2014年 11 月 982 号 |
かけだし情報 |
ガバレ農場 鴻巣市前砂359 ℡548-1173 |
畑情報
11月も最後の週になりました。朝は霜も降り始めました。週末こそ日中は暖かな陽気でしたが、季節は確実に冬へと向かっています。
先週まで玉ねぎの植え付けやサツマイモの収獲作業を手伝ってくれていた人が2人いました。一人は東京からやって来たウーフの女の子でした。ウーフについては何度かお話しましたが、World Wide Opportunities on Organic Farms の頭文字で、直訳すると世界に広がる有機農場の機会となるようです。
有機農場や自然食レストラン、ホテルなどで有機農業や自然について学びたい、あるいは日本語や日本の文化について深く体験したい、と考える人が、受け入れ先として登録しているホストに滞在します。滞在中の金銭のやり取りはなく、ホストは食事と寝る場所を提供し、滞在する人(ウーファーと呼ばれます)は、1日、約6時間の労働を提供するというシステムです。
ガバレもホストになって11年目、日本人だけでなく海外からもウーファーがやってきました。受け入れるホストによっては、ウーファーが大切な働き手となっている所もありますし、一度に多くのウーファーを受け入れている所もあるなど、様々なホストが全国で400か所以上もあります。このウーフと言う制度は日本だけでなく、世界各地に活動の場があり、多くの日本人がウーファーとして海外で経験を積んでいます。
日本には多くの外国人観光客が来ていますが、日本文化や農村での暮らしを体験したいと思っても、そのチャンスは多くはありません。また、受け入れる側も、突然の来訪者には構えて仕舞い、宿泊場所を提供するのは難しいのが現実です。有名なお寺や文化の最先端の場所を訪れるのも楽しいでしょうが、そこで暮らす人と触れ合うのは、きっとそれ以上に楽しいことだとウーフのホストになって感じています。
もう一人の人はある事情で仕事の現場から遠ざかっていた人で、仕事に復帰するための職業体験として参加していました。将来、農業をするかどうかはわかりませんが、農業の現場を経験する場所として7日間ほどうちに通ってきました。
日本ではニートと呼ばれる人が220万人いると言われています。また、障害を持った人が働ける場所もそれほど多いとは言えません。県や国では、そんな人たちが働ける場所を確保しようと、いろいろな対策を講じています。そんな働く場として農業は大きな可能性を持っていると思います。
多品目を栽培している有機農業では、次から次に異なる作業をしないといけませんが、草取りなど手のかかる作業を手伝ってもらえたらとても助かります。そのほかでも、収穫後の袋詰め作業や植え替えなど、機械化が難しい作業には人手が必要になってきます。花栽培が盛んな鴻巣市は、障害を持つ人にとっても働き場となる可能性が大きいと思います。
農業の現場は政府が進める大規模化と、農家自体の高齢化によって農家人口は減ってきています。大規模化できない場所や地域にある農地は耕作放棄地となってしまいます。米価の低迷やTPPによってこの傾向は急速に進むと言われています。特に中山間地で大型機械が入れないところは、効率の悪さから荒れた田畑が目立つようになっています。
荒廃した畑や田んぼはやがて自然林へと長い年月をかけて戻ることもありますが、一方で、そこで保たれていた生態系が壊れてしまう危険もあります。田んぼとして機能していたときにはカエルや水生昆虫などが集まってきましたが、そこに水が来ないとカエルたちはどこかへ行ってしまいます。カエルを捕食するために来ていた鳥たちも姿を消してしまい、絶滅が心配されているような生き物もいなくなってしまうことが懸念されます。
もともと農業は自然を破壊する生産活動だと言われます。原野を開墾したときには、そこにあった生態系を大きく壊したことは事実です。原生林から2次的自然へと移り、その環境に適応した生き物たちが新たな生態系を作り出すという作業が長い年月続いてきています。人が住まなくなった所はすぐに自然に取り込まれてしまいます。人間も生態系の一部とするならば、人口減少や集落が消えるのも自然の営みに沿ったものなのかもしれません。しかし、人間中心で経済活動が行われ、人間が多くの生態系を破壊している以上、人間は自然に対してより真摯でなければなりません。それには多くの人の力が必要なのです。