新星ワイルドボア快勝/セントライト記念 | スプリンターズステークス(G1)激走穴馬を探せ!

新星ワイルドボア快勝/セントライト記念

<セントライト記念>◇21日=中山◇G2◇芝2200メートル◇3歳◇出走18頭


 関東から新星が飛び出した。9番人気ダイワワイルドボア(牡、上原)が1番人気マイネルチャールズを差し切り、菊花賞(G1、芝3000メートル、10月26日=京都)へ名乗りを上げた。骨折から復帰2週目の北村宏司騎手(28)は、1年6カ月ぶりの重賞制覇。2着マイネルチャールズ、3着ノットアローンまでが菊花賞の優先出走権を獲得した。なお、1コーナーでリノーンリーズンが故障し、フジヤマラムセスが競走を中止するなど7頭が影響を受けた。


 18頭が1コーナーに差しかかった時、故障した馬に後方集団が巻き込まれた。菊の権利を巡る争いは、運良く前にいた馬に絞られた。先頭でゴールに飛び込んだ鹿毛馬は、アグネスタキオン産駒のダイワワイルドボア。今春の皐月賞とダービーを制した父の血が、秋のクラシック戦線でも雄々しくたぎった。


 左前腕部骨折から復帰したばかりの北村宏が完ぺきに乗った。道中は7番手。直線で激しく競り合ったマイネルチャールズとノットアローンのたたき合いの後ろから、ひたひたと忍び寄った。午後からの雨で渋った馬場も苦にせず、外から力強く半馬身抜き去った。新潟で1000万条件を勝てず9番人気と評価は低かったが、2度使って動きが軽くなっていた。春の力関係を見事に逆転。ジョッキーは「早めに前が動いたので、それを目標にした。十分手応えはあったから、何とかなると思った」と会心の競馬を振り返った。つらいリハビリについては口にしない。プロは結果がすべて。その信条通り、いい仕事で信頼に応えた。


 500万特別を勝つなど春にもコンビを組んでいたが、大城オーナーと上原師は先週まで騎乗依頼を保留していた。復帰週の騎乗ぶりを見て判断することで意見が一致していた。その裏事情を知らない北村宏は復帰初日の中山で勝利。騎乗馬は大城オーナーのダイワコルベットだった。「チャンスをいただいたことが、すごくうれしかった。その気持ちを無駄にしたくなかった」と感謝した。


 主戦が戦列を離れている間、馬は着実に成長していた。「随分フットワークが良くなって、競馬も上手になった。折り合いがついたから、次も楽しみ」。3000メートルの菊花賞で再び乱を起こせるか。


出典:日刊スポーツ