来事です。遠い過疎地における医師不足問題とは全く意味が違っています。


そして医師が流出して診療が中断されてから、はや半年にもなろうとしています。市側は一生懸命医師確保に東奔西走しているようですが、数名の出張医をポツポツと引っ張ってきている程度で、しっかりとした診療体制はいまだ確立されていません。


もちろん市立病院以外にも市内には民間病院や診療所があり、すぐにも市民の命が危険にさらさらされているということではありませんが、長期的にみれば他の民間病院にかかる負担(病院スタッフ側・患者側双方とも)は無視し得ず、一刻も早く解決しなければならない問題であることは間違いありません。


これに対して市民の健康を守る立場にある行政サイドの対応は、何とも鈍感という言葉がピッタリ当てはまりまるものです。


今起きている事態に対して危機感に乏しく、しばらくの間実際の利用者である市民に対する適切な説明すらありませんでした。かなり時間が経ってから、現状どうなっているか?その理由は何か?について広報紙を通じて説明がありましたが、医師が続々辞めていった理由に関しては、「夜間救急診療等を含む医師の過酷な勤務環境に対して、医師が耐え切れなくなったこと。」 をあげ、替わりの医師を確保できないでいる理由は「医師の研修制度の変更※に伴う大学病院医局における人員不足」という極めて一般的な要因を挙げています。

※(従来は大学医学部を卒業した新米医師は、大学病院の医局に所属し、そこで研修を実施してきたが、制度変更に伴い大学病院以外の病院で研修することが可能となった。)


しかし、われわれ一般市民に漏れ伝わってくるところによると、これらの理由はいかにも取って付けたもの(体裁を繕う嘘)で、真実の理由は全く別のところにあり、それは極めて生臭くドロドロとしたもののようなのです。


はっきり言ってしまえば、真の理由とは市立病院における大学医局と行政(市)サイドの主導権争いということです。まあどっちもどっちという気はしますが、発端は院長人事をどうするかということだったようです。江別市立病院においては昔から北大第一内科医局との関係が深く、そこから歴代院長を招じていたのですが、それが突如として第一外科医局から院長を迎えることに方針転換し、今の院長をを突然解任した・・・・。

行政(市)側の意向で一方的に院長を解任された第一内科医局は面子を潰された形となり、ヘソを曲げ、派遣していた医師を全員引き揚げるという対応をとった・・・・。これが真相のようです。


市側は北大第一内科医局の協力などなくてもいくらでも医師を集められると踏んでいたようですが、実際フタを開けてみるとさにあらず。全くといっていいほど医師集めは進捗しなかったのです。


表面的には重度の入院患者もいるのに、それらの人々を見捨てて医師を引き揚げた第一内科医局側に問題があるように見えますが、彼らとて人の命を救うことを自分の一生の仕事として選んだ医師達です。病院を離れることにためらいや苦悩はあったはずです。それでもなお辞めていく道を選んだということは、余程のことが裏にあったであろうということは想像に難くありません。


もう一方の当事者である行政(市)側の対応について考えてみましょう。なぜ急遽院長を第一内科から第一外科出身者へと切り替えたのか? 十分な事前の相談も無しに、なぜ突然今の院長を解任するという道を選んだのか? そのような対応によって医師引き揚げという最悪の事態が起こるとは想定しなかったのか? 簡単に医師を集められると本当に見込んでいたのか?


私自身は当事者でありませんので真相は闇の中ですが、これまた漏れ伝わってきた話からすると、今の院長と行政(市)サイドの責任者(市長側近)との病院経営にかかわる主導権争いにおいて、行政サイドの責任者が自らの権威を見せつけるために院長の首を切った。その後どうなるかについての何らのビジョンも策も持たず、自分のエゴを満たすことのみを考えて権力を行使した・・・・。そもそもそういうことだったようです。


実に醜悪で悪臭プンプンたる顛末です。江別市の行政機関の実態とはどうやらこんな有り様のようです。


表面では市民の健康を守るとかなんとか言っておきながら、その実は市政を牛耳る一部幹部役人のエゴイズムや欲望の満足が優先され、その結果に市民が振り回されている・・・・。そのような幹部役人をコントロールすべき立場にある首長たる小川市長は、このような幹部役人に頼らなければ何ひとつモノゴトを前に進める力もなく、逆に彼らに仕事を丸投げしているだけ・・・・。毎月発行される市の広報紙に歴史上の偉人や哲人の言葉を散りばめ、自らの教養を見せ付けるようなコラムを書くことを唯一の仕事としているのではないかと皮肉も言いたくなるところです。


このような市長のもと、幹部役人は自分こそこの江別市の実質的支配者であるという意識でいるのはほぼ間違いありません。そうでなければ今回取り上げた「市立病院の医師流出問題」など起きるべくもありません。


また皮肉な見方をすれば、今まで何とか隠し通してきた江別という市の行政機構の中に溜まりに溜まった膿が、今回の「市立病院の医師流出問題」を通じてとうとう表面に流れ出してきたと言えるかもしれません。議会も議会で、このような行政の暴走に対して何らの制御力を発揮することもありませんでした。このような一連の事実から考えれば、「江別市の政治(行政・議会)機構は、人口増に甘えて何ら自らを磨くこともなく、ただただ流れに身を任せてノウノウと禄を貪ってきただけだ。」と辛辣に批判されても致し方ないと思います。


こう書いてきて、なんか情けなくアホらしくなってきました。どいつもこいつも・・・、まともな人間は誰一人いないのか?という気持ちです。もうこうなったら全員総入替といった荒療治も必要かもしれません。次回はそのへんについて書いてみたいと思っています。


ということで、今回は以上です。