言葉なき歌

 

あれはとほいい処にあるのだけれど
おれは此処ここで待つてゐなくてはならない
此処は空気もかすかであを
ねぎの根のやうにほのかにあは

決して急いではならない
此処で十分待つてゐなければならない
処女むすめのやうに遥かを見遣みやつてはならない
たしかに此処で待つてゐればよい

それにしてもあれはとほいい彼方かなたで夕陽にけぶつてゐた
号笛フイトルのやうに太くて繊弱だつた
けれどもその方へ駆け出してはならない
たしかに此処で待つてゐなければならない

さうすればそのうちあへぎも平静に復し
たしかにあすこまでゆけるに違ひない
しかしあれは煙突の煙のやうに
とほくとほく いつまでもあかねの空にたなびいてゐた

 

 

                  青空文庫

 

何故か 奇妙に心に残る詩だった

でも

何なんだろう

一体何を待っていたのだろう

 

 

 


 

6月はやはり

アジサイだ

雨のアジサイが絵になるけど

6月になってずっと晴だ

 

わが家のアジサイはまだまだで

これからだなだ

 

 

こころ


こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。

こころはまた夕闇の園生のふきあげ
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめども
かなしめどもあるかひなしや
ああこのこころをばなににたとへん。

こころは二人の旅びと
されど道づれのたえて物言ふことなければ
わがこころはいつもかくさびしきなり。

 

                     萩原朔太郎

 

詩作を始めて(高校)

最も好きになった詩です

 

二人の旅びと?

具体的に誰をあらわすのか

なんて考えないことにしています

うふ

でも人妻かな

やらしい

 

 

海月