Goodbye Hartmann trial: a prospective, international, multicenter, observational study on the current use of a surgical procedure developed a century ago
World J Emerg Surg. 2024 Apr 16;19(1):14.
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 緊急手術が必要な左側結腸疾患に対するHartmann手術の現状についての観察研究。デザインとしては、2020年3月1日-5月31日の間に行われた204施設・1,215例を対象とした横断的国際的多施設前向き観察研究となっている。術後1年間の追跡調査もなされている。
 平均年齢は65.9歳、Hartmannは57.3%(697例)、切除吻合は31.6%(384例)。疾病内訳は憩室炎が40.2%、大腸癌が36.6%であった。Clavien-Dindo≧3bはHartmann群で有意に多く、30日死亡率もHartmann群で高い。1年間の追跡調査では、Hartmann群と切除吻合群(カバーリングストーマ)で人工肛門閉鎖率に差はなかった。ロジスティック回帰モデルを行ったところ、切除吻合を行った症例は若年患者・低ASAスコア(≦3)、大腸閉塞、大腸虚血がない、入院から手術までの時間が長い、日勤帯手術、経験豊かな外科医(大腸切除術を50例以上行っている)という特徴が見られた。
 切除吻合は手術のゴールドスタンダードである。
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 観察研究なので背景が揃わないのは仕方ないとして、なぜこの結果からこの結語に至るのかがいまいち不透明な研究。
 多分、筆頭著者の主張が入っているのだろう。安易にHartmannを選びがちな風潮に警鐘を鳴らしたかったのだろうか。
 国ごとに経済的背景や社会的背景が異なるため、Hartmannを選んだ理由はそれぞれ異なるのだろう。
 また、多くの症例でショック状態であったはずで、その程度によっても術式は変わったと思われるが、そういう側面からのアプローチはなされていない。腸管の浮腫・炎症の程度によっても吻合を行うかどうかの判断は変わったはず。
 腸管の浮腫・炎症の程度を評価する指標があればいいのだが...