拙がハサミに向き合い15年程になるが、


時間も金額も本当に注ぎ込んでしまった。


8年ほど経った時に大きな自信を持つ事ができ、


今のブランドに落ち着いたのだが、


それまでの日々は本当にキツかったと考える。



今では笑い話ではあるが、当時は笑う事などできず、


また、泣く事なんてもっとできなかった。


自分の精神状態を維持するだけで精一杯だから


人へのケアなんてできるわけも無く、


それは嫌われるし敵だらけでもあった。



そんな中、拙自身を支えてくれたのは日々目に見える成長であった。


その頃の過酷とも言える毎日は極端な成長を夢見るものだから


過激なデザインや思いも寄らな発想が満載であった。



アクセサリーとのコラボや後の製造までがハサミの一つとなり、


それは鋳物屋でのスリラーなどと向き合うまでになった。


結局は鋳物屋を追い出されるまでの3年間で9割以上の失敗の中から


1割以内の奇跡的な成功によってできたハサミまで造る事ができた。



このハサミは現在150万~というプライスを付けているが、


現在での製作は不可能となってしまい、


それでも安いものとなっている。



そんなハサミは今現在とても重宝している。


拙が青空美容師をする時に


それを使うとクライアントはビックリしてくれるというのもその一つ。



拙自身もたまたま乗った個人タクシーがベンツやロールスロイスだったり・・・と、考えると


とても気分が良い。


コーヒーを注文した時のカップがアンティークの数万円もする物と知ると


呑み方や満足感も上がる。



美容師は他と違うパーマ液やトリートメントを使うことが


クライアントの喜びと思っている人も多いようだが、


それは支払う時に乗っかっていたり、


その後は店販として勧められるのではないかと、


結局は満足感には程遠い事をしていると知った方が良い。



美容師のエゴは金額に乗せないから喜んでもらえる。


千円カットで高価なハサミを使っている方が喜んでもらえるようなもの。



それなのにどうだろう?


安いハサミを使っていないか?


ただ単に高くて性能が伴っていないハサミを買っていないか?


ハサミの性能や用途を知らなさ過ぎないか?



ハサミの事を知らずに偉そうに語ってしまってはいないか?



世の中とは「ハサミ屋の従業員」が美容室にも行くんだよ!


ハサミがどうできているか、


どんな流通かを美容師よりも知っているクライアントがごまんと居る。



それらに語る時も同じ言葉と態度を維持できるのか?



それで全部バレてしまう事にならないように・・・。



拙はその点、何百丁もハサミを造って来たし、失敗もして来た。


そして、手元にも相変わらず何百丁もハサミがある。


全部お金が掛かっている。



誰に何と言われようと変らぬ事実。



その中で150万を越すプライスの物まで企画から製造に至るまで


ストーリーを語ることができる。



それが宝だからクライアントには上乗せしない。



「自慢」となるかもしれないが、


実は自然とクライアントから興味を持ち聞いてくる。


だから喜んでストーリーを語る。



そして青空美容師の時にも150万超えのハサミを使う。


もちろん「タダ」である。



そうするとシャンプーやハサミを買って行ってくれる。



世の中はそうなっていると思う。



ハサミをケチり他に設備費を掛ける。


ハサミの勉強はしないのに他の勉強をする。


美容師として護られている範囲は何なのか?



カットとそれに関わる部分だけである。


その点を重要視しそこを色濃くするとそうとう安心できる。



他なんて語ることも不要だし、


何も伝える事はできない。



やはり考え方の差であり、カットの差である。



それを支えるハサミの選択は大切な裏づけとなる。



安い車にダイヤやスワロを散りばめても本物を前には説得できない。


同じ数千万を掛けるのならロールスロイスをノーマルで乗っていた方が良い。



ハサミには名前だけが先行し中身は「まがい物」


なんて物も残念ながらけっこう存在するするんだ~!



メッキは剥がれるよ!


後輩達の目はまだクライアント側の見極められる目なんだ!


 

それでも自由だからね。



つまりは何でも良い。



あくまでも拙の感想。



ようは落とし所の話。




またね。