わての名を呼んでおくれやす。


かいらしいかいらしい、その声で。


あんさんがわてを呼んでくれはるだけで、わては天にも昇る心地や。


あんさんの声は、わてだけのもの。


誰の名も呼ばせたない、わてだけの名を呼んでくれはるだけでええんどす。


さあ、呼んでおくれやす。


わてのためだけに。愛する男のその名を。


あんさんはいっつも、わてを呼んでくれはるね。


泣きたい時に呼ぶ声も、嬉しい時に呼ぶ声も。一番最初に、わての名を呼んで頼って、教えてくれる。


いつだってあんさんが呼ぶんは、わての名やな。


嬉しいような、寂しいような。


たまには別の時にも呼んで欲しいんやけど。


例えば?そら、もちろん。決まっとりますやろ。



お前が愛する旦那の俺の名を呼ぶ時に決まってる。


今だけは愛する男として名を呼んでくれ。


お前は、可愛い。俺の名を呼ぶだけで、紅くなる頬が可愛い。


お前の可愛い唇が、俺の名を呼ぶたびに。


胸がドキドキして、俺ってまるで子供みたいだね。


本当に妬けるね。お前のその唇が、他の男の名を呼ぶだけで。


本当に妬ける。そいつを殺したくなるほどに。


だからこれからは、俺の名だけを呼んでおくれよ。


その可愛い唇は、俺の名を呼ぶためだけにあるんだからね。