建設経済研究所では、このほど「建設経済モデルによる建設投資の見通し(2002年10月)」をまとめ、発表した。レポートは、「建設経済モデル」を用い、2002年4-6月期のQE(四半期別国民所得統計速報)を踏まえて予測した、2002~2003年度の年度別・四半期別の建設経済の予測結果(概要)となっている。


それによると、2003年度は、建設投資全体で前年度比名目△4.9%の53 兆8,719億円となる。政府建設投資は、今後、補正予算による追加措置がないとの前提に立つと、2003年度の概算要求基準が前年度比3%減とされたことに加え、2001年度補正予算による繰越分がなくなるため、前年度比名目△9.0%の減と3年連続して9%以上の大幅な減少が続くと予測している。

民間住宅投資は前年度比0.2%増の12兆6900億円。住宅取得促進税制や住宅版エコポイント導入などの支援策の効果で2010年度以降、住宅の取得意欲はある程度回復するとみられる。しかし、貸家や分譲の供給意欲が大きく改善しないことなどから、住宅着工戸数が引き続き低水準で推移するとみている。

基準法施行の影響については、国土交通省の発表した最近の建築確認の交付件数は通常の水準に戻っており、手続き上の混乱はほぼ収束したとみている。基準法施行は建築に伴う手続期間を延ばすもので、建設需要そのものを大きく減少させることは考えにくいため、本来であれば2007年度に着工に至らなかった相当部分が2008年度以降に反動増となる可能性がある。にもかかわらず、2008年度以降の民間建設投資があまり大きな伸びとなっていないのは、最近の景気停滞による民間投資の停滞がかなり大きくまた期間も長引くと考えているからである。

 

特に2007年度に落ち込みの大きかった民間住宅投資は、2008年度は4.1%増の17兆9、100億円、2009年度が3.7%増の18兆5、800億円と、規模や質の向上を見込んでも着工が128万戸で19兆円を超えた2006年度の水準までは戻らないと予測している。昨今のマンション市況の低迷等を踏まえれば住宅市況の本格的な回復には時間を要する可能性が強く、着工戸数は2008年度115.8万戸、2009年度114.3万戸と見ている。


また、民間非住宅建設投資(非住宅建築と土木の合計)は、2008年度が6.2%増、2009年度が2.8%増という見通しである。基準法施行の影響で2007年度末の着工水準が相対的に高かったことが投資ベースで2008年度の伸びを大きく見せているものの、設備投資の下振れ傾向が顕在化してきており、こちらも着実な増加基調となるのは2009年度に入ってからであろう。政府建設投資についても、7.6%減、5.9%減と公共事業予算の減少基調を反映してマイナスが続いている。

建設経済研究所(RICE)では、7月30日に「建設経済モデルによる建設投資の見通し(2008年7月)」を発表した。これは、当研究所が、建設投資額や経済成長率などについて「建設経済モデル」を用いて行った予測シミュレーション結果を三ヵ月毎に発表している最新のものである。「建設投資見通し」は国土交通省も毎年6月に行っているが、当研究所の見通しは国土交通省の行っていない来年度の予測を四半期毎に行っているところに特色があり、今回は新たに2009年度の市場規模の予測を行っている。本稿では、建設投資額の予測を中心に今後の建設市場の見通しについて紹介したい。

 

今後の建設投資額は、2008年度が48兆8、500億円、前年度比0.4%増、2009年度が48兆9、600億円、0.2%増となる見通しである(表参照)。建設市場の全般的な状況としては、改正建築基準法施行の影響などにより大幅に落ち込んだ2007年度から回復はしていくものの、景気の停滞により2009年度までは緩やかな増加にとどまる見通しである。その結果、名目額は2009年度においても49兆円程度にとどまりそうである。

 

グラフにも見られる通り、近年の建設投資は、2007年度を別とすれば、政府投資が一貫して減少基調にあるのに対し民間投資が増加することによって市場規模の減少をある程度カバーするというのが、全般的傾向であった。しかし、2007年度だけは、改正建築基準法施行の影響もあって民間建築が著しく落ち込んだため、建設投資額は前年度から3兆円以上の減少となっている。