西岡壱誠さんが書かれた「東大読書」

 

『読む力』と『地頭力』がいっきに高まる。

 

東大読書で鍛えられる5つの力

 

 

 「読解力」(ステップ 1)

素早く、かつ正しく文章の内容を理解し、文章を読み込んで理解する力

 

「論理的思考力」(ステップ 2)

より深くその文章を理解し、論理の流れがクリアに追えるようになる力

 

「要約力」(ステップ 3)

他人に説明しやすい形に嚙み砕く力

 

「客観的思考力」(ステップ 4)

さまざまな視点からの意見、多角的なモノの見方を持つための力


「応用力」(ステップ 5)

得た知識を他のところにも活かせるように自分のものにする力です。

 

 

 

● 能動的に本を読む5つのテクニック

 

ステップ .1 「読み込む力」を劇的にあげる.....仮説作り
ステップ .2 「論理の流れ」がクリアに見える.....取材読み
ステップ .3 「一言で説明する力」を鍛える.....整理読み
ステップ .4 「多面的なモノの見方」を身につける.....検証読み
ステップ .5 「ずっと覚えている」ことができる.....議論読み。

 

 

 

 

 

本を読む上でいちばん気をつけなければならいこと

本を読む上でいちばん気をつけなければならいことがあります。

 

 「わかった気になってしまうこと」です。

 

 

たとえば、最近読んだ本のことを思い出してください。

その本で著者は何を伝えたかったのか、わかりますか?

 

一言で言い表してみてください。

 

.....なんて言われて、きちんと言い表せる人は稀です。

 

しかし、「その著者が何を伝えたかったのか」を一言で言い表すことができなければ、「わかった気になっている」のと同じなんです。

 

本当に理解できているかどうか、短い言葉で伝えられるかどうか、「要約できているかどうか」でわかります。

 

どんなものにも「ミクロな見方」「マクロな見方」が存在します。

 

細部や部分部分を理解するのは「ミクロな見方」全体としての大きな流れを理解するのは「マクロな見方」です。

 

 

どんなに部分が理解できていても、「要するに何なのか」が理解できていない状態というのは「マクロな見方」ができていない状態と同じなのです。

 

一言で言い表すことができるかできないか、これが文章をわかっているのか、 いないないの分水嶺なんです。

 

 

分水嶺:物事の方向性が決まる分かれ目のたとえ

 

 

ここまでのポイント:短い言葉で言い表せなければ、理解していないのと同じ。

 

 

 

では、「一言で言い表す」ということができない状態なのに、なぜ「わかった気」になってしまうのか?その答えは「単純に本が長い」からです。

 

人間は、長く語られていたほうが話を聞いた気分になるのです。

 

長く人の話を聞いていれば、分量の多い本を読めば、わかっていようがいまいが、わかった気になるものなんです。

 

「長く人の話を聞いていれば」とか「分量の多い本」というのは、「情報量がたくさんある」ということです。

 

情報量が多いと、それだけで多くのことを知った気分になり、まったくその情報を整理していないくても、多くのことを知って「わかった気」になります。

 

 

しかし、整理ができない情報は使えません。

 

そんなものは知識ではないのです。

 

 

 必要なのは情報を整理して、一言で言い表す状態にすることなのです。

 

 

「一言で説明する力」を鍛える.....整理読み

 

整理読みとは、「著者の言いたいこと」と「それを補強する言葉(例示や論拠)」を切り分けること。整理ができてはじめて、自分の意見を持つことができるようになる。

 

 

整理読みテクニック
1.要約読み
2.推理読み

 

 

要約読みで「一言でシンプルに表現できる」ようになる

要約読みを実践して「まとめる力」を鍛える。

 

 

● 要約読みのやり方

 

① 一節分・1章分を読み、その中から「要約的な一文」を探す

 

② その一文を踏まえて、ノートに30文字以内で1節・1章の「まとめ」を書いてみる

 

③ 「まとめ」を踏まえて、章全体・本全体のまとめを140字以内で作ってみる

 

 

● 要約的な一文の探し方

 

① 最初と最後の近くの文

② 「しかし」の後の文

③ 「~なのではないでしょうか?・~だ・~なんです」の文

④「装丁読み」でみつけた内容が書かれた文

(カバーや帯に書いていあることは要約的な文が多い)

 

要約読みを実践して、苦労して1冊の内容をまとめる経験をしておけば、情報を取捨選択することができるようになります。

 

 

 

推測読みで「次の展開」を予測できるよになる

本の内容を先取りし、次にどのような文書が来るかを考える。

 

 

● 推測読みのやり方

 

① 新し節・賞を読む前に、今までの「要約読み」でまとめた要約文を見直す

 

② 次の節・章のタイトルを確認し「次の節・章には何が書いてあるのかを考えてノートにまとめてみる

 

①②で「推測」を作りあげたら、最後はチェックしてみる。

 

③ その章でも「要約読み」を行い、「推測読み」がどれぐらい正しかったかを確認する。

 

 

● 「推測」の4パターン (推測できる次の展開のパターン)

 

① 例示

1. 一度、前の節・章で抽象的なことを言ったあとで、例を示していく

2. 一度説明したことを、再度例を交えて、その説を補強しながらもう一度説明する

 

 

② 比較

1. 一度提示したものを、それと比較できる対照的なものを持ってきて説明する

2. 1つの考え方、事物を紹介した後に、それと比較対象になる何かを提示する

 

 

③ 追加

1. 今まで紹介していなかった新しい考え方を読者に提示して、その後の文の流れを導く

2. 著者が言いたいことを言うために、追加の情報を提示してそのあとの展開につなげる

 

④ 抽象化・一般化

1. ①例示の逆で、先に③追加で問題や事例を提示した後にで「これらは共通して、こういう問題があるんです」を説明する

2. 「みなさん、こんな経験はありませんか?」→「実は、これらはこういうことができないから起こっていまうんです」みたいな展開です

 

4パターンで「著者が言いたいこと」を追うのが推測なのです。

 

 

「要約して今まで読んだ文章をまとめる」「パターンに当てはめつつ次の文章を推測する」という2つのことを同時に行っていけば「ああ、こういうことが言いたいんだな。つまり、こういう展開になっていくはずだ」と、情報を常に「整理」しながら本を読めるようになるのです。