春日狂想

 

愛するものが死んだ時には、
自殺しなけあなりません。

愛するものが死んだ時には、
それより他に、方法がない。

けれどもそれでも、ごふ(?)が深くて、
なほもながらふことともなつたら、

奉仕の気持に、なることなんです。
奉仕の気持に、なることなんです。

愛するものは、死んだのですから、
たしかにそれは、死んだのですから、

もはやどうにも、ならぬのですから、
そのもののために、そのもののために、

奉仕の気持に、ならなけあならない。
奉仕の気持に、ならなけあならない。

 

 

奉仕の気持になりはなつたが、
さて格別の、ことも出来ない。

そこで以前せんより、本なら熟読。
そこで以前より、人には丁寧。

テムポ正しき散歩をなして
麦稈真田ばくかんさなだ敬虔けいけんに編み――

まるでこれでは、玩具おもちやの兵隊、
まるでこれでは、毎日、日曜。

神社の日向を、ゆるゆる歩み、
知人にへば、につこり致し、

飴売爺々あめうりぢぢいと、仲よしになり、
鳩に豆なぞ、パラパラ撒いて、

まぶしくなつたら、日蔭に這入はひり、
そこで地面や草木を見直す。

苔はまことに、ひんやりいたし、
いはうやうなき、今日の麗日。

参詣人等もぞろぞろ歩き、
わたしは、なんにも腹が立たない。

    ※(始め二重括弧、1-2-54)まことに人生、一瞬の夢、
    ゴム風船の、美しさかな。※(終わり二重括弧、1-2-55)

空に昇つて、光つて、消えて――
やあ、今日は、御機嫌いかが。

久しぶりだね、その後どうです。
そこらの何処どこかで、お茶でも飲みましよ。

勇んで茶店に這入はひりはすれど、
ところで話は、とかくないもの。

煙草なんぞを、くさくさ吹かし、
名状しがたい覚悟をなして、――

戸外そとはまことに賑やかなこと!
――ではまたそのうち、奥さんによろしく、

外国あつちに行つたら、たよりを下さい。
あんまりお酒は、飲まんがいいよ。

馬車も通れば、電車も通る。
まことに人生、花嫁御寮。

まぶしく、しく、はたうつむいて、
話をさせたら、でもうんざりか?

それでも心をポーッとさせる、
まことに、人生、花嫁御寮。

 

 

ではみなさん、
喜び過ぎず悲しみ過ぎず、
テムポ正しく、握手をしませう。

つまり、我等に欠けてるものは、
実直なんぞと、心得まして。

ハイ、ではみなさん、ハイ、御一緒に――
テムポ正しく、握手をしませう。

 

 

             青空文庫

 

 

 

 

最初にズバと決めつけて

その後

おちゃらけた調子で

・・・・

やけくそっぽくッて

 

でもそれだけ事の深刻さを表している

のだ

 

これが中也らしい表現なのだ

きっと

 

 

 

花嫁御寮  図はネットから

当日レポ 11ー花嫁御寮ー | こみぃの結婚式♡八芳園♡2017年初夏神前式

ついでですね↓

 

 

 

今日も熱いし

外に出たくなーい

 

水撒きすると 息苦しい

抗酸菌慢性気管支炎

 

この菌はどこにもいる

特に 土の中と 水回りと

 

この菌のせいで気道が詰まって 息苦しい

 

庭に出なければ随分楽だ

けど人生の楽しみが半分になる

 

 

あとの半分は当然↓

 

 

 

アジサイ祭りが各地で行われている

元気なの頃は色々と見に行って行ったけど

今は外出したくない

それで 我が家の庭を↓

 

 

 

 

わが家のアジサイは まだだね

 

 

こころ


こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。

こころはまた夕闇の園生のふきあげ
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめども
かなしめどもあるかひなしや
ああこのこころをばなににたとへん。

こころは二人の旅びと
されど道づれのたえて物言ふことなければ
わがこころはいつもかくさびしきなり。

 

 

                   萩原朔太郎

 

そして 何故か テルーの唄

 

 

 

海月