今回はヒヨドリの食性について
調べたことと、ヒヨの観察で分かったことをレポートしたいと思います




■ 野生のヒヨドリが食べているもの

野生のヒヨドリは野菜、果実、木の実、花の蜜を主食としています。

もうみんな知ってるよね!(笑)

本題はここからだ。

昆虫は基本的に食べない。

しかし繁殖期の親鳥や換羽期(羽根の生え変わる時期)、羽根が生え揃うまでの幼鳥には、羽根の原料であるタンパク質を補うために虫が必要。その時期だけ捕食しているらしい。

つまり 成長期を除けば、ミルワームもコオロギも与える必要はないそうです。

ヒヨは生後55日。羽根も生え揃ったし、そろそろ虫エサは必要ないのかも? 昨晩はあの大好物だったコオロギをお残ししました。

これまでのレポートで、夏場の最高エサはセミであると書きましたが偽りでした。

成長具合では、全く与えなくてよさそうです! ごめんなさい・・・。

で、野生のヒヨドリの話に戻りますが――

とにかく木の実が大好物で、食べられる木の実はほとんど口にする。

特に甘いものが大好き(鳥は味覚が発達しています)。

また花の蜜や、花そのものを食べる場合もある(舌の先端が毛の束のような形をしていて、水分や花の蜜を吸い取るのに適している)。

ヒヨドリは本来、そういうものを捕食するため森林に生息していて、人間社会に近づく必要はないのです。

山に行かなければ見れない野鳥の類と同じだった。

しかし実際は、スズメやツバメのように人家に近づいて生息しています。

なぜそうなったのか? それはもちろん、山にいたらエサの入手が困難、または効率が悪いから。




■ ヒヨドリの食害とその理由

本来、森に生息していたヒヨドリが人間の畑を荒らすようになったのは、1960年代の高度経済成長期以降らしい。

その時期に米作中心から果樹、野菜の栽培に転換する農家が多かったことも理由にあげられます。

さらに、人が森を破壊しまくった結果(冬季のエサが少ない時期に)残された森林だけでは、比較的弱い種であるヒヨドリの食料までまかなえなくなったというのが一説。

ヒヨドリは渡りをする鳥で、エサがある場合は留鳥しますが、なければ列島を南下します。

しかし渡りにもかなりのリスクが伴います。

北から渡ってきても、すでに木の実のある有望な森林は、他の鳥のテリトリーになっていて採餌できない場合が多いからです。

しかも群れで移動するわけですから、大規模なエサ場が必要。

それでなくても越冬中は、とにかく自然界に食べ物がなくなります。

ヒヨドリは果実食から野菜食に転換して、冬季の生存率を高めるしか道はなかった。

人家の近くにある畑が主流のエサ場になったというわけです。

ちなみにヒヨドリの成鳥は平均体重92グラムですが、冬季は68グラムまで落ちます。

それでも、ぎりぎり生き延びているわけですね。




■ 大食漢・偏食家

とにかくヒヨドリはよく食べる。

我が家のヒヨに関しては

一日で トマト半分、オレンジ半分、バナナ3分の1、コオロギ1匹、セミ1匹、ミルワーム6匹 を食べた日もあります。

成長期なのでよけいによく食べるんでしょうけどね。

群れで畑にやってきてキャベツやブロッコリーを食い尽くすのも分かります。

かといって”何でも食べる”というわけではない。

ヒヨドリはかなり味覚が発達していて、好き嫌いが超激しいのです。

以前書きましたが、うちのヒヨは九官鳥のエサを嫌がって食べません。

しかし、ここでひと工夫。野菜ジュースに浸けてふやかせば、食べるようになりました。

また傷んだ果物は食べません。鮮度のよいものを好みます。

しかしバナナは別。腐りかけの黒くなったものが好きみたい。

嫌いなものは意地でも食べない。

しかも、日によって好き嫌いが変わる。

野生のヒヨドリもそうなのではないでしょうかね。

気に行った野菜(状態のよいものだけ)を食い尽くすから、食害がハンパない被害になるのでしょうね。





■ 保護ヒヨドリが食べているもの

ヒヨドリはそういう偏食家であり、好みがコロコロと変わるだけに、保護した場合エサの選択が難しい。

これに失敗して死なせる人が多いのは事実。

また「九官鳥のエサや、メジロのエサだけ与えておけばOK!」と言う人もいます。

栄養バランス的には問題ないでしょうけど、保護されたヒヨドリにしてみれば災難です。

発達した味覚を楽しませることができないわけですからね。

人間だって毎日カレーだと飽きるでしょ。え? カレーならいけるって?(笑)

ヒヨの場合、基本エサ3種と日替わり果実を与えています。


基本エサは オレンジ、トマト、バナナ

この3種は外せない!

しかし日によってどれをバクバク食べるか分かりません。

ゲスト的にはグレープフルーツやブドウ、キウイ、パイナップルなど、思いついた果実はなんでも。

あまりにもヒヨが好きそうなら、基本エサと交代させます。

他に、野菜ジュースでふやかした九官鳥のエサや、小松菜を花瓶に差しておき、いつでも食べられるようにしています。

鳥のくせに贅沢なやっちゃ!と思われるかもしれませんが、これくらい当たり前。

生まれたてのヒヨドリを成鳥まで育てることに成功したケースは、これまでさんざん調べまくった感触では1割にも満たないかもしれません。

栄養障害、ストレス、早期放野、屋内事故、ネット上の嘘情報に踊らされた結果などで大抵死なせています。

なので、もっと本気出した方がいいくらいに思っていますよ。

そして、最初に書きましたが、ヒヨが突然、昆虫に興味を示さなくなりました。

ミルワームは一度に三匹ほどなら食べますが、コオロギ、セミに関しては

「そんなヘビーなもん胃がもたれるんじゃ! 食えるか!」

という感じで、殺すだけ殺して食べない。

食べないなら殺さないで(笑)

で、死体をゴミ箱にポイしたら、いつのまにかゴミ箱から引っ張りだして、床でバラバラにして遊んでいます。

食べないくせに弄ぶ。

はっきり食べなくなったので、食性が変化したものと思われます。





■ 保護ヒヨドリ、異物誤飲に関して

味にうるさいだけあって、過信はいけませんが、ゴミの誤飲は少ないようです。


これなんて 破壊することのみが目的です。

奇声を上げて突つきまくり(笑) カスは食べずに撒き散らしています。

ホコリや、硬くなった自分の糞などもクチバシにくわえていますが、遊んだ後はその辺に捨てています。

時々、消化されずに糞にまじっているトマトを食べたりはしていますが、それは一応見た目トマトだし、トマトの味がするから食べているわけです。

発達した視覚と味覚で誤飲を防いでいる。

とはいえ、異物を誤飲しないように掃除は徹底しなければいけませんが。

例えば、赤い色をした小さなゴムなんか、見た目トマトの破片ですからね。一発で食べようとします。

そういうややこしいものは、いっさい部屋に置かないようにしています。

そういえば、ヒヨドリは紫外線が見えているらしく、頭部が紫外線を反射しているかどうか?で雌雄を見分けているらしいですよ。

この新事実には驚きました。




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(つづく)