セントライト記念 アイティトップ、真の実力出す | スプリンターズステークス(G1)激走穴馬を探せ!

セントライト記念 アイティトップ、真の実力出す

 「セントライト記念・G2」(21日、中山)


 春後半戦は力を出し切れずに終わった。アイティトップは京成杯で小差3着に食い込みながらも、皐月賞、ダービーとも出走権を取れず、クラシックには参加することすらできなかった。京成杯で接戦を演じた馬たちのその後の活躍を考えれば、あれが本来の実力ではない。立て直された秋初戦。実力馬がラスト1冠出走へ向け、巻き返しを狙う。


 ひとつのアクシデントから、すべての歯車が狂い始めた。豪快な追い込みでデビュー2連勝を決め、京成杯に乗り込んだアイティトップは、そこでも勝ち馬マイネルチャールズ、2着ベンチャーナインと互角の戦いを演じて3着に食い込んだ。いよいよトライアルへ-。しかし、悪夢が襲う。


 「あの外傷性鼻出血がなければなあ。あれがすべてだったよ。どんどんリズムが悪くなってしまった」とは矢野照師。皐月賞トライアルの弥生賞が行われる、まさにその週だった。馬房内で暴れて顔面を強打。何とか出走を目指したが、大事を取って同レースを回避。スプリングSにスライド出走したものの、全く見せ場がなく15着に大敗した。ダービーTR・青葉賞でも10着に終わり、春シーズンはクラシックに参加することすらできなかった。


 この結果に陣営が納得しているわけがない。「京成杯で、あの相手にあれだけやれたんだ。本来の力を出していないよ」とトレーナーはこぼす。勝ったマイネルチャールズは弥生賞も勝ち、皐月賞で1番人気に推された(3着)。2着ベンチャーナインはプリンシパルSを制し、ダービーでも9着に奮闘。さらに当時、半馬身退けたリトルアマポーラも次戦のデイリー杯クイーンCを勝ち、牝馬クラシックで小差に奮闘した。


 捲土(けんど)重来を期す秋。8月20日に美浦に帰厩後は順調に調整が進んでいる。1週前追い切りは、2歳の異父弟アイティアビーに手応えで劣ったが「このひと追いで変わってきた。今週やればきっちり仕上がる」と師は仕上げに自信を持つ。「結果次第では菊に向かうことになるな」。春はかなわなかったクラシック参戦へ。本来の力を発揮できれば、G1の舞台に立つのは決して難しいことではない。


出典:デイリースポーツ