おふくろに言われた。
「今からでも遅くない」
ここ最近はおふくろとよく夕飯をつくる
分担を二分して
材料を切る係と味付けする係
俺とおふくろでは味付けが少々違う。
そんな些細なところでも俺は
いろいろと意見を言う。
おふくろがなぜ、その分量なのか
なぜその配分なのか
それを食事しながら吟味する
バイトのシフトが夜間一本にしたので
ほとんど夕飯は 一緒に食える
一緒に夕飯を作るようになってから
おふくろは調子いい。
もともと体力のないおふくろだが
具合悪そうな日が減ってきた。
そして昨夜、食後のコーヒーを飲みながら
「今からでも遅くない」
そう俺に告げた。
俺は何気なく
「調理師の資格とろうかな・・・」
とテレビを見ながら言った言葉に
おふくろはそう返事した
俺は何も言い返せずに
自分の部屋へ帰った
なんだ 俺
なんだか泣けてきたんだ
なさけないけど
でも以前、耳にしたあの話
本当だったんだとハッキリ気づいた。
おふくろは俺を応援してくれている。
たぶん調子悪くても付き合ってくれているんだろう。
そして俺が料理に対して真剣に向き合いだしている気持ち
きちんと感じてくれている。
俺はおふくろが母親でよかった。
俺の気持ちをいつも受け止めてくれている。
昔っから勉強しろ!とか宿題しろ!とか
一切言わないおふくろ
だけど俺の気持ちを理解して
そしてさりげなくフォローしてくれるおふくろ
マザコンだと言われてもいい。
理解者がおふくろだけという
それだけのことなのだから。
おふくろがくれた料理の本をめくってた。
調理師のことが書いてあった。
始めてみよう。
何もしないうちから迷うのは愚かだ!
というおやじの言葉が
俺の中でこだまする。
いくぞ!
おやじ おふくろ 見ててくれ。
今からでも遅くない。
