伊邪那岐(いざなぎ)・伊邪那美(いざなみ)が天の浮橋に立って地球の表面に棒を入れて淤能碁呂島(おのごろしま)という島ができます。その島で最初に産まれた子が蛭子(ひるこ)です。

 

 

女性から声をかけたので蛭子は不具の子として生まれたので男性から声をかけて産み直します。そうして最初にできた島が淡路島です。次に四国、続いて隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州となっています。

 

女性から声をかけるのは良くないというのは男性原理です。縄文時代は母系で女性原理が働いていました。母系社会を築いていた縄文社会に父系社会の条件付けをもっていた渡来系の人々がやってきたのです。母系から父系社会へ日本は完全に移行することはなかったようです。

 

 

記紀を読むと男性原理で書かれていますが神話の背後には縄文時代の女性原理が隠れています。縄文時代の母系が戦国時代まで続いていたことがイエズス会宣教師フロイスの証言にみられます。

「ヨーロッパでは夫が前、妻が後ろになって歩く。日本では夫が後、妻が前を歩く」

「ヨーロッパでは財産は夫婦の間で共有である。日本では各人が自分の分を所有している。時には妻が夫に高利で貸付ける」

「ヨーロッパでは、妻を離別することは、罪悪である上に、最大の不名誉である。日本では意のままに幾人でも離別する。妻はそのことによって、名誉も失わないし、また結婚もできる」

 

 

「汚れた天声に従って、夫が妻を離別するのが普通である。日本では、しばしば妻が夫を離別する」

「ヨーロッパでは娘や処女を閉じ込めておくことはきわめて大事なことで、厳格におこなわれる。日本では娘たちは両親にことわりもしないで一日でも幾日でも、ひとりで好きな所へ出かける」

 

 

「ヨーロッパでは妻は夫の許可が無くては、家から出ない。日本の女性は夫に知らせず、好きな所に行く自由をもっている」

「ヨーロッパでは未婚の女性の最高の栄誉と貴さは、貞操であり、またその純潔が犯されない貞潔さである。日本の女性は処女の純潔を少しも重んじない。それを欠いても、名誉も失わなければ、結婚もできる」

「ヨーロッパでは女性が葡萄酒を飲む事は礼を失するものと考えられている。日本ではそれはごく普通の事で祭りの時にはしばしば酔っ払うまで飲む」

 

「ヨーロッパでは普通女性が食事を作る。日本では男性がそれを作る。そして貴人たちは料理を作るために厨房に行くことを立派なことだと思っている」

ルイス・フロイス著『ヨーロッパ文化と日本文化』岩波文庫

 

 

富国強兵を進めた明治政府は非常に男性原理が強く強引に神仏分離を進め神仏習合を禁止しました。
廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)がもっとも激しかった鹿児島藩は廃仏を断行し一時はすべての寺院が廃されてしまいました。

男性原理は分離し女性原理は融合します。江戸時代まで神仏は習合していました。現在、憲法改正をしようとしている人たちも男性原理が強いので母系につながる女性天皇などもってのほかで日本国憲法 第24条を改正して家父長制度をもっと強めたいようです。

女性は男性におとなしく従って家庭にいなさいということです。

 

 

 

日本最古級の墳墓・古墳群が四国鳴門市大麻町にあり3世紀前半の「萩原2号墓」出土の水銀朱と3世紀後半の「天河別(あまのかわわけ)神社古墳群」2号墓および4号墓には中国貴州省産の水銀朱が使用されていました。

3世紀末に魏志倭人伝(ぎしわじんでん)が書かれた三国史の時代です。卑弥呼が没したのは248年頃です。

 

 

阿波の大麻比古神社と阿波神社の中間にある天河別神社の祭神天石戸別(あまのいわとわけ)命は天太玉(あまのふとだま)の命の子で天富命(あめのとみ)の父と言われます。

 

記紀神話を語った人々が最初に移り住んだのが神話で最初にできた淡路島と四国だったかもしれません。伊邪奈美が最後に産んだのは火之迦具土神(ひのかぐつち)という火の神ですがその前に産んだ大宣都比売神(おおげつひめ)は阿波の神になっています。

古事記によると伊邪奈美が生んだのは14島と35神で伊邪奈美が黄泉の国に去ったあとで伊佐奈岐がひとりで生んだ神様は27柱あります。二人は合わせて14島と62柱の神を産んだことになります。

 

男性の伊邪那岐神社は16社ありますが延喜式神名帳に記された女性の伊邪奈美神社はただ1社だけしかありません。それが徳島県美馬市に鎮座しています。

 

◉2019年9月14日(土)

「瀬織津姫とマグダラのマリア」
〜封印が解かれた女神〜
トーク:清水友邦 & 武藤悦子
ダンス・パフォーマンス:アムリッタ朝子
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