Emergency Department Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta in Trauma Patients With Exsanguinating Hemorrhage: The UK-REBOA Randomized Clinical Trial

JAMA. 2023 Nov 21;330(19):1862-1871.

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 英国16施設で行われたREBOAの前向き多施設ベイジアンRCT。2017年から2022年の間に16歳以上の外傷性出血性ショック患者90例を対象に実施された。

 REBOA群が46例、非REBOA群(RTはしていない)が44例であった。主要評価項目は90日死亡。副次的に、6 か月後・入院中・24 時間・6 時間・3 時間以内の死亡率、根治的止血の必要性、根治的止血開始までの時間、合併症、入院期間、血液製剤の使用、および死因となっている。

 患者年齢の中央値は 41 歳で男性 が69%であった。ISS中央値は41 。

 REBOA群の90日死亡率は54%、非REBOA群の死亡率は42%(OR 1.58, 85%CI 0.72–3.52)。

 副次評価項目のうち、死亡率・6ヶ月死亡率・入院中死亡率・24時間死亡率・6時間死亡率・3時間死亡率について、OR>1の事後確率はREBOA群で高かった。また、REBOA群は出血による死亡が多く(32% vs 17%)、その多くが24時間以内に発生した。

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 これまでJTDB含め国内・海外から多くの論文報告がなされ、その是非が議論されてきたREBOA。RCTが実施されたことで、1つの結果が出たと言える。

 ただ、これをもってREBOA使用するべからずとするのは早計に過ぎるだろう。

 先日、消化器外科学会から声明が発せられたように、外科医は減少し続けている。その状況下において、外傷手術に備えて外科医を救急部門に常駐させる訳にはいかないだろう。ただでさえ外傷手術症例件数は減っているのだ。必然的に救急医は内科系に偏りがちになり、RTはできないからせめてREBOAをというのは責められない。

 安易なREBOAの使用に警鐘を鳴らすとともに、外傷診療システムを地域で整備していかねばならない。