今私が読んでいる本の一節を紹介します。

「すべてのデータを分析した研究チームは、〝ある感情〟を体験した回数が多い者ほど、心理的な不安や体内の炎症レベルが低いという事実に気づきました。その感情が、「畏敬」です。  心理学でいう「畏敬」とは、なにか自分の理解を超えるような対象に触れた際にわきあがる、鳥肌が立つような感情を指します。  その対象はなんでもよく、極地で壮大なオーロラを目の当たりにしたとき、オリンピックでランナーが新記録を出す瞬間を見たとき、まったく新しい発想のアートに触れたときなど、心の底からすごいと感嘆できれば、それは「畏敬」です。  カリフォルニア大学の研究チームは言います。 「畏敬の念には、炎症物質を適切なレベルに保つ作用がある。自然のなかを歩いたり、素晴らしいアートに触れたりといった活動は、いずれもポジティブな感情を引き起こし、健康や長寿に大きな影響を持つ」  実際、科学の世界では「畏敬」の不思議な効果が次々と明らかになっています。  スタンフォード大学の実験では、壮大な海や山を映した動画を鑑賞した被験者は人生の満足度が上がり、チャリティなどへ寄付を行う気持ちも増加しました。さらには主観的な時間の感覚が長くなり、「以前よりも仕事に使える時間が増えた気がする」と答える者が増えたというからおもしろいものです」(『最高の体調 ACTIVE HEALTH』(鈴木祐 著)より