横浜西口にあった映画館、相鉄ムービルの宣伝新聞「相鉄ムービルニュース」を紹介してきましたが。
今回で、自分が持ってる最後の号になります。

88年のお正月。

この年は良作揃いの激戦で、配給側の映画館の奪いあいも激しく、新春第1弾に入れなかった映画が第2弾に捻じ込まれた為、取り上げられる作品もいつもより多い。



表紙はスピルバーグ&ジョー・ダンテの「インナースペース」と

 

 

シリーズ第2弾「ドン松五郎の大冒険」
あったなあドン松五郎。

『インナースペース』は、ミクロ化された潜水艇が、人体に入るというプロットから、「『ミクロの決死圏』のリメイクか?」と話題になったが。
内容は、体に潜水艇を入れられた男の変顔&奇行がウリの、予想よりコメディ色が濃い作品だった。
後年のジム・キャリー主演「マスク」に、ちょっと印象が近い。



監督のジョー・ダンテは、この頃から、悪ふざけギャグが、度を超え始める。

実はこの年は、新春第1弾より、第2弾が強い年だった。

3時間を超える大作ながら、アカデミー授賞も追い風になって、日本でも大ヒットした「ラストエンペラー」。



坂本龍一の海外進出のキッカケを作った一本でもある。
これ以降、やたら長い中華圏の歴史ものが公開されるのが流行る。

「ウルトラマン」で有名な実相寺昭雄が、物凄い大作を監督した「帝都物語」の上には、なんと相鉄ムービルの女性職員がおススメする「今年の1本」が。

 

皆さんまだムービルにいるのだろうか。
「マルサの女2」「ビー・バップ・ハイスクール」など、この年が邦画洋画とも、凄まじい激戦区だった事がわかる。
(南野陽子の「はいからさんが通る」もこの正月だ)

よく見ると、夏に公開される「敦煌」の公開日が、もう出ている。

そして、これも新春第2弾ながら、第1弾を凌ぐ衝撃となった『ロボコップ』。



当時、デザインとタイトルから、子供っぽい作品か?との前評判だったが、やってきた映画は血みどろのブラックジョークに満ちたアダルトな味わい。

その後シリーズ化され、日本でもCMに起用される人気キャラクターになる。

この正月は「インナースペース」の他に、もう一本、スピルバーグ製作総指揮の映画があった。
小さなUFO型の宇宙人と、地上げと戦う住民たちが仲良くなる「ニューヨーク東8番街の奇跡」。



 

まだまだスピルバーグブランド、心温まるSFファンタジーが強い時代だったが、次第に刺激的な新興勢力に押されていく。
前述の通り、自分が持っている相鉄ムービルニュースは、ここまで。

この直後、相鉄ムービルは、西口から、今ある場所へ移転する。
 

旧相鉄ムービルの思い出よ、永遠に。