あっちゃんがODを発症したのは、二年前の夏休みの終わり頃でした。

あの頃あっちゃんは吹奏楽部に所属していて、
休みもほとんどなく朝から晩まで練習をしていました。

吹奏楽部は室内での座奏がほとんどですが、
あっちゃんが入部した年からマーチングをすることになり、
行進の練習をグラウンドや体育館で何時間もしていました。

今年の夏は猛暑でしたが、
あの年もかなり暑い夏でした。
練習の環境はODのあっちゃん(この頃はまだODだとは知りませんでしたが…)には過酷なもので、

炎天下のグラウンドで長時間立ちっぱなし、
水分補給も不十分、

マーチングの練習が始まってからあっちゃんの体調は急激に悪くなりました。


あまりの辛さで泣きながら練習をしていたこともあったようです。


それでもあっちゃんは部活を休むとは言いませんでした。

毎日、フラフラになりながら部活へ行っていました。


そんなある日のこと…



朝、いつものよう学校へ行ったあっちゃんがすぐに息を切らせて帰ってきました。
忘れ物をしたと言うのです。


5月に吹奏楽部に入部してから、初めてのことでした。
今思えばあの時ODの症状が出初めていて脳血流がかなり低下していたのだと思います。

真っ青な顔をして、
『今からだと朝の点呼に間に合わないから先生に連絡しないといけない…』と。

そして『…忘れ物を取りに帰ったので少し遅れます…』と電話をしたあっちゃんに顧問の先生は…


『このボケが~!』とひとこと言ってガチャンと電話を切ったのです。

横にいる私にも聞こえる大きな声でした。


あっちゃんはしばらく放心状態でしたが、その日は何とか学校に行きました。
でもその日を境にあっちゃんは、
朝用意をしても玄関先で何時間も動けないようになり(行きたいのに行けないという状態)、

激しい頭痛をうったえるようになりました。


すぐに近所のかかりつけの病院に行きました。
おそらく過労が原因だろうからしばらく部活は休むように言われ、
とりあえず夏休みの間は部活を休ませることにしました。