#2

 

幼い頃、地獄のようだった修行

名も知らない者たちを殺す時の感覚

そして毎晩泣きながら両手に握っていた木造仏像の顔。

 

「そう、仏は言った。

闇があって光があり

死があって生があると。

養父は言った。

私たちは昼のための夜であり

太陽の闇を背負った月だと。

だから私は誓った

樹新(じゅしん)、強国に囲まれたこの国の闇を背負おうと···

そして殺した。

誰であろうと、それが子供であろうと殺した。

そうやって数え切れない生のもがきを断ち切り

強者たちと戦ってきたのに

目の前にあるあれらは一体何だというのか。

手足が切り落とされてもすぐに回復し

致命傷を負っても痛みどころか快楽まで感じるあれは

必ずしも人間ではない。

魔鬼だ。

あれは魔鬼に違いない。

確かだ。

私はもう死ぬ。

全て私の業報なのか?

毎晩涙で悔やんだが、

悪夢の中でも仏を刻んで許しを請ったが

もう取り返しがつかなかったのか・・・

それなら今まで私がしたことは

いや、私はいったい何だったのか?

私は人間だったか?」

 

老婦がこう思っている頃

巨大な影が縮こまった彼女の上に垂れ下がった。

彼女は死の恐怖で思わず身をかがめて言った。

自分すら思いもよらなかった言葉だった。

 

「お願いだから、どうか・・・い、生かしてくだ・・・」

女老人の言葉が終わる前に

彼女の足首を強く握る小さな手があった。

彼女の後ろに倒れていた幼い少女だった。

血まみれの少女は顔さえまともに上げられないのにも

渾身の力を尽くして老人の足首を握っていた。

その少女の細い声が響いた。

 

「お母さん、敵に屈服しないでください。

絶対に!忍者は死に屈しないとおっしゃったじゃないですか!

もうすぐ姉さんが来ます。

あいつらなんか、姉さんが来たら・・・

美霊(びれい)姉さんさえ来れば!」

 

 

 

 

 

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