夢を与える (河出文庫) 637円 Amazon |
幼稚園のときにモデルにスカウトされたことから
人生が一変した夕子。
小学校から中学校、高校と進学するのに併せ、
テレビCMに出演したりと
タレント活動を本格化させていきますが……
夕子が早くして芸能界入りしたからか、
大人の世界を目の当たりにして
同世代の子供たちと考え方が違ったり、
身の回りともズレが出てきてしまったりして
親子関係も何かとすれ違いやすい。
質問に対して自分がどう思うかでなくて、
こう答えると人はこう思うと
リアクションを意識してコメントまでコントロールしてしまうのは、
ちょっとやるせなさをカンジましたね。
私が印象に残った登場人物は、
夕子が関わっていたギャルズクラブの一員、マリさん。
今って、子供たちにこういうことをホントに素朴に言ってくれる
大人っているのかなあと思いましたね。
あと、夕子の同級生の多摩くん。
彼女に与えている作用を考えるとポイントが高いと思いましたね。
本書解説の映画監督の犬童一心さんも
多摩くんのシーンが好きで、
撮ってみたいと思ったとのこと。
綿矢さんのすごさだと思うのですが、
表現のあり方がつまびらかで、
じっくりと実況されているカンジが読む側に的確に入ってきます。
人ひとりを読む--こういう物語をじっくりと味わうのは
作家さんの作り出した世界をありのままに享受する
私たちの役割ですね
「夢を与える」。
ああ、そういえば
それってどういうことなんですかねえ〜