最近、教育業界の人とディスカッションする機会が何度かあり、
教育業界のトピックとして、Adaptive learningというものがあることを知った。

■教育業界の新潮流「アダプティヴラーニング」
http://wired.jp/2013/04/27/adaptive-learning/

既存の指導論は、マスを対象としているので、「落ちこぼれ」と「浮きこぼれ」
の両方が発生するという問題があり、対策として個性を重視するゆとり教育が
導入されたが、問題は解決しなかった。
家庭教師や個別指導は、ある程度までは個別化を実現しするが、
いずれも教師の経験と勘が頼りであり、科学的なアプローチとは言い難い。
それが、最近のITの発達とビッグデータ分析といったテクノロジーの
進歩により、可能になるのではないか、という期待がこもっている。

子供のゲノムを解析する目的は、優生学的世界へ向かうのでは?
というdistopia的解釈もありえるかとは思うが、自分が思うのは、
遺伝子・ゲノム解析によって、医療分野以外にもpersonalizedされた
さまざまなサービスが生まれていく、という世界観の方が、
世界がより良くなっていくと思うし、より多くの人の共感が得られると思う。

実際、教育の個別化には期待が大きいようで、Adaptive Learningの
ベンチャーには既に多くの投資が集まっているようだ。

■Adaptive Learningのベンチャー"Knewton"

■Learning genome project
(名前に"genome"とは入っているものの、これはメタファーで、
実際にまだゲノム解析まではやっていないようである)

もし、これからこういったコンセプトが世の中に受け入れられていくとすれば、
遺伝子解析を応用するチャンスも広がっていくだろう。

前述のとおり、教育業界は大きなイノベーションがなく閉塞感を
抱えておりますので、オープンイノベーションへ舵を切り始めているようである。
最近はITを教育に応用しようというベンチャーも多数ではじめており、
こういったテクノロジーベンチャーを"EdTech"と呼ぶ。

■国内教育系スタートアップ(EdTech)のまとめと事業モデルの考察

国内教育系スタートアップ(EdTech)のまとめ及び事業モデルの考察

(ちょうど今週末にはイベントもある)
http://www.ellab.jp/edtech-pitch-fes-vol-3/

EdTechは去年くらいから注目を集め始めたようで、動画配信やskypeなど
軽めのITを武器として、教育をオンライン化するものが多く、レアジョブや
cyta.jpなどエグジットに近いものも現れてきた。
(たしか、Cyta.jpはクックパッドに買収された)

ただ、課金体系やCtoCなどビジネスモデルの工夫が
勝負どころになっている部分もあるようで、今後さらなるイノベーション
として、ゲノムを利用する動きが出るのでは?という期待をしている。

さて、個別化教育Adaptive Learningと、それをさらに進めた
「ゲノム教育」は、世の中に受け入れられるだろうか?