2002年の広告より。
新社会人おめでとう。
今春、君はどんな職場にたったのだろうか。そこがどんな職場であれ、君は、元気に、堂々と、そこに立って欲しい。だって、元気以外に、君が今できることは他にないんだ。
学業が良くなかったって?そんなことはたいしたことじゃない。エリートだけが動かす社会が、いかに非人間的で、愚かなものか皆わかりはじめたんだ。
社会は生存競争の場所じゃないんだ。学校とも、試験とも違う。百の仕事には、百の答えがあるんだ。何かがすぐできるほど社会の仕事は簡単じゃないんだ。
これから先、十年、二十年・・・・かかって、仕事の真の価値は何か?を発見して行くんだ。
私は、どんな仕事にも、大小かかわらず、心棒があると思っている。その心棒で動く歯車が誰かをゆたかにするために回っているんだ。自分だけのためでなく、汗を、気力をしぼるから、本物の仕事は、美しいんだ。
心棒を動かすには、エネルギーがいる。エネルギーの根源は、働く人、一人一人の胸にある情熱だ。
どんなものに対しても、いつも熱い人が仕事の肝心を掴めるんだ。
君、熱い人であれ。
叱られても、怒鳴られても、吐息を零されても、そんなもの跳ね返し、心棒を回す人になって欲しい。
元気すぎるようなら、夕暮れ、酒場のカウンターで、熱いこころに少し氷を入れて、グラスを挙げればいい。
伊集院静
エネルギー、心と体、若いうちに苦労していろんなものを吸収したい。