通塾・習い事と、読解力の相関が無いということ、および、偏差値と読解力の相関があるということは、つまり「学習塾において、偏差値が上がることは無い」ということなのではないでしょうか?

より、飾った感じに言えば、「学習塾とは、生徒本来の潜在能力(=伸びしろ、この場合は読解力)を顕在化させる場(であって、潜在能力の無い生徒は残念ながら・・・)」ということになるのかも知れません。

 

しかし、調査結果を見ると、通塾と読解力が関係無く、高校偏差値と読解力の相関が0.8ならば、学習塾の果たす役割も、あまり無いということになってしまします。にわかには信じがたい話ではありますが・・・

 

学習塾に関して言えば、以前、ネットで、「合格実績の多い学習塾は、単に、生徒数が多いだけだ」というのがあって、つまり、「頭の良い子が100人に3人の割合でいるとすれば、百人の塾だと、3人しか合格者を出せないけども、規模を大きくして千人の塾にすれば30人、一万人の塾にすれば300人の合格者が出せる。生徒の数を増やすことにより、実績を作り出せる」という話があったのを思い出させます。学習塾にとっては、頭の悪い子を苦労して教えて伸ばすよりも、単に生徒数を増やせば、合格実績も良くなるという話で、RSTの結果も含めて考えると、今の学習塾は勉強の向上とは、ほぼ無関係だということになりそうです。

 

「子どもをやる気にさせる!」「苦手科目を克服!」なんていう、学習塾のチラシを見ることがありますが、たぶん、成果など出ないのでしょう。罪悪感はないのかと、思ってしまいます。つまり、11種類の読解力を乗り越えた先に、本当の理解があるのだとしたら、その1~2種類のハードルを乗り越えさせるのがやっとなのではないのでしょうか?でも、それも、本当に乗り越えられたかは、今後は、RSTで計れることになるのでしょう。

学習塾として今後生き残っていくためには、根本からやり方を見直していかなければならない時だと思います。

 

読解力と高校偏差値のみに相関があり、通塾・習い事などの学習習慣や、教科の得意不得意には相関が無いのであれば、読解力さえ鍛えることが可能であれば、偏差値は上がるし、勉学ははかどります。また、国民全体の学力の底上げも行える。ということになりますよね?

 

成績向上においての避けては通れない絶対的な最初の関門?!全てはここから始まる?!

・・・とは言っても、その内訳は、11種類に分けられるそうなので、細分化は起こりそうです。新井教授も、「全員に向く読解力向上策はない」と言っていますし・・・個別に対応していく必要があるのかも知れません。

 

また、読解力の無さは、何かの手順を読むときに影響を与えているかも知れません。

 

これは、以前ツイッターで語られていた

 

『技術オンチな人「手順書通りにやったのに上手くいかない」「この手順はよくわからなかったので飛ばした」…なぜ飛ばしたりアレンジしたりするのか?』

 

という話とつながります。

 

・技術オンチな人にありがちなこと(1)

 

Aさん「え?手順書通りにやったのに上手くいかない?」

Bさん「はい最後までやったんですが

Aさん「途中のこの手順は?」

Bさん「よくわかんなかったので飛ばしました」

Aさん「・・・」

 

・技術オンチな人にありがちなこと(2)

Aさん「仕様は理解できそうですか」

Bさん「はい」

Aさん「順調ですか?」

Bさん「はい」

Aさん「詰まったら聞いて下さいね」

Bさん「はい」

Aさん「今日1日でどこまで進みましたか?」

Bさん「1行目です」

Aさん「!?」

 

料理が苦手な人にも共通しますね?「レシピ通りに作っても上手く行かない」という人は大概コレなんじゃないでしょうか?勝手にアレンジしたりしておいて「書いてある通りにやったのに?」と素で言ってくる人は怖いですね!

 

RSTによって、「分かり易い文章表現」というのが明確になりそうです。

原子核の発見者、ラザフォードは、「専門的なことをウェイトレスにもわかるように説明できない時は原理の方に問題があるのだ」と言いましたが、より分かり易い表現で教科書や説明書を作るのに役にたつと思われます。

ただ、これが実現した後には「昔の教科書は難解すぎてサッパリ分からない」ということになりそうです。

 

橋本治さんが、そのエッセイの中で、「僕は、日頃読む新聞や、テレビで見ているニュースを、本当のところ、皆、全然理解していないんじゃないかということに気が付いた」という意味のことを書いていましたが、これ、本当かも知れません。

 

リーディングスキルテストに関わっている新井教授は、その著書の中で、中学生に数学を教えて、「皆さん、理解しましたか?」と聞くと、生徒たちは、「はーい」と答えるのだけども、「では、理解したことをノートにまとめてください」と言うと、それができる生徒は、2~3人しかいない。と書いています。

 

これと同じようなことが、教科書を読んだり、授業を受けたり、本を読んだり、自学自習したり、新聞を読んだり、ニュースを見たり、そんないろいろな場面で起こっている可能性があるということです。

 

私たちが「理解したつもりになっている」ということが、白日のもとにさらされたということが、このテストでの大きな収穫のひとつなのかも知れません。

そして、これは同時に出発点であるのかも知れません。

 

学習塾でこのRSTを取り入れたら、同じように、ある科目の成績が悪い生徒が2人いても、RSTの成績で教え方を変えて、よりきめの細かい指導ができるようになる!ということですよね?学習塾によっては、できない子を食い物にするところもあるようなので、RSTとそのアンケートによって、本当に子どもを伸ばす学習塾が浮き彫りになれば、良いことだ。と思ったり願ったりします。

 

テスト内容が漏れてくると、大手の学習塾などが、対策を教えるコースを作らないだろうか?気になります。作問するのは、非常に時間とお金がかかると思われるので、このような抜け道を作られると、形骸化してしまいます。入社試験に取り入れたり、選別に取り入れたりすると、やはり抜け道を教える者が出てくるように思います。学習塾自身も、自分の塾に通うことでRSTの成績があたかも上がったように見せるために、対策を講じそうです。なので、このテストは、あえて、軽い感じであって欲しいと思います。もしくは、あえて、一定期間、相関などの情報を出さない選択をしても良いかと思います。

 

私自身、RSTを直ぐに取り入れると言えるほどRSTが理解できているわけではありません。ただ、新井教授が「中学を卒業するまでには、全員が教科書レベルの文章を「読める」ようにしたい!」と言われているように、目先の高校入試などの小さな目標ではなく、AIで多くの職業が無くなる時代になっても、子供たちが、ちゃんと社会人として活躍していけるようにしたいと思います。そのためには、今すぐRSTに取り組むべきだと考えています。

 

極論を言えば、学習塾と呼ばれる「学習させる」というビジネスモデルは今後無くなるのかも知れません。自発的に「学習する」という全く別のビジネスモデルが今、求められているのだろうと考えています。私があえて「塾」という名前を使わず「GG自習室」と名前を付けたのもそういう思いからです。因みに、GGはご存じないかもしれませんが「じじい」がやっているからです。

 

長文になり申し訳ありません。ここまでお読み頂きありがとうございました。尚、新井教授の著書「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」は教室に準備してありますので、いつでも貸し出しさせて頂きますので、お申し出ください。

 

 

 

次回は1021()の予定です。

 

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