遺伝子検査ビジネスをやっている会社はいくつかある。ただし、消費者向けの検査サービスそれだけで商業的に回っている会社はほとんどない。

どうしてか。コストが高いから?
いや、検査の内容によって変わるが、今でも5000円でできるものはある。

科学的根拠が薄いから?
論文に乗るようなレベルの科学的確かさがなくても、サービスになっているものはいくらでもある。エンタメや占いにしてしまえばいい。


答えは簡単である。

遺伝子やゲノムは一生変わらないから、である。

つまり、一度はかればもう2度と使われないので、儲からないのである。携帯電話のように、2年経つと他のキャリアに乗り換えると同時に新しい機種に買い換えたくてモヤモヤしてくる、といったインセンティブはないのである。


今現在で、サービス化が行われている遺伝子検査は、ダイエットのための食品おすすめ、化粧品のおすすめ、栄養士による栄養指導など、大抵何かの付加サービスがついており、そちらがマネタイズの原動力となっているものが多い。


◆遺伝子検査の事業化について、現在の方向性をまとめておく。
(1)検査+付加サービスタイプ
サービスの入り口で検査を受けてもらって、付加サービスの方で継続的に収益化するモデル。

(2)リアルタイム性を追求するタイプ
一生変わらないゲノムや遺伝子を見るのではなく、今現在の「状態」をモニタリングするもの。
エピゲノムや発現解析といった手法が主に用いられている。健康管理などと組み合わせて、
継続的に「状態」を検査することで収益機会が増えていくモデル。

(3)研究応用タイプ
あくまでも1回のみの検査である点は(1)と同じだが、ユーザーに了解を取ったうえで、
統計解析をして製薬会社などにデータを販売する事業モデル。最近、Suicaや携帯電話の
位置情報をビッグデータ分析して他社へ売るビジネスが展開されているが、これとほぼ
同じような考え方と見てよいだろう。

(2)+(3)といった応用形態はもちろんあるが、大抵はこのどれかで説明できるはずだ。