あばずれ女の亭主が歌つた

 

おまへはおれを愛してる、一度とて
おれを憎んだためしはない。
おれもおまへを愛してる。前世から
さだまつていることのやう。

そして二人の魂は、不識しらずに温和に愛し合ふ
もう長年の習慣だ。

それなのにまた二人には、
ひどく浮気な心があつて、

いちばん自然な愛の気持を、
時にうるさく思ふのだ。

佳い香水のかをりより、
病院の、あはい匂ひに慕ひよる。

そこでいちばん親しい二人が、
時にいちばん憎みあふ。

そしてあとでは得態えたいの知れない
悔の気持に浸るのだ。

あゝ、二人には浮気があつて、
それが真実ほんとを見えなくしちまふ。

佳い香水のかをりより、
病院の、あはい匂ひに慕ひよる。

 

             青空文庫

 

あばずれ亭主が歌った

なら

分るんだけど・・・

 

 

 

海月の言い訳

 

今日から6月と書くはずだったけど

わけがあって休んでしまった

 

今日もブログを休もうかと思ったけど

何とかなりそうだ

 

決して人を喜ばそうというブログでもないし

分かりにくい文だし 誤字も多いし

無理することもないんだ

 

・・・・

 

6月になった途端良い天気だ

どういうこと?

 

雨の6月でなく さつき晴の6月かな

 

んで

わが家は百合が咲き始めた

名前は知らない

 

 

これはきっと萱草(忘れ草)だ

 

次の詩↓がすぐに浮かんできたが

青空文庫にはなかった

 

それで他の人から無断で

コピーしました

御免なさいね

 

ためいき

   

紀の国の五月なかばは
椎の木のくらき下かげ
うす濁るながれのほとり
野うばらの花のひとむれ
人知れず白くさくなり、
佇みてもものおもふ目に
小さなるなみだもろげの
素直なる花をし見れば
恋人のためいきを聞くここちするかな。

 

   二

 

柳の芽はやはらかく吐息して
丈高くわかき悟桐(ごどう)はうれひたり
杉は暗くして消しがたき憂愁(うれひ)を秘め
椿の葉日の光にはげしくすすり泣く……

 

   三

 

ふといづこよりともなく君が声(こゑ)す
百合の花の匂ひのごとく君が声す。

 

   四

 

なげきつつ黄昏(たそがれ)の山をのぼりき。

なげきつつ山に立ちにき。
なげきつつ山をくだりき。

 

   五

 

蜜柑ばたけに來て見れば
か弱き枝の夏蜜柑
たのしげに
大(おほひ)なる実をささへたり
われもささへん
たへがたき重き愁(うれひ)を
わが恋の実を。

 

   六

 

ふるさとの柑子(かうじ)の山をあゆめども
癒えぬなげきは誰(た)がたまひけむ。

 

   七

 

遠く離れてまた得難き人を思ふ日にありて
われは心からなるまことの愛を學び得たり
そは求むるところなき愛なり
そは信(しん)ふかき少女の願ふことなき日も
聖母マリアの像の前に指を組む心なり。

 

   八

 

死なんといふにあらねども
涙ながれてやみがたく
ひとり出て佇みぬ
海の明けがた海の暮れがた
——ただ青くとほきあたりは
とふればふるき思ひ出
波よする近きなぎさは
けふの日のわれのこころぞ

 

            佐藤春夫

 

 

 

この詩 よく見れば5月だ

 

 

 

海月