Paul McCartneyの新作『Kisses On The Bottom』を買う。
発売前から、随分とネットに音漏れしてたけども、
やっぱり良い音で聴くと良さが増す増す。
Paulという人はロックの人だと思うけど、
でも根っこは絶対にこういうサウンドにあると思う。
だから、何で出さないのかと思っていた。
思っていたら、とうとう出してくれた。
俺はジャズとかよく知らない。
でも、このアルバムは素晴らしいと思う。
まずはPaulの歌唱が素晴らしい。
今まで聞いた事の無い声だと思う。
甘い。美しい。
俺個人としては、Paulのヴォーカリストとしての全盛は
80年代前半だと思っている。
突き抜けていた60年代。
家庭人であっても凄まじかった70年代。
そのどちらでもなく、80年代前半。
声に物語がある気がする。
ショーマンだったPaulが、
おそらく親友の死を越えて、
隠さず自身の声を出し始めた時期だと思う。
たとえば、今回のアルバムがその頃に出ていたとしても、
2011年(録音時期)のPaulには敵わなかったと思う。
それくらい、良い。すごい。
ほんでもって、
演奏のレベルが違うこと。
Paulは、ほっとけば一人でアルバム作ってしまう男。
何でも演奏してしまう。
ここ最近は、そういうアルバムが多かった。
俺は好き。そういう所。
でも、やはり今回は演奏のレベルが違う。
自身のアルバムにこれだけのメンバーを集めるというのも、
珍しい。
ほぼ全編に渡ってDiana Krall(!)がpianoを弾いている。
録音の質感も好き。
ペダルを踏む音まで聞こえてくるから、いい。
高い集中力とリラックス感。凄い。
Claptonも居て、Stevieも居て。
凄い。
で、曲が良い。
知らない曲ばかりだけど良い。
詩も良い。とても美しくてユーモアがある。
何より、
Paulの新曲2曲が良い。
特に『Only Our Hearts』。
詩を読むと、この70を迎える男の人生が滲み出てきて、
感動的である。
出逢って、別れて、また出逢って来たのだ。
若々しく、相変わらず元気なPaulだけど、
もういつまでも新作を望めない年齢だと思い出した。
そんなPaulが今でも最高のステージを更新し続けている。
今年にもう一枚出すらしい。完全なオリジナルを。
日本公演の噂もPaul自身が流してしまった。
ほめすぎの感もあるが、
この人のこと、本当に好きなんだから仕方ない。
一生、着いて行く。そう思える一人。
だから、
俺より先に死んでくれ。
失礼だが。
アンタを見届けてから、死にたい。
×××