Time to laparotomy for intra-abdominal bleeding from trauma does affect survival for delays up to 90 minutes
J Trauma. 2002 Mar;52(3):420-5.
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 外傷性腹腔内出血による出血性ショック(腹部単独外傷)症例において、開腹手術までの時間と生存率との相関を見たデータベース研究。
 米国ペンシルバニア州のデータベースを用い、243例を対象として病院前の時間、来院時のsBP(収縮期血圧)、開腹手術までの時間もしくはER死亡までの時間を要員として研究されている。
 来院時sBPは30~90mmHg、病院前時間は7~185分、初療滞在時間は7~915分。全体40%(98/243)が死亡し、来院時sBPが低下するにつれてリスク比は増加した。初療滞在時間に対するリスク比は90分まで増加し、その後すべてのパラメータで著明に減少した。初療滞在時間が90分以下の165例についてロジスティック回帰を行ったところ、死亡確率は初療滞在時間が長くなるにつれて増加した。
 ED滞在時間が90分以内の患者では、死亡確率は低血圧の程度とED滞在時間の長さの両方と相関があり、死亡率は初療滞在時間3分ごとに約1%上昇した。
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 重症度がわからないので何とも言えないが、死亡率40%というのは驚くべき高さな気がする。研究モデルから考えて、来院時CPAは除外していると思われるが、日本より10年は先進していると言われる米国外傷診療でこの死亡率というのは、2002年の頃の米国外傷診療の標準なのだろうか?
 とりあえず、外傷外科手術においてspeedが命と言われる根拠がここに示されているというのは理解できる。のんびりCTなど撮影している暇はないのだ。